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小説同人誌を初めて作る方へのアドバイス集

紀咲です。
いくつか貯め込んでいた記事を楽しんでいただきありがとうございます。
他の方の役に立てたら良いなあと思いながら記事を書いているのですが、最近読んだ記事にハッとさせられました。

同人誌を作り始めて5年以上経ちますが、同人誌を作ることにおいてあまり悩むことはありませんでした。
理由として
・先駆者に相談に乗ってもらっていた
・買った同人誌を参考にしていた
・経験を積んできた
辺りがありました。
そのため全て作ってきた同人誌は誤字脱字以外を除けばほぼ失敗したことがありません。読みづらいことはなかったと思います。
ですが「書籍用紙や淡クリームキンマリを知らずに上質紙を本文に選んでいる」「嵩高の紙を使って厚みを出している」等々の内容に、そういう人もいるのか…!!と驚かされました。
正直な話、自分で作る上で人のを参考にすることもあったため、かなり目が肥えていました。イベント会場に行く前にリサーチしないことがなかったので、その場で突発的に本を買う、ということも減っていました。
昔偶然見かけて見本誌を手にした時も、やはり文字の読みやすさだったり紙だったりを確認したなあと思い出しました。
なのでそういった本に出会ってなかった、もしくは出会ってもそのまま手にすることがなかったのかもしれません。
私は最高で400ページの文庫同人誌を作ったことがありますが、背幅は2センチぐらいだったのでかなり薄く作れたな、と頷いてますし、その部分はより一層気を付けていました。ページ数多いと達成感あるから作りたくなるんですよね。大変だけど。

幸いにも失敗したことがない私ですが、周囲に相談できずに、何も分からず作る人はうまいこと作れないのかも…と考えを改めまして。
今回は「初めて小説同人誌を作る人へ向けた、印刷所から紙までこれを選んでおけば大丈夫」な記事を書いていこうと思います。

・前提

まず前提、「どういう条件で作ろうと検討しているか」ですが、今回は下記二種類の条件を元にご紹介したいなと思います。

・表紙フルカラー/本文モノクロ/オンデマンド印刷
・A5サイズ/40P
・文庫サイズ/100P

何でA5と文庫の二種類にしたかと言うと
「確かに初心者はA5サイズから作った方が良いけど、どうしても文庫サイズが出したい人に向けても書いておこう」
というのと
「ここ二年ほど紀咲が文庫同人誌しか作っていない」
という理由からです。
作れと言われたらA5も作るんですけど、まぁ拘りみたいなものです。サイズ統一したいな、みたいな。
因みにA5の40Pと文庫の100Pは、事務ページ(中表紙や後書きや奥付など)を除いて、大体本文は4万字ぐらい書けます。
文庫サイズだとカバーを掛けたいって方もいるかと思いますが、今回はそこをあえて抜いています。
またオンデマンドとしてますが、オフセットも少しだけ紹介します。
別途、カバー付き文庫同人誌を作りたい人向けの記事も書きますね。
なお、部数や金額などは今回指定しません。人によって全て異なるので。

・印刷所

まあまず悩むのはここだと思うんですよね。いっぱいあるし人によって合う、合わないがあるので絶対にここ!とは言えないですが。
先に同人誌印刷所を紹介しているものを載せておきますね。

5年以上同人誌を出してきて思った感想なんですけど、
「お金ちょっと積めるなら、少し高いなぁと思った印刷所に依頼する」
のが、初手は良いかもしれません。
オンデマンドでちょっと高いな~と思う所ってあると思うんですけど、その理由は「入稿された原稿のチェックがしっかりしてる」所だと思うんですよ。特殊加工は置いといて。
印刷するに当たって相当なミスはどの印刷所も連絡が来るんですけど(原稿サイズが違うだったり)細かいミスって基本的にオンデマンドだと連絡が無いんですよ。
けれど少し高い所ってサポートもしっかりしてくれることが多いので、ちょっとのミスなどでも連絡くれたりするんです。再入稿もさせてくれます。
絶対に高い所がサポート手厚い、とは言えないんですが(どんな印刷所でもトラブルの話はいくらでも聞くので)いくつか印刷所を利用していて思ったことなので、そうなんだ~ぐらいで頭の片隅に置いてください。

なので、よくおすすめと言われる「ちょ古っ都製本工房」さんや「コミックモール」さんは、初心者にはちょっと向かないな、と思っています。
ただ私はここの二つには大変お世話になっているので、慣れてきたら是非とも使っていただきたいです。特にコミックモールさんは薄い書籍用紙があるので、400ページの本を作ったとしても、背幅が2センチになります。
ちょ古っ都製本工房さんも最近は薄い書籍用紙を用意してくれているので、薄めの本も作りやすくなりました。(ちょ古っ都製本工房は同人誌印刷所さんではないので、そこだけご注意ください)

