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コミュニティ論から考えるJリーグのゴール裏【VOICEVOX3周年文化祭】

YouTube版:8/21投稿予定
ニコニコ版

8月5日よりニコニコ動画で開催されるVOICEVOX3周年文化祭に投稿する動画の原稿です
ニコニコフッカツヤッターということで、ニコニコならでは(?)の投稿者の趣味が凝縮した動画を作りたいと思います


はじめに

突然ですがみなさんは敬虔な(変数:クラブ名)のサポーターであると思います

スタジアムにはいろいろな人がいることでしょう
・全力で飛び跳ねチャントを叫ぶ人
・写真や動画を撮る人
・熱が入りすぎて(オブラートな表現)出禁になる人
いろいろな人がいて楽しいですね

そこで今回の動画ではコミュニティ論に基づいてJリーグのゴール裏を分析してみたいと思います

コミュニティの分類

まずはコミュニティを語るうえで基本的な分類を3つ紹介します

農村型コミュニティ

一つ目は「農村型コミュニティ」です
これは、共同体に一体化する個人が構成単位となる、地縁や血縁などに基づくコミュニティの体系です
他にも、農村型コミュニティには、共同体が先に存在し、個人は生まれながらにしてその共同体に属するため、個人は属するコミュニティを選べないという特徴があります
このコミュニティは人間が誕生し、社会を構築するようになったときからずっと存在するコミュニティの形です

都市型コミュニティ

次に二つ目は「都市型コミュニティ」です
これは産業革命後に誕生したコミュニティの形態で、産業が発展することにともなって農村から都市へ人が移動することで成立しました
農村から人が出てくるという特徴に相まってこのコミュニティは個人を構成単位としています
また、このコミュニティは共通の規範やルールに基づく繋がりと特徴とする、外部に開かれたコミュニティです
つまり、個人がどのコミュニティに属するかを決めることができるわけです

また、世界にあるコミュニティは全て程度の差はあれど「農村型コミュニティ」「都市型コミュニティ」の両方の特徴を兼ね備えています。
おもしろいですね

ネットワーク型コミュニティ

そして最後に、現代社会の新しいコミュニティとして誕生したのが、「ネットワーク型コミュニティ」です
このコミュニティは構成単位や特徴は都市型コミュニティと同じなのですが
個々人が認識した国家や市場では解決しきれない問題に対応するために結びつくことでできるコミュニティです
この形のコミュニティができた背景には、市場経済が発展していく中で発生した多くの問題に対して、解決するためのコミュニティが存在しない
つまり、これまでの農村型コミュニティと都市型コミュニティという二つのコミュニティではたちゆかなくなっているということによって成立したコミュニティというわけです

考察

さて、基礎知識を整理したところで、Jリーグのゴール裏がどのコミュニティにどのように属しているのかを考えていきましょう

農村型コミュニティ

まずは農村型コミュニティについてです
これに当てはまるのは地元愛的なあれですかね

このように、特定クラブを応援するようになった理由の四分の三くらいは「地元だったから」です
つまり、地元に根付いているという特徴があるJリーグクラブは、生まれた場所によって所属が決まる農村型コミュニティと密着するのに相性が良かったということです
地元を盛り上げてくれるJリーグクラブを応援することはコミュニティを盛り上げることに直結しますからね
ゴール裏でいうと、チャントを叫ぶことで、安心感や一体感を得ることができる。これも農村型コミュニティの特徴といっていいでしょう
それと、農村型コミュニティの特徴の一つに、外部に対する排他性というものがあります
これも簡単ですね。メインスタンドやバックスタンドならともかくとして、相手チームのゴール裏に行こうとはしないはずですし、そんなことをしないようにスタジアムでは警備員や緩衝地帯を設けてあります
つまり、農村型コミュニティの特性の一つとしてゴール裏には他チームのサポーターは入れないという特徴があると言っていいかもしてません

