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【こんな映画でした】655.[if もしも‥‥]

2020年 8月27日 (木曜) [if もしも‥‥](1968年 IF.... イギリス 112分)

 パソコン(ユーチューブ)、8分割で。リンゼイ・アンダーソン監督作品。[八月の鯨]とは大違いのもの。アナーキズムというのか、イギリスのパブリックスクールというものに対する批判というのか。軍事教練があるのにも驚かされる。一体いつの時代の風景なのだろうか。

 寮においては「監督生」という中間管理職というか、教師の手下である権力者が作られており、彼らが暴力を使用して恐怖支配をしている節がある。あと「上級生」と「下級生」の差別。この寮という社会では徹底的に差別が教え込まれるようだ。

 「貧乏人」と言われたら、それは次のように反応して言葉にせよというわけである。「カス」、と。支配階級の育成機関であるという自負は、自らのアイデンティティとしてそれを維持していくために強烈な差別主義者であることを要請されるのだ。

 もちろん実態がどこまでがそうなのかは、分からない。しかし、キリスト教の思想に基づき、賛美歌をともに歌い、神の言葉を牧師が説教し、生徒たちを洗脳していく様は圧巻というべきか。宗教の欺瞞性をあげつらうためにワザと何度もそのようなシーンを挿入しているのかもしれない。

 差別と暴力の横行するこの私立学校があって、かの大英帝国が存在し得たのかもしれない。いや今なお延々とそれは継承されているのかもしれない。イギリスという国家の怖さを思う。もちろんイギリスに限らず、国家の本質というものはそういうものであり、実体を知れば恐怖以外のなにものでもない。

 主演はマルコム・マクダウェル。一度見たきりだが、[時計仕掛けのオレンジ]での異様さがまだ印象に残っている。近々、DVDで見直してみたい。

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