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AIの進化で人間が不要になるならば、人間は何をするべきか。

最近のAIの進化のスピードは凄まじいものがあって、仕事を奪われる人がかなり大勢出てくるだろうと思っている。並以上の能力を持つ人間よりも、AIの方が頼りになる時代がすでにきている。

翻訳については、DeepLの時点でそこらへんのプロの翻訳者よりもAIのほうが頼りになる存在になっていた。僕はプロの翻訳者に「DeepLの方が優秀」と告げてショックを与えてしまったことがある。しかし本当は「DeepLのほうが10倍くらい優秀」と言いたかったのを我慢して少し控えめな表現にしていた。

ChatGPT4は、DeepLよりもずっと汎用的だ。物知りでかなり頭が切れる。しかも登場してからしばらくの間に知能が上がったようにも感じられる。今後もどんどん進化していくのではないかと専門家が予測していたから、仕事を奪われる人が大量発生する可能性がある。ホワイトカラーでかなりの専門知識を持っている人たちが用無しの存在になるだろうということだ。人工知能の進化によって生み出される仕事もあるだろうが、全体としては失われる仕事のほうが多いと予測されている。多くの人が努力して得た専門知識が用無しになり、中間層が没落し格差が広がっていくことだろう。資本が増殖するために人間の労働力は不要になり、人間の価値が下がりつつある。

こうしたことが起こるのはもっと先だろうと思っていたが、それでもいずれ起こるであろうことは以前から予測していたことだ。『いまここの「幸せ」の話をしよう』にも、このことは少し書いた。

現在、多くの人は自分の価値を、資本にとっての有用性で測っている。そのためAIに仕事を奪われれば、自分の価値がなくなったと感じて絶望する人が増えることだろう。そうして自暴自棄になる人が増れば、社会が不安定化する。

処方箋として必要なのは、AIの開発にブレーキをかけることではなく、資本のあり方を規制することだと思う。富裕層と多国籍企業への国際的な増税と、ベーシックインカムの実施が必要だというのが僕の考えだ。これを実施することによって人々は、競争に駆り立てられることがなくなり、資本にとっての有用性で自分の価値を測ることをやめることができるはずだと期待している。年収や社会的地位では測れない人間の尊厳を取り戻すためにそれが必要だ。

これは貧富の格差に対応するためだが、いちおう補足しておくと共産主義とは何の関係もない。ただ単に所得の再分配を行うというだけの話だ。生産手段を国有化したり、公共事業を増やしたりするのではなく、単純に所得を再分配することによって格差を縮めるということなので、むしろ新自由主義に近い。

貧富の格差はすでに世界中で広がっている。フランスの年金改革をめぐるデモもこれに関連している。だが国際資本を相手にするためには、一国だけの内政問題にするのではなく、国際的な連携が必要になってくるだろう。

要するに、人間がやるべきことは自らの尊厳を再確認することであり、そのために必要になってくるのは、所得の再分配を実現するための国際的な政治運動だ。民主主義国の諸国民が、国境を越えて連帯する必要があると思う。


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