その前提を提示した上で、紀咲が一度以上利用したことがある印刷所の中から
・プリントオンさん
・ホープツーワンさん
・ブロスさん
を紹介させていただきます。


・プリントオンさん

みんな大好き、沢山のオプションから特殊加工を盛れる印刷所。
ここは個人的に、とてもサポートが手厚いなと感じています。
もしここで印刷をするならどれが良いんだ…と悩むと思います。
何故かって、あまりにも本のセットが多いから。
それを見てるのが楽しいんですけどね、何して良いか分からないですよね。
プリントオンさんが良いなあと思ったら、手軽に特殊加工がしたいと思うので、
・○○特殊紙セット
・○○箔押しセット
・○○××セット(ここは時期によって加工内容が異なります)
を覗いてみましょう。
○○にはその時期のフェアの名前が入っています(スプリング・アニバーサリー・サマー・オータム・ウィンター)
特殊紙と箔押しセットに関しては、別途データを作る必要がなく、選ぶだけで特別な一冊が作れます。
キラキラしていたり少し模様が入っていたり、季節の箔押しが押せたり…HPを見るだけできっと楽しいと思います。私も時間が溶けがちです。
またセット内に遊び紙も含まれているので、その時期の遊び紙を選んで挟むのも、大変可愛いと思います。
他にも
・和風セット
・レター本セット
・レースセット
・フレームセット
・コーナー箔セット
などは通常箔押しの様に専用データを作る必要がなく、
・わくわくドキドキセット
などは装丁を全てスタッフさんが決めてくれます。
何が届くのか、会場で段ボールを開けるのが楽しみですね。

なお、ここまで沢山話しましたが…
上記のセット、殆どがA5サイズまで対応しています。
文庫サイズは殆ど対応していません…!!!
カバーを掛けるなら、文庫本セットやパチカカバー本セットがあるんですけど…悲しいですね。
サポートの手厚さ、特殊加工の多さからおすすめしますが、文庫サイズを検討している方はちょっと難しいかも知れません。
なお、わくわくドキドキセットに関しては、お願いすれば文庫サイズでも対応してくれる、なんて話を聞きましたが…もしかしたらデザインセットだけかも?
サポートが手厚いので、会員登録してマイページから問い合わせが気軽に送れます。少しでも悩んだら問い合わせるのも良いかもしれません。見積もりもさくっと出せるので、もし良いなあと思うセットがあったら見積もりを取ってみましょう。
ここしばらくプリントオンさんを利用できていませんが、いつかは厚い本でレター本セットとか作りたいなあと夢見てます。

それから、プリントオンさんは小説向きの本文用紙が「淡クリームキンマリ72.5kg」と「白上質紙70kg」と案内されています。
小説本はやはり白より黄色みがある方が読みやすいので、「淡クリームキンマリ72.5kg」を選んでおけば間違いがないです。
文庫の100Pの本だったとしても6ミリぐらいなので、すごく厚くなることもないです。これなら安心ですね。


・ホープツーワンさん

季節毎にキャンペーンをしてくれたり、早期入稿で特典が付いてくるホープツーワンさん。
ここはオフセットメインのためか、本文用紙に書籍用紙が選べないことが多いです…なのでオンデマンドで作りたいなあと思うと選択肢から外しがちだったんですが…最近見つけました。
季節限定のオンデマンドセットだったら、本文用紙に書籍用紙があります!!!

2023年春のキャンペーン

2023年夏のキャンペーン

トップページにあると思うのでそこから見て欲しいんですが、
見積もりは一番右にあります。

ホープツーワンさんの見積もり見やすくて好き

このセットは夏に使おうと思っているので、現在まだ未利用なのですが…見た感じ、限定の表紙用紙や遊び紙がとても豪華で、作るのが楽しくなるな、と感じました。
箔押しなども勿論ありますが、それがなくてもセット内のもので豪華なのが作れそうな予感。
このフェアに関して言えば、30%割引か50%のポイント還元をしてくれるんですよね。
以前すごいポイント還元をしてもらい、本当にすごかったので…ポイントで次の本も作れる…ってなります。
このセットはA5も文庫も作れるし、やはりサポートも手厚いので初めての本作りには向いていると自信持って言えます。
また、こちらも本文用紙は「書籍紙 72.5kg」が一番向いています。
このフェアのオンデマンド、締切がかなり短いです。早割しても短いなあと思うぐらいです。箔押しなどすると少し短くなるので、そこだけ注意してくださいね。
夏に作ったらレビューとか出来ると良いなあと思っています。


・ブロス

メインはオフセットですが、オンデマンドもあります。
ここは「かっちり製本」がかなり挙げられますね。製本が美しいです。本を数冊手に取って、立てて見ると綺麗さがよく分かります。
オンデマンドのセットはオプションで表紙用紙の変更や箔押しなどができます。なのでシンプルなのも、ちょっと凝ったのも作れます。

