見出し画像

セカンドハウス 『緑の風と光』

緑が濃くなったヒメシャラの葉がさわさわと揺れ、緩やかに傾斜した南側の窓から、爽やかな5月の風が家の中を抜けてゆく。
イサムノグチの照明も風に乗って、それぞれがふわふわと揺れて面白い。
南と北に大きな開口部があるこの家の風通しの良さに、改めて感心する。
『障子張り替え』のため障子を取り去った窓からは緑色しか見えない。

窓は緑

庭仕事を終えて、一服。
夕方の木漏れ日に感動する。

夕方の木漏れ日

ここなら光遊びができそうだから、明治大正時代のガラスプレートを久しぶりに持ち出して、ここで使ってみようと思った。
『Small gains brings riches in : 塵も積もれば山となる』という格言。
お皿に格言、ってどういう意図だったのだろうか。
昔の人は面白いものだ。

ビンテージのガラスプレート

さてこの家の庭は、『塵も積もれば』ではなく『落ち葉も積もれば』である。
庭には自然の大木がある。
ヒメシャラ9本、槻1本、小楢、槻と思いきやエゴノキだった木。

この花はどうみてもエゴノキ。

ほとんどが広葉樹だから冬には葉を落とし、庭は明るくなる。
庭には、その落ち葉が堆積している。
そして春から緑が生い茂ってくると影になる。だからシダとか短めの草花でしっかり根を張ってグングン伸びてくるような雑草があまり見られない。
自然の『落ち葉マルチング』状態なのだ。

これはもう土をひっくり返して何か植えようとか、根こそぎ草を刈る必要はないかな、と思う。
自然のサイクルに従って、『原っぱ』にすることに決めた。
少し試しに植栽した裏庭も、溜まっていた落ち葉を敷きつめてマルチングしておいた。
ここの土壌に合わなくて消えてしまったらそれまでにしようと思う。
画像では、何を植えたのか、同化してわからない。

落ち葉のマルチング

これまで職業上、生産された切花を活けたり、小さなコンテナに植物をギュッと寄せ植えしてきた。そこでは『人の手を加えていかにステキにするかが大事』の世界。だから以前の自分ならどうこの庭をどう作り変えていくか、ワクワクしていたと思う。

しかし、この手に余る庭に出会って、『あるがままの自然サイクルを受け入れる』ことを考えるようになった。
これも年の功。長年向き合ってきた植物と自分の関わり方の最終形なのだろうか。
変化していくこれからの自分の意識も興味深いところだ。


<家具紹介>
イギリスミッドセンチュリー期のチーク材のチェスト。
場所に合わせた高さとサイズで、ビンテージの家具って、なかなか見つからないもの。勿論、予算も。
ただ、引き出しレールが昔のままだから、一番奥まで引けず途中までとなる。でも、可愛らしいから許してしまう。
電気コード問題でモヤモヤしていたコンポもいい位置におさまることができた。

イギリスビンテージ家具


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?