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【こんな映画でした】821.[愛の嵐]

2023年 2月 8日 (水曜) [愛の嵐](1973年 THE NIGHT PORTER IL PORTIERE DI NOTTE イタリア/アメリカ 119分)

 リリアーナ・カヴァーニ監督作品。初めて。イタリアの女性監督。前々から気になっていた映画。ようやく入手。ルチアをシャーロット・ランプリング(撮影当時26歳)、マックスをダーク・ボガード(撮影当時51歳)。最も知られているのは、ルチアが半裸でナチスの軍帽をかぶって歌うシーン。それがこのDVDのカバーになっている。

 1957年、ナチスの残党がひっそりと暮らすウィーンが舞台。彼らは密告されて捕まらないためにお互い同士を厳しく監視しあい、定期的に「査問会」を開いて、彼らの過去の汚点の記録を(証人ともども)抹殺・抹消していく。

 そこにマックスに関係する、というか彼がナチス時代に可愛がっていた女性ルチアがウィーンの、しかも彼が「ナイト・ポーター」を勤めるホテルに宿泊する。かつて彼は彼女のことを「私の天使」と呼んで、愛していたとのこと。

 それを知るマリオという男をマックスは殺す。その後、意外なことにルチアはアメリカに帰らずに、ホテルを引き払った後、マックスの住居に行き、ともに生活をするようになる。しかしそれらは査問会のメンバーに直ちに知られ、迫害を受けることになる。

 最後は悲惨かつ悲愴なシーンが、暗い部屋の中で続けられる。そして最後の最後、もう一度抱き合って、二人は外に出ていく。橋のところで車を降り、むこうへ歩いて行くところで二発の銃声。まずマックスが、そしてルチアが崩れ落ちる。フェイドアウト。

 途中から予想された結末であった。彼らナチスの残党は、自らの保身のために、元の仲間を殺し、さらにはかつて酷い目に遇わせたユダヤ人をもう一度殺してしまうのである。その一人に言わせている。「生まれ変わっても、第三帝国のために」、と。これは強烈なナチス批判であろう。

 現今、ウクライナ侵攻に関して、ドイツは再びナチスドイツのやったソ連(ロシア)攻撃をしようとしている。まさに歴史は繰り返すだ。ドイツは第二次世界大戦の反省を本質的にはしていないという証左であろう。日本も同じだと、ドイツ人から言われそうであるが。

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