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デ・キリコ 形而上の啓示

現在開催中の『デ・キリコ展』。ということで、今回はキリコについてのお話です。


山田五郎さんのチャンネルでも二回に分けて期間限定公開番組があります。
深堀りしているので是非。



んではAIに質問していきます。
にしても展示会の開催地の人は羨ましい。今回の展示会は10年ぶりとのことで、しかも初期の作品が多く来日しているそうです。自分の作品をアレンジして何度も書き直すキリコの初期作品。見ものだと思います。

デ・キリコについて教えて。

ジョルジョ・デ・キリコは、1888年7月10日にギリシャで生まれ、1978年11月20日にイタリアで亡くなった画家で、彫刻家でもあります。彼は形而上絵画派を創始し、後のシュルレアリスムに大きな影響を与えました。

形而上とはなんですか。

「形而上」とは、物質的な形を持たないもの、または感覚的経験を超えた精神的なものを指します。哲学においては、時間や空間の制約を受けない、経験を通じては認識できない超自然的、理念的なものを意味することが多いです。対義語として「形而下」があり、これは物質的な形を持つもの、感覚によって認識できる現象的な世界のものを指します。

例えば、形而上学(けいじじょうがく)は、存在の根本原理や絶対的なものを探究する哲学の分野であり、アリストテレスによって「第一哲学」とも呼ばれています。この学問は、魂や神、宇宙など、感覚を超えた存在についての思索を含みます。

また、「易経」においては、「形而上者謂之道、形而下者謂之器」という言葉があり、形を持たないものを「道」とし、形を持つものを「器」としています。これは、形而上がより抽象的で普遍的な原理を、形而下が具体的な事物や現象を指すことを示しています。

形而上絵画とはなんですか。

形而上絵画(けいじじょうかいが)は、20世紀初頭にイタリアでジョルジオ・デ・キリコらによって提唱された芸術動向および絵画様式です。このスタイルは、シュルレアリスム絵画の先駆とされ、形而上派やメタフィジック絵画とも呼ばれます。

形而上絵画の特徴は、静謐郷愁を誘うような空虚な都市空間や、遠近法における焦点がずれている効果、人間がまったく描かれていないか小さくしか描かれていない風景、特異な静物や長い影が描かれていることなどです。これらの要素が組み合わさることで、作品を見る者に不安や困惑、幻惑などの感情を喚起します。

デ・キリコの典型的な作品には、イタリア広場を舞台にしたものが多く、彼の作品には時間と空間のずれの効果を狙ったものがあります。また、彼の作品はアンドレ・ブルトンに高く評価され、シュルレアリスムを創始するときの1つの源泉として位置付けられました。

形而上絵画は、実際には見ることができないもの(現象・景色)を描く絵画としても描写され、アルノルト・ベックリンやマックス・クリンガーの影響を受けたとされています。デ・キリコの作品は、1910年代に100点以上存在し、その中でも「神託の謎」「秋の午後の謎」「時間の謎」「自画像」などが特に有名です。形而上絵画はイタリアのみで展開され、国際的な広がりを見せたシュルレアリスムとは異なる運動であるとされています。

デ・キリコの作品は、古典的な建築、長い影、孤独な人物像が特徴で、不思議で静謐な雰囲気を持つ都市の風景を描いたことで知られています。彼の画風は、現実の世界と夢の世界が交錯するような独特の感覚を表現しており、見る者に深い印象を与えます。

デ・キリコの初期の作品は、空虚な広場、長い影、遠近法の効果を駆使した構図など、形而上絵画の特徴を強く反映しています。
しかし、1919年以降は古典技術に興味を移し、新古典主義や新バロック形式の作品を制作しました。

デ・キリコが啓示をうけた時の話をきかせて。

ジョルジョ・デ・キリコが啓示を受けた瞬間は、彼の芸術的な覚醒と形而上絵画の誕生にとって重要な出来事でした。1910年、デ・キリコはフィレンツェに滞在していました。ある日、彼はサンタ・クローチェ広場に座り、ゴシック様式の教会やダンテの像を眺めていると、突然、現実を超えたような奇妙な感覚に襲われました。この感覚は彼にとって非常に新しく、心の中に絵の構図が浮かび上がってきたと言われています。

デ・キリコ自身はこの経験を「初めてその風景を見るような奇妙な感覚」と表現し、それが彼の作品に大きな影響を与えたと述べています。この啓示は、彼の作品における空虚さ憂愁、そして謎めいた感覚の源泉となりました。特に「イタリア広場」の作品群には、柱廊のある建物、長く伸びた影、不自然な遠近法が特徴的で、これらの要素が不安や空虚さを生じさせるのです。

デ・キリコのこの重要な時期の作品は、後のシュルレアリスム運動に大きな影響を与え、芸術の新たな地平を開いたとされています。彼の絵画は、見る者に現実とは異なる、夢のような世界を提示し、内面的な感覚と外界との隔絶を表現しているのです。


芸術家のエピファニー(突然のひらめき)はどうして興味深いのですか?

