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セカンドハウス 『ヒメシャラの庭』

GWが過ぎて、セカンドハウスへ向かう週末の朝、出発時間に少し余裕が持てるようになった。
さらにいいことは、到着直前の街道沿いに地場産の野菜や植木などを販売している『道の駅』があり、出発を遅らせることでちょうど開店時間にぴったり間に合うようになった。
朝9時。地元の人たちで賑わっている。駐車場はあっという間に満車だ。

店内はどれも安くて新鮮なお野菜や果物が棚にぎっしり並んでいる。
もうそれだけで豊かさを感じ、気分が昂揚してワクワクする。
季節がもう終盤の夏蜜柑、今が旬の枇杷、新じゃが、ズッキーニ。
それからおやつ用の手作り感あふれる餡子のお菓子などを籠に詰めた。

程なくお店を後にして、別荘地に入る。
風情ある門構えのご近所前の『楓のトンネル』を抜けると、道端に沢山の白い花が落ちていた。

『いよいよ今日は期待できるかもしれない。先週は花の様子も確認できなかったが、今日は満開かも。』と期待は高まる。
門扉を開けるとほらほら。玄関先の苔の上に幾つかの花が落ちてる。

玄関前のヒメシャラの落花

庭の木々を見上る。
あらあら、あまりにも木が高すぎて、遠すぎて、小さなヒメシャラは確認が難しい。望遠レンズや双眼鏡が欲しいところである。

ヒメシャラの庭

早速、いそいそと長靴に履き替え、庭に出た。
昨年の落葉の上に沢山の白いヒメシャラの花が降り積もっている。
風がサワッと吹くと、あちらこちらで白い花がポツポツと落ちてくる。
風が揺らす葉音、鳥の鳴き声、ヒメシャラの花。
『初夏』という季節を五感で感じる瞬間だった。

庭のヒメシャラ落花

このままずっとここで初夏の風に吹かれていたかったが、そう感慨に浸ってもいられない。さて今日の仕事を開始しよう。

道の駅でもとめた山紫陽花を植える、ボロボロに劣化した網戸の張り替え、梅雨に備えて外回りの溝に溜まった落ち葉の除去、張り付いた苔の除去、などなど、本日も課題山積だ。

張り替えた網戸

あれこれと済ませてようやく一区切り。午後のおやつ時間を迎えた。
『珈琲と餡子』は、私にとっては鉄板の組み合わせ。
この風景にどうだろうかと半信半疑で持ってきたボブマリーの曲も、ミスマッチどころか全くこの時間に馴染んでいる。

道の駅で買った、余計な物が入っていないシンプルな餡子の甘味に感謝しながら、『いよいよ西日対策も考えねば』と次の談義が始まる。

本日のおやつ

『夕方5時』を知らせる街の音楽も流れる頃、先月張り替えた和室の障子から庭を見る。
部屋に入る光の加減がなんとも言えず美しかった。
この家の建築家はこの光まで想像していたのだろうか。
この光を通して、時間を超えた対話をしているような気がした。

そしてまた帰り支度時間が訪れる。
ガラガラと音を立てながら時間のかかる雨戸締め作業を始めた。

和室の光

<山紫陽花>
朝の『道の駅』で外の植木コーナーがとても気になった。
4月に植えた柏葉紫陽花の葉が『鹿』に丸裸にされてから、もうこりごり。自然に任せようと思ってはいたものの、沢山の美しい山紫陽花が並んでいたものだから、すっかり目を奪われてしまい、それらはあっという間に車のトランクに乗せられていた。
これからどうなるかわからないけれど、和室の前の庭に植えた。
あとは元気に育つことを祈るしかない。

山紫陽花『紫式部』と『白鳥』を植えた。

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