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然るべき家族の記録 ~煙草の後書きに代えて~

https://kakuyomu.jp/works/1177354054888487831

 古いウィンドウズのフォルダに溜まっていた小説を整理していて、叔父の失踪を題材にした小説を書いてから、およそ二年が経過していることに気が付いた。つまりながらそれは、私の叔父が——正確には従兄弟叔父ではあるが——失踪してから、二年の月日が流れたことを意味していた。
 時折、叔父のことを思い出す。家のすぐ側にあるパチンコ屋によく通っていた叔父。偶に血縁関係の薄い私に会いに来てくれた叔父。クリスマスに、いちごの沢山乗ったホールのケーキと、男性は買いにくかっただろう大きなキティちゃんのぬいぐるみを私にくれた叔父。クリスマスプレゼントに欲しいものを問われて、服飾品ではなく本が欲しいと答えた私を、不思議がっていた叔父。子供向けのアニメ映画を一緒に見てくれた叔父。薄着でいた私に——あまりサイズの合っていない、子供用の青いジャンバーを買ってくれた叔父。
 彼の生死は依然として知れない。捜索願いを出したはずの警察署からも、彼本人からも連絡がくることもない。ただその事実に、どうしようもない虚しさを覚える。

 彼の煙草の臭いすらも、私は忘れてしまった。



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