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ライフイズストレンジ2のハッピーエンド

ライフイズストレンジ2の贖罪エンドのその後を書きました。贖罪エンドをクリアした方のみお読みください

ショーンの幸せだと感じる日が1日でも多くありますように。













———


ショーンとダニエルの15年ぶりのキャンプが終わろうとしている。

ショーンはダニエルとハグをして自分の車に乗り、ダニエルの帰る方とは反対へと向かっていってしまった。

目で追いかけたショーンの車が妙に寂しく映る。

ダニエルは車に乗り、兄を思う。


何度も何度も一緒に暮らそうと説得したが、ショーンは頷いてはくれなかった。

「………俺はダニエルと一緒にいる資格なんてない。」

ショーンは地面を見つめながらそう呟いていた。


とりあえず、帰ろう。

頭のモヤモヤを振り切るように、車を走らせた。



しかし、ダニエルはショーンと共に過ごせないことに納得できていなかった。

車の中で兄がかつての自分に言ってくれた言葉を反芻する。


「正しいことをしろ」


あの旅の最後に兄が残してくれた言葉。


「………」



—————-キキーーーーーーッ!!

急ブレーキ音が静寂な森に鳴り響く。

車はUターンをしてショーンの向かう方へと走り出した。

ショーンの居場所なら、思い当たりがある。

猛スピードで走る車を運転しながら、ダニエルは目の前の霧が晴れたような明るい顔をしていた。

「僕が正しいと思うことをする。」と微笑んでいた。


しばらく車を走らせていると例のガソリンスタンドだった場所に着いた。

かつてのガソリンスタンドは廃墟になっていた。


そこに、物憂げに佇む男性がいる。ショーンだ。



壁にもたれかかって座り、ショーンは遠くを眺めていた。

ダニエルは車を停め、ショーンに近づいた。


「やっぱり、ここにいたんだね。」

「どうした。忘れ物でもしたか?」ショーンは少し驚いてダニエルを見た。

ダニエルは笑いながら「うん。大事なものを忘れてた。」

「……?」

「ショーン、一緒に行こう。」

ショーンはダニエルから目線をずらし、地面を見つめながら「またその話か……何度も言ったろ、俺には…」

「僕は諦めないよ、ショーン」

「……」


ダニエルはショーンの前にドスンと座り、真っ直ぐ見つめながら

「ショーンが言ってくれたんだよ。正しいことをしろって。

僕の思う正しいことはショーンに前を向いてもらうこと。

ショーンに分かってもらうんだ。

ショーンのおかげでおじいちゃんおばあちゃん、クリスと今まで楽しく過ごすことができたこと。

ショーンのおかげで誤った力の使い方をせずに、正しく使えていること。

ショーンのおかげで今僕はここに生きていること。


今度は僕がショーンを助ける番だよ。

一人ぼっちになんてさせない。

15年前、ショーンが僕を見捨てなかったように、

僕はショーンのそばにいる。


毎日実感するんだ、まだ9歳だった僕と一緒に旅をするのがどんなに大変だったか。

着いてくるなって言われても着いていくよ。

だって僕はショーンのウザったい弟だからね!」

ダニエルはとびきりの笑顔でそう話した。



ショーンは手で顔を覆っていた。


震え声になりながら、

「でも俺のせいで父さんは死んで、

俺のせいでダニエルは普通には生きられなくなって、

俺のせいでたくさんの人を傷つけて、巻き込んで、迷惑かけて…

俺のせいで、俺のせいで…………」


「ショーンのせいじゃないよ!!!!!」



ダニエルの声がしんとした森に鳴り響く。

ショーンはダニエルの方を見た。



ダニエルはショーンの手を両手で包み込んだ。

「ショーンのせいじゃない。

誰のせいでもないんだ。

そういう運命だった。


ショーンはたくさんの人に迷惑をかけたって言うけど、

同じくらいたくさんの人を勇気づけたよ。


僕は15年前の旅で出会った人たちみんなに再会したんだ。

みんな口を揃えて「ショーンに出会えて良かった。」って言ってたよ。


ショーンは分かってない。

どれだけの影響をみんなに与えたか。

ショーンの言葉がどんなに僕を救ったか。

あの時ショーンが僕を正しく導いてくれなかったら、今の僕はどうなっていたかわからない。

この世界を恨んで、罪を冒し続けていたかもしれない。

何度も言うよ。ショーンがいたから、今の僕がいるんだ。


ショーン…お願いだから罪を背負いすぎないで。」


ダニエルは涙をこぼしながら、ショーンを抱きしめた。


ショーンはダニエルを受け止めて、

「………………ありがとう………」と囁くように呟いた。




それからしばらくの間、二人で並んで空がオレンジに変わっていく様子を眺めていた。

言葉はなくとも、僕らはあの旅で得られた”家族”の絆を再確認していたように思う。





僕たちは再びあの旅に出ることにした。

15年前と同じ旅路を辿って出来るだけあの時出会った人たちに再会しようと、ショーンと話し合って決めたんだ。

みんな、元気かな。


15年前と違うのは、今度は僕がショーンを導く番。

この旅でショーンが前を向けるように。



-終-


拙い文章をお読みいただきありがとうございます。 サポート頂ければ幸いです。