芸術家のエピファニー(突然のひらめき)が興味深いのは、それが創造性の瞬間を捉え、芸術作品の背後にある深い洞察や感情を明らかにするからです。
エピファニーは、芸術家が自分の内面と外界との関係を再考し、新たな視点やアイデアを発見する重要な瞬間を表します。これらの瞬間は、しばしば芸術家の作品やその後のキャリアに大きな影響を与え、時には芸術の新たな方向性を示すきっかけとなります。

エピファニーは、芸術家が自己の限界を超え、普遍的な真実や美を追求する過程で経験するものであり、そのような体験は、観る者にも強い共感や啓発をもたらすことがあります。また、エピファニーは、芸術家の個人的な物語や文化的背景を反映しており、その時代の社会や文化に対する洞察を提供することもあります。

さらに、エピファニーは、芸術家が直面する挑戦や困難、そしてそれを乗り越えた時の克服の物語を語ることが多く、人間の精神の強さや創造性の源泉を示す象徴となることがあります。
これらの瞬間は、芸術作品を通じて、私たち自身の人生や経験について考える機会を提供し、芸術の力と意義を再認識させるのです。

エピファニーとは、元来はキリスト教の公現祭を指す言葉で、キリストが神として世に現れたことを祝う日です。しかし、一般的には、突然のひらめきや、物事の本質についての深い理解が得られる瞬間を指すようになりました。

エピファニーを科学的に説明できますか。


科学的な観点から見ると、エピファニーは脳の特定の認知プロセスと関連していると考えられています。これは、新しいアイデアや解決策が突然意識に浮かび上がる瞬間であり、しばしば「アハ体験」とも呼ばれます。このような瞬間は、脳が以前に収集した情報を新しい方法で結びつけることによって生じるとされています。

エピファニーは、アルキメデスの「ユレカ!」やアイザック・ニュートンの万有引力の法則の発見など、歴史的な科学的発見においても見られます。これらの瞬間は、科学者が長期にわたる研究と思考の後に、突然洞察を得ることが多いです。


デ・キリコが第一次世界大戦後に古典回帰したのは何故ですか。

デ・キリコが第一次世界大戦後に古典回帰をした理由は、当時のヨーロッパで高まっていた「秩序への回帰」の動きに影響を受けたためです。彼は古典技法に傾倒し、14~15世紀のイタリア絵画を模写するなど、以前とは異なる作品を描き始めました。

この変化は、デ・キリコが常に現代性を追求していた画家であり、硬直化していた前衛表現を問い直し、時代遅れと見なされていたモチーフや表現を意図的に提示する反前衛的な試みとも解釈されています。

キリコが古典回帰した後にシュルレアリスムの人たちが批判したのは何故ですか。

ジョルジョ・デ・キリコが古典回帰した後、シュルレアリストたちによる批判が起こったのは、彼らがデ・キリコの初期の形而上絵画のスタイルを高く評価していたからです。
デ・キリコの初期作品はシュルレアリズムの発展に大きな影響を与えましたが、1919年以降、彼が新古典主義や新バロック形式の作品を制作し始めたことで、シュルレアリストたちは彼の方向転換に失望し、その作品を厳しく批判しました。

シュルレアリストたちは、デ・キリコの古典回帰が形而上絵画の革新的な精神から離れ、伝統的な芸術形式への後退であると見なしました。
彼らは、デ・キリコが以前に示した超現実的な要素や不条理な組み合わせ、夢のような風景を描くことから離れたことに反発しました。
特にアンドレ・ブルトンなどのシュルレアリストの中心人物は、デ・キリコの新しい方向性を受け入れることができず、彼との関係が断絶することになりました。

デ・キリコは、ギリシャで生まれイタリアで没していますが、彼の作品は国際的に展示され、特に1928年にはニューヨークで個展を開催しています。
彼の芸術的な足跡はヨーロッパに限定されず、世界中で影響を与え続けています。


キリコの啓示の話でゲシュタルト崩壊を思い出したので、ついでに質問。
ゲシュタルト崩壊についておしえて。

ゲシュタルト崩壊(Gestaltzerfall)とは、知覚における現象の一つで、全体性を持ったまとまりのある構造(Gestalt, 形態)から全体性が失われてしまい、個々の構成部分にバラバラに切り離して認識し直されてしまう現象を指します。

この現象は、例えば同じ漢字を長時間注視していると、その漢字の各部分がバラバラに見え、その漢字が何という文字であったかわからなくなるというものです。ゲシュタルト崩壊は、視覚的なものに限らず、聴覚や皮膚感覚、味覚、嗅覚においても生じることが知られています。

この現象は、1947年にC・ファウストによって失認の一症候として報告されましたが、健常者にも持続的注視に伴って生じることが知られるようになりました。

近年では、意味飽和との関連も指摘されていますが、ゲシュタルト崩壊の発生要因については未解明な部分が多く、感覚器の疲労や順応によるのではなく、比較的高次な認知情報処理過程によって発生することがわかっている程度です。


キリコの言う「初めてその風景を見るような奇妙な感覚」っていうのは分かる。経験したことがあるな。まるで同じものじゃないだろうけど。
雑踏にいても世界がシーンとして、この世に自分ひとりしかいないような感覚。知ってるはずの場所なのに、ここどこ? と異空間に紛れ込んだような感覚。色褪せた景色と音のない空間。
キリコは静謐、郷愁、謎と言ったけど、確かにそうだなと思う。
初めてみた景色って感覚だけど郷愁を誘うってのは、もはや謎だよね。

秋の日に、わざわざフィレンツェのサンタ・クローチェ広場に行かなくても経験したことのある人は多いと思うよ(笑)

長くなってもーた。
『デ・キリコ展』は、デ・キリコの約70年にわたる画業を網羅しており、彼の初期の「形而上絵画」から晩年の作品まで、100点以上の作品が展示されています。
展覧会は東京都美術館にて2024年4月27日から8月29日まで開催。
9月14日から12月18日は神戸市立博物館で巡回展示されます。

てなわけで、地方住まいの私は残念だけど(^^; 近場の方はぜひ。


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