そしてブロスさんは、本文用紙として「美弾紙ノヴェルズ」と「淡クリームキンマリ62kg」の二種類を用意してくれています。
何が違うの?となりますが、「美弾紙ノヴェルズ」の方が少し厚いです。HPを確認すると63kgだそうです。
更に「淡クリームキンマリ62kg」には注意書きがあり、
淡クリームキンマリ62kgは、ページ数が少ないと波うちが大きくなります。200ページ以上の本ですと、多少の波うちは出ますが許容の範囲と思われます。表紙は厚いものを使用して下さい。波うちを気にされる方は、従来の美弾紙ノヴェルズをご利用ください。
とのことです。
そうなの?と思うでしょう。こちらご覧ください。

計算機で実際に計算してみると、この通り。

1ミリって誤差だと思うんですけど、これがページ数増えると更に差が出るので、ブロスさんが仰ってる通り、200ページ超えるなら「淡クリームキンマリ62kg」、そうでなければ「美弾紙ノヴェルズ」を使うのが吉です。

・表紙用紙

ここまでは基本的に、「この印刷所を選ぶなら、このセットで本文用紙をこれにすると良いよ」という紹介をしてきました。
ですが一つしてないことがありますね。
そう、表紙用紙です。
何を選んだら良いの?と思うと思います。見本もないのに写真だけで選べ、なんて無理ですよね。分かります。
紙は何キロか記載がありますが、紙によって柔らかさなども変わってきます。同じ数字でも触ってみると違うな、ということも多々です。
ですがこれまでかなり、特殊用紙についてご案内してきました。普通な紙よりキラキラしていたり、手触りが違うものを使いたいなと思う人が多いのではないかと思うからです。
なので、表紙用紙についてはこれ!という指定をしたくないのですが、ちょっと迷うなと思った人にアドバイスを。

・特別なことがない限りは110kgを超える紙にしよう
・180kg以上はかなり重く固くフルカラーのイラスト本向けです。叶うなら選ばないようにしましょう
・個人的には130kgぐらいのがしなやかさもあって好きです。

またPP加工についてですが、特殊用紙にはPP加工が向いていないと言われています。理由は様々ですが、
・キラキラした表紙は風合いが薄れることがある
・凹凸のある用紙はPPのフィルムが密着しない
等です。ですがPP加工を推奨するものもあるので、HPを確認したり印刷所に問い合わせてみましょう。
どの印刷所も、問い合わせに対応してくれます。真摯に対応してくれるので、上記以外の印刷所でも気軽に聞いてみましょう。
もし分からなければ、私が相談に乗るのでいつでも相談してください…っ!!!(心の叫び)

・おまけ

①オフセット印刷所

オフセットも紹介したいなあと思ったので書くと
・ブロスさん(オフセットも勿論やってますからね)
・大陽出版さん(書籍用紙の多さがすごい)
・しまや出版さん(サポート手厚いです!)
辺りが個人的には良かったな、と思っています。
本当に色々と利用してきましたが、最近は書籍用紙の取り扱いを増やしてくれた印刷所も増えてきたので、そういった所では感謝の気持ちも込めて使っていきたいな、と思います。

②本文用紙に書籍用紙がなかったら

たまーにですが、書籍用紙を取り扱っていない場合もあります。漫画メインなのかなあと思うこともあるでしょう。
また私の場合は、漫画と小説の合同本やアンソロジーを作る時に、どれが良いのかと悩んだことがあります。
書籍用紙は本文用紙の中でもかなり薄いです。文字だと透け感が気にならなくても、漫画になるとかなり気になることもあります。
こういう時はどうするの?と悩んだら、「コミックルンバ」だったり「美弾紙」だったりの、「クリーム」色を選びましょう。
コミック向けのもので色がクリームな紙を扱っている印刷所が多いです。単行本みたいな本を作りたい、みたいな人向けなんですけど。
これなら漫画は透け感が気にならないし、クリーム色なので小説でも読む時に気にならないです。
厚みも出にくいものが多いので、嵩張ることもありません。
後は季節やテーマに合わせて色を変えるのも良いと思います。私は夏の本だったので「ブルー」などにして季節感を出したこともあります。
慣れていないと難しいかもしれませんので、最初の内は書籍用紙を扱っている印刷所を選びましょう。

③よく使う印刷所

紀咲が個人的に、よく使う印刷所を紹介します。
・コミックモール(カバーが付けられるし薄い本文用紙があるので好きです。ベルベットPPが最高に好き)
・ちょ古っ都製本工房(少部数作りたい時などに助けられています)
・プリントウォーク(本文の色刷りフェアやクリアトナーなどあまり他の印刷所でできない加工が好き)
・関西美術印刷(カバーを綺麗に印刷してくれるので好きです)
・PICO(全面箔押し印刷が最高でした)

・最後に

本当に考えていなかった記事なのでまとまりがないかもしれないのですが、今回は印刷所周りをテーマに記載しました。
本当なら、組版とかフォントとか、やることは多いんですけど、全部一つにまとめると長くなるし、他に書いている方も多いので、敢えてこういったものにしました。
最近はリアルイベントも盛んになってきましたし、楽しく同人誌活動をしてほしいと思っています。
ここまでお読みくださりありがとうございます。もし分からないことがあれば、本当に声掛けてくださいね…相談に乗るので…。

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