【こんな映画でした】931.[有りがたうさん]
2020年 5月10日 (日曜) [有りがたうさん](1936年 78分)
清水宏監督作品。少し前に見かけたが、その時は見通せず、今日ようやく観ることができた。ユーチューブで。
なかなか良い感じの映画だった。昭和10.11年頃の伊豆の下田から川津(河津)・天城峠越えのバスが舞台のロードムービー。運転手の「有りがたうさん」とあだ名された運転手を上原謙(撮影当時26歳くらいか)。狂言回しになる「黒襟の女」に桑野通子(撮影当時21歳くらい)、粋な女性を演じていて良い感じである。
ある意味深刻な内容にもかかわらず、いや、だからこそコメディタッチに描かれ、音楽も軽やかである。「音楽指揮 堀内敬三」とある。
東京に身売りされていく娘がどうなるか、とヒヤヒヤさせながら、最後はその結末を描くことなく、ただ思わせぶりに終わっている。上手い処理の仕方だ。
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それにしても昭和のこの頃の貧しさ。世界大恐慌の余韻がまだ残っており、特に農村の貧窮は酷かったであろう。この映画でも、都会で失業した人たちが田舎に戻ってきているシーンを描いている。
あと旅回りの一座や、朝鮮半島から出稼ぎで来ていた女性の姿も。彼女たちは道路工事に携わっていた。次は長野へ行く、と「有りがたうさん」に言っていた。
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