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【こんな映画でした】716.[嘆きの天使]

2020年11月30日 (月曜) [嘆きの天使](1930年 DER BLAUE ENGEL ドイツ 103分)

 『続 ヨーロッパを知る50の映画』(狩野良規 国書刊行会 2014年)に紹介されていたもの。ジョゼフ・フォン・スタンバーグ監督作品、というよりマレーネ・ディートリッヒ(撮影当時28歳)の映画といっていいぐらいか。主演のエミール・ヤニングス(撮影当時45歳)を食ってしまったということのようだ。

 テンポの遅さにやや不満が残る。最初の学校(ギムナジウム)での授業のシーンなどもつまらない。おそらく当時の学校教育のやり方がそのようなものであったからだろう。権威主義的で面白みのない、非教育的な授業だ。

 旅回りの歌手ローラ(マレーネ・ディートリッヒ)がどうして堅物のラート教授と結婚したのかは謎だ。それにしても脚線美をいっぱい見せるディートリッヒは何とも言えない魅力がある。妖艶に近いものを感じる。この映画が彼女の出世作となったのもむべなるかなである。

 セットは[カリガリ博士]同様にドイツ表現主義の趣がある。要するに建物や街灯が傾いているのだ。面白かったのはローラのブロマイド写真の腰のあたりに羽が付けてあり、それを息で吹くと跳ね上がり、その下のガーターあたりが見えるという仕組みなのだ。なるほど、と。

 もう一つ工夫で面白かったのは、彼ら二人にどれ位の月日が経ったかを示すのに日めくりカレンダーを使っているところ。

 それにしても映画でのラストシーンは無惨でもある。要するに元の職場、学校の教室に入り込み、その机に突っ伏しているところで終わるのだ。小説ではまだその続きがあるということだが。

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