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【幻】東京・代田橋「新京」のラーメン420円、餃子250円(2006年7月)

小田急線代田橋駅にやや近いさびれた商店街の一画に、新京はあった。 

 一度通り過ぎた。でも気になった。
 木造モルタルの薄汚れた外観。
 日に焼けたビニールテントに雨だれが残した汚れ。
 頭3桁の電話番号と割れた看板。木のサッシ。
 そんな横顔が忘れられず、通り過ぎた後引き返し、暖簾をくぐった。

 おっさんばっか。新聞片手に炒飯を頬張るじいさん。
 黙々とラーメンをすするおっさん。
 奥のテーブルには、「だからさ、しのちゃんは言ってやんなきゃわかんないのよ」とくだを巻いてるおっさんが2人。
 おっ、眼鏡をかけた一見おたく風の学生がタンメンの大盛りを注文したぞ。
 しょっちゅう来てるね。メニューなんか見ないもの。

カウンターは、そこが食事の場だってことを示してる最低限の奥行。
 手書きのお品書きを見れば、餃子は250円だ。
 思わずビール550円と一緒に注文。
 そりゃ250円。ほとんど肉のないミソはやむを得ないけど個人的には焼き方と皮なんで、餃子は。
 もっちり、しっかりした皮で合格点。

 ラーメン420円は、恐らく湯通ししただけのしゃきっとしたもやしにいかにも手作りな歯ごたえの焼豚、甘めのシナチクに昔ながらのナルト。
 ちりぢり麺に絡むスープは、オーソドックスな醤油だが、単に化学調味料の味だけじゃなくて、煮込んだスープの深い旨味もある。
 合計1120円。ビールと餃子、ラーメンで1500円を切る個人的ハードボイルドな中華の条件を十分満たす。
 ラーメンは積極的に旨いと思ったし。

 もうないんですね。心の底から残念。

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