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罪と罰日記

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フュードル・ミハイロヴィッチ・ドストエフスキーの「罪と罰」を読む度に感想を書いた日記(2008年に書いたものです)
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2014年6月の記事一覧

罪と罰日記 5月17日 手紙が長い

フュードル・ミハイロヴィッチ・ドストエフスキーの「罪と罰」を少しずつ読む度に、少しずつ感想を書いていく日記(2008年に書いたものです)。

新宿中央図書館で、集英社「愛蔵版 世界文学全集18 罪と罰」を借りる。

主人公ラスコーリニコフの部屋の描写でいきなりくらくらする。
屋根裏の、部屋というより押し入れに近い部屋って、ほとんどホームレスじゃん。

とにかく語りと手紙が長い。
酒場で愚痴るマルメ

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罪と罰日記 5月23日 貧乏では昔のロシアにかなわない

フュードル・ミハイロヴィッチ・ドストエフスキーの「罪と罰」に続いて、ハーマン・メルヴィルの「白鯨」を少しずつ読む度に、少しずつ感想を書いていく日記(2008年に書いたものです)。

 いや、まだ60ページまでしか進んでないんですが。

 いまのところ、伏線はラスコーリニコフが実行しようとしている「あのこと」「あれ」が何かってことで。それ以外は、ストーリーらしきストーリーもまだまだ全然見えませんとも

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罪と罰日記 5月31日 可哀想過ぎる35歳

フュードル・ミハイロヴィッチ・ドストエフスキーの「罪と罰」を少しずつ読む度に、少しずつ感想を書いていく日記(2008年に書いたものです)。

 とにかく幸せそうな人が出て来ません。

 偶然でくわした学生も、極貧で、あの有名な「生きていてもしょうがない老婆を一人殺しても、その金で100人の生命が助かれば正義ではないか」って駄弁ってるくらいで。

 さて、斧を入手したラスコーリニコフはついに金貸しの

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罪と罰日記 6月4日 ロシア人は名前と戯れる

フュードル・ミハイロヴィッチ・ドストエフスキーの「罪と罰」を少しずつ読む度に、少しずつ感想を書いていく日記(2008年に書いたものです)。

 主人公ラスコーリニコフは、老婆アリョーナ・イワノヴナと可哀想すぎるリザヴェータを殺害。
 第二部に突入した「罪と罰」だが、ここへきて、さらにくどくなる。

 なんつうか、ロシア人はこんなに話が長いのか、記憶力がいいのか、と首を傾げる。
 アルバイトのあっ

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罪と罰日記 6月11日 アキバ無差別殺人犯にも共通

フュードル・ミハイロヴィッチ・ドストエフスキーの「罪と罰」を少しずつ読む度に、少しずつ感想を書いていく日記(2008年に書いたものです)。

 第二部174ページまで読んで思ったことは、ドストエフスキー、少なくとも「罪と罰」は難しくないってことでした。
 
 哲学的問答が続いたり、抽象的な文章が畳み掛けるような印象を持ってましたが、全然そんなことはない。
 確かに、手紙は長いし、覚えづらい名前が頻

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罪と罰日記 6月15日 天才には人を殺す権利がある?

フュードル・ミハイロヴィッチ・ドストエフスキーの「罪と罰」を少しずつ読む度に、少しずつ感想を書いていく日記(2008年に書いたものです)。

 ずっと借りっ放しってわけにもいかないので、図書館で借りた集英社の愛蔵版世界文学全集から岩波文庫版に乗り換え。前回は、退職官吏のマラメードフが馬車に轢かれたところだったんですが。

 主人公のラスコーリニコフは、酒場で泥酔し、惨め過ぎる身の上話を打ち明ける

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罪と罰日記 6月21日 「渡る世間は鬼ばかり」か?うかつな家族が決裂する

フュードル・ミハイロヴィッチ・ドストエフスキーの「罪と罰」を少しずつ読む度に、少しずつ感想を書いていく日記(2008年に書いたものです)。

 さて、主人公ラスコーリニコフの妹、ドーニャの婚約者ルージンまで登場してしまった「罪と罰」。
 陰惨な殺人事件から、まるで「渡る世間は鬼ばかり」のような、家族騒動に場面転換します。

 なにせラスコーリニコフ、出会ったその日からルージンに喧嘩売ってますから

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罪と罰日記 6月28日 まるで「デスノート」なポルフィーリーとの対決

フュードル・ミハイロヴィッチ・ドストエフスキーの「罪と罰」を少しずつ読む度に、少しずつ感想を書いていく日記(2008年に書いたものです)。

 漫画「デスノート」の、ある意味ハイライトであり、個人的には「なんぼなんでも」と思ってしまったのが、夜神月とLとの対決だった。みんなそうか。
 ほとんどキラ=夜神月と察しがついているにもかかわらず、確実な証拠を持っていないLは、あえて夜神月にキラ捜索の手助け

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罪と罰日記 6月29日 まるで「池中玄太80キロ」

フュードル・ミハイロヴィッチ・ドストエフスキーの「罪と罰」を少しずつ読む度に、少しずつ感想を書いていく日記(2008年に書いたものです)。

 ロシア文学だから共産主義——と思い込んでましたが、ドストエフスキー、むしろ反極左だってことが判明。

 第5部の冒頭は、主人公ラスコーリニコフの妹ドゥーニャ(これは実は愛称。本名はアヴドーチヤ。ちなみにドゥーネチカと呼ばれることも。ああ、ややこしい)から婚

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罪と罰日記 6月30日 まるで「ウルトラセブン」最終回 ダンとアンヌの会話

フュードル・ミハイロヴィッチ・ドストエフスキーの「罪と罰」を少しずつ読む度に、少しずつ感想を書いていく日記(2008年に書いたものです)。

 もしもあなたが人を殺したとして、そして愛する人がいたとしたら、その事実を愛する人に伝えるか。
 僕は伝えない。絶対嫌だ。嫌われたくない。隠したい。

 ところが、「罪と罰」の主人公ラスコーリニコフは、伝えてしまう。
 ソーニャを愛しているから。
 そして、

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