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【こんな映画でした】835.[独裁者]

2023年11月14日(火曜) [独裁者](1940年 THE GREAT DICTATOR アメリカ 126分)

 チャールズ・チャップリン監督作品。二回目になるか。最初は映画館で二十歳台で観たと思う。やはり忘れている。特に最後の6分間の演説は、漠然としか覚えていなかった。

 メイキングでのコスタ・ガブラス監督の解説を聞くと、1938年ころから準備し、そのような内容では受け入れられないとの反対もあったとのこと。何より当時、日の出の勢いであったヒトラーとムッソリーニを揶揄・批判するわけであるから、相当にプレッシャーもあったことだろう。

 映画としては、やはりコメディタッチで彼ら独裁者の生態を面白おかしく描いて笑わせるものだ。どうしても突撃隊による暴力の場面が陰惨になるので、バランスをとる必要がある。

 ラストシーンの演説は、それまでの映画のストーリーの延長上にあるようにお膳立てしてあるが、結局、その6分間の演説はそれまでの内容、つまり映画としての流れをぶった切って、彼の思想を演説・アジテートするものであった。だから「脚本助手」はこれに反対したらしい。

 だからその演説が終わった後、彼とショルツがどのようになったか、あるいは間違えられて捕まった独裁者ヒンケルがどうなったかなどはまったく触れられてない。もう映画製作の目的は達せられたからであろう。

 一部分を引用しておく。
「私たちはみんな、お互いを助けたいと望んでいる。人間とはそういうものだ。他人の不幸によってではなく、お互いの幸福で支えあって生きていきたい。」

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