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私が書いた詩をまとめました。
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記事一覧

[詩]解決方法

どれだけ進歩しようとも
どれだけ遠くに行こうとも
人の思いも悩みも尽きること無く
解決を模索する日々
私の解決策は
その手で書くこと
機械にでなく
その手で何かに書き記す
書けば水が流れるように
停留して腐る思いを
混濁して分離する思いを
自分の外へと流れだす
心を開く事も閉じる事も
自分自身に綴らねば出来はしない

[詩]咲く条件

世間知らず
形無し
自分を含め誰も思わず
ただ日々を生きて
抱いているのは自由だけ
苦しんで
イラついて
抱えた自由が小さくなる
根をはらなければ
花は咲かない
空を舞うのはいつも花弁だけ

[詩]遊び心

なくなった なくなった
色鮮やかな長い尾羽が
孤高の証が
わいた虫と這いずり回って
自慢の尾羽がかじられる
家族に友に赤の他人に
目立つがゆえに誰もが羨んだ
幼き日の小さな誇り
孤高の証が
色鮮やかな長い尾羽が
なくなった なくなった

[詩]わをみだす

「わ」にはいるのは嫌だった
優しい人は皆「わ」に誘う
善意から責任感から経験から
間違ってない 正しいことだ
でも どうしても そこにいるには
我慢ならない 一緒にはいられない
「わ」に入らないなら 日陰にいればと
棘ある言葉を投げる人もいるが
歌は広いところで
声に出すから気持ち良いのだ
わがままで ちっぽけで
これは他人には到底理解できない
私の大切な想いなんだ

[詩]野良猫の幸不幸

人の住んでいた時期も知らない
そんな空き家に猫がいた
慈しみをもって子を見守り
怒りをもって人に威嚇する親猫
勝手気儘な不平等に劣等感が溢れても
私は無関心な平静を装った
怒声は愛を知らないし
愛は居場所を知らない
どうあがいても不運や不幸が襲うだろうが
それもたいした問題ではないのだろう
羨ましくないのに
羨ましいと思うのは
人にしか抱けない不幸なのだろう

[詩]幸せの閾値

幸せの日々は泡沫のごとく
数も時も少ない
人生は困難の連続で
苦しみと辛さに溢れている
けれど
苦境に満ちた日々あれば
幸福に満ちた日々も増える
不幸は幸せの閾値を下げて
幸福の泡沫が増えていく
長い長い人生にそれは必要なこと
きっと苦しみを砕いた欠片にこそ
幸せは宿っている

[詩]思い箱

長いこと開けていない宝箱は
隅っこで埃を被っていた
何が入っているのか記憶は曖昧で
どれ程の価値かも覚えていない
開けて見れば良いのに
はりつめた何かが切れてしまいそうで
埃をはらう位しか出来なかった
きっと私の中の大切な思いは
相応しい場所で開かなければ壊れてしまう
そんな偉そうな理由をつけて
あの箱を開ける相応しいを場所を探すために
逃げ出して傷ついて泣いている

[詩]年嵩

たったの一年どうってことない
始まって 終わって また始まった
ただそれだけの事
でもこれが積み重なると
とたんに辛くて 悲しくて 恐ろしい
増えれば増えるだけ
先も後も唯々長く重く
自信も 責任も 羞恥も
高く広く私を形成する何かが
凝り固まってしまう
身動きが出来なくなったのは
寒さだけのせいじゃないと分かっていても
身じろぎ一つするのも億劫だ
だからせめて 喧騒を楽しむ
だからせめて 景色を

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[詩]言葉に寄せる生き様

暑くて 悲しくて
痛くて 汚くて
煩くて 苦しくて
………… …………
愚かで 滑稽で
日々 言葉で遊んで遊ばれて
日々 感情と遊んで遊ばれて
得ることも 得ないことも
充実していると思うのは
たった一人 人の身で
遥かそらを思うよりも はるかに度し難い事
そうであって そうでなければ
恥辱と苦難に満ちた 王道も邪道も歩けない
日々 言葉で遊んで遊ばれて
日々 感情と遊んで遊ばれて
日々 ただお

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[詩]端切れのほこり

端切れの塊を
一針ずつ縫っていくような 子供の悪ふざけ
作る様子も 出来上がった物も
とても見てなどいられない
誇りをもって作ったつもりでも
そんな稚拙な行いだから
到底誰かを暖めうる布など出来はしない
いつか何かの役にも立つかもと
部屋の隅に追いやって
埃を被った頃に救い上げて
懐かしさと恥ずかしさに身をよせる
その繰り返しは自己満足の営みだけど
どこかで誰かの笑い者になれているなら
ほこりにま

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[詩]代償と幸せ

理性を得て 星を得て
常に気遣い続けて
世界と時代に
世間と時間に
転び溺れて落ちて
小さな草花と満開の花木
その日々を同等と錯覚して
誇らしげに下を見て
不孝を幸せに 幸せを孝行に変えて
人は皆
自然に懸命に 自ら不幸へと落ちて行く
おもわぬ些細な幸福が
多大な幸福と思えるよう
勤勉に邁進して 日々を生きて行く

[詩]外の教え

恐ろしいほど 家が叱りつけられている
そう思って外に出れば
体がよろけるほどに
強い強い風が吹き荒れていた
それがこの身を襲った事よりも
街灯に照された夜の舞台で
黄色い葉が乱れ舞う姿に 心を奪われた
季節への最後の悪足掻きか
それとも
季節から乱暴されるのを
唯々受け入れているのか
この光景は 人の考え 人の思いの外
そう思ってしまうほど
鬼気迫る恐ろしい何かがあった
家を叱りつけていると感じた

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[詩]罪状幸福

幸せだった記憶が
不意に頭の中にちらついて
瞳の奥が乾いて 涙が溢れる
子供のときも
大人になってからも
繰り返しては ただ静かに
手に入れることはもちろんの事
見る事すらも もう叶わない
こんなにも愛おしいと思うのは
きっと装飾された記憶のせい
あんなにも こんなにも
どんなにも そんなにも
あの日あの時の私は
くだらなくて 愚かで
つまらなくて 幸せだった

[詩]苦境の道のり

誰からも声援なく ただ孤独に
裸足で獣道を駆ける
皮膚擦れて 痛みの中
息が乱れて 涙は溢れ
何故そうなったかもわからず
いつ終わるかもわからず 唯々走る
山野を抜けるのに他に方法はないし
ここを抜けねば平穏はない
いつかくる事を願い
幸運にその身をまかせて