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【こんな映画でした】742.[毒薬]

2020年12月14日 (月曜) [毒薬](1951年 La poison フランス 82分)

 サッシャ・ギトリ監督作品。[とらんぷ譚]に続いて二作目。これはまあミシェル・シモン(撮影当時56歳)の映画ということになるか。独壇場だ。妻役はジャーメイン・ルーバー、撮影当時65歳。

 解説には「寂れきったフランスの片田舎。ポールと妻の関係は完全に冷えきっていた。夫婦は互いを殺そうと思案し、妻は毒薬を手に入れ、夫は腕のいい弁護士からうまい殺し方を聞き出した。そして夕食時ポールは妻を刺し殺し……。」とある。

 この弁護士というのを、いわば無罪請負人といったことにしている。この主人公を無罪にして、これで101人目ということに。

 裁判での風景は、かなり批判というか茶化している。人間というものは、いくらご立派なことを言っていても、所詮、みな同じなのだ、と。これでは裁く方も裁けないか。人が人を裁くことの問題を指弾している面もある。

 それにしても愛情のない冷えきった夫婦関係を、この二人の俳優は見事に演じている。悲しいことだが、世の中にはこういうケースが少なくないのだろう。神父も相談はされていたが、解決策はない。

 あと社会批判の一つとしては、彼らの村を有名にするために何かをやろうという、いわば町おこしを考えているところ。まずは神父に相談して「奇蹟」を作り出そうとするのだ。もちろん神父に直ちに却下されるが。

 そしてそのあとで、この殺人事件が起こり、村は一躍有名になるということに。皮肉なものだ。いつでもどこでも生活のためには、人はとてつもないことを考えてしまうものだ。善悪や正義・不正義などは吹っ飛んでしまう。

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