【アニメ産業調べ物5】「収益の低下と産業構造」①産業構造

どうも、キシバです。
アニメ産業調べ物シリーズ第5回、「収益・産業構造」について。
(これまでの記事は以下に纏めてあります)

さて、始めに仮説を立てた通り、「人材不足」や「労働環境・待遇」を調べるほどその根源が「収益の低下」にある事がわかってきました。収益が下がる→労働環境が悪化→人材不足→さらに収益が下がる……の悪循環です。

図1

これを解決する為には、やはりアニメ業界全体の収益状況の改善が必要だと思われますが。その為にも、まずは詳しく日本のアニメ産業の構造と現在の収益状況について調べてみたいと思います。

1.アニメ産業の市場構造図

アニメ産業には、主に二つの構造があると言えます。
それは「アニメ市場の構造」と、「アニメ制作の構造」です。
制作と製作、の話でも出たように、アニメ産業は常に作ることと売ることの二重構造になっているわけですね(それ自体はまぁ普通)。

コンテンツ産業の雇用と人材育成 _page-0020

http://www.jil.go.jp/institute/reports/2005/documents/025.pdf
労働政策研究・研修機構『コンテンツ産業の雇用と人材育成』より、こちらが「アニメ市場の構造」。ただこれデータは1999年の推計とめっちゃ古いので、国内外との一番スケールの大きな枠組みに対する概要図としてご覧下さい。

次に、国内に焦点を絞った市場構造図について。

画像3『公取委がアニメ産業の実態調査報告、「製作委員会方式」にも言及』https://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2009/01/23/22196.html

上記、「INTERNET Watch」より引用。データは2007年の調査です。
こちらは全体の資本の流れが非常にわかりやすいですが、簡略化しているためこの図に当てはまらないケースも当然あります。

ちなみにリンク先の元記事では元請方式と製作委員会方式について色々と語られており、制作委員会方式を通さない以前のやり方はさらに闇が深かったようです。
とはいえ制作委員会方式が主流になった現在でも収益不足による問題は起きているため、完全な解決とはならなかったようですが。

従来方式と制作委員会方式の比較図についてはこちら、

画像4

引用元:『第5章 競争環境の積極的創造に向けた取組』(サイト名不明)
https://www.jftc.go.jp/info/nenpou/h20/div02/div_02_05.html

そして、制作委員会方式についてのわかりやすい参考図はこちらを参照。

画像5

引用元:『アニメ・儲けの仕組み』ほねっこアニメ部屋
http://h0nekk0.blog130.fc2.com/blog-entry-108.html

2.アニメ業界の制作構造図

また、市場ではなく制作面から見た「アニメ制作の構造」については以下のような流れでアニメが作られています。

画像6

https://jp.ub-speeda.com/ex/analysis/archive/41/
SPEEDA『コンテンツ産業における日本アニメの実態と今後を考える』


コンテンツ産業の雇用と人材育成 _page-0024

コンテンツ産業の雇用と人材育成 _page-0026

http://www.jil.go.jp/institute/reports/2005/documents/025.pdf
労働政策研究・研修機構『コンテンツ産業の雇用と人材育成』

全体のおおまかな流れと、少し具体的な内部サイクル、そしてそれらに関わる必要な人数がそれぞれの図からわかるかと思います。

なお、これらは図解としてわかりやすいため引用させて頂きましたが、構造というのは元来ケースバイケースなもの。あくまで参考程度にご覧下さい。

以下の記事も、アニメ産業の構造について比較的詳細に言及されています。

というところで、続きはまた次回。

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