緩衝地帯や警備員を突破して相手チームのゴール裏へ殴り込みをした稀有な例

都市型コミュニティ

次に都市型コミュニティについてです
これは個々のサポーターであると言えます
どういうことかというと、近代社会において都市型コミュニティはコミュニティに自由に出入りできる
つまり、個々人はどこに住んでいようがどのクラブを応援するかは自由ということです
私の知り合いにも、千葉に住んでいる川崎サポや鹿島サポがいます
人間関係っておもしろいですね
今、彼らは何をしているのでしょうか。私が音信不通になったので近況がわかりません

話を戻しまして、個人が特定クラブのサポーターであると自認するということはどういうことか、考え直してみましょう
さて、都市型コミュニティの特徴の一つに、参加資格として一定のルールを理解したり、理念を共有し賛同することができるということがあります
つまり、究極的に言えば、特定クラブのサポーターを自認するということは、そのクラブのフィロソフィーに共感することなのです

ジェフ千葉のフィロソフィー1
ジェフ千葉のフィロソフィー2

しかし、この動画を見ているほとんどの方は必ずしも応援しているクラブのフィロソフィーに賛同して応援しているわけではないと思います
選手がかっこいいから、スタジアムの雰囲気が好き、そして先ほども挙げたように地元にあったから
このような理由で応援し始めたという人が大半だと思います

それではJリーグクラブのサポーターは都市型コミュニティに関してどのように属しているのでしょうか
それは、サポーターであることそれ自体です
話が堂々巡りになっているのではないかと感じる方もいらっしゃるでしょうが、先ほど言った通り、都市型コミュニティにはコミュニティに自由に出入りできるという特徴があります
つまり、サポーターになるのも自由だし、サポーターを辞めるのも自由ということです
都市型コミュニティの特徴である、参加資格として一定のルールを理解すること
この参加条件となるルールを「そのクラブを応援する気持ちを持つこと」とすれば、都市型コミュニティの視点から見ると、ルールに共感すればコミュニティに入ることができサポーターを自認できる。逆に言えばルールに共感できなくなったときにコミュニティから抜け、サポーターを辞めることができます

ネットワーク型コミュニティ

最後に、ネットワーク型コミュニティについてです
これは非常に多岐にわたります
というのも、ネットワーク型コミュニティ自体が他者と共同して特定の問題に対応するために生まれるものであるため、一つのクラブにはスタジアム内外だとかクラブと共同して活動しているかいないか問わず数多くの取り組みがあり、そのすべてがクラブの状況を改善するためのものであるということに疑いの余地はありません
具体例をスタジアムの内外で一つずつ挙げます

まずはスタジアム内での活動から
この例として挙げられるのはゴール裏の団体です
彼らはホームアウェイ問わず北海道から沖縄まで愛するクラブの試合があればチームの好不調に関係なく日本中を飛び回ります
選手たちの勝利への最後の一歩を踏み出させるサポーターの声援をリードする彼らの活動は、視点を変えると選手への応援を取り仕切る人がいないという問題に対して集まった有志団体ということになります
これは立派なネットワーク型コミュニティといえますね

次に、スタジアム外での活動例を
それは、フリーペーパー等の配布活動です
柏レイソルの『アディショナルタイムズ』やヴァンフォーレ甲府の『バス小瀬新聞』のように、スタジアムの最寄り駅にて有志が集まって編集・配布しているフリーペーパーは、特にアウェイサポに対し勝ち点を得るのとはまた違ったベクトルでの遠征の楽しみを与えてくれます

たまたま近くにあった『バス小瀬新聞』

このように、遠征に来たアウェイサポを少しでも楽しませたいという問題意識で集まったこのような取り組みはネットワーク型コミュニティといえます

まとめ

以上のように、Jリーグのゴール裏などに発生するコミュニティについて農村型コミュニティ、都市型コミュニティ、ネットワーク型コミュニティという3種類の視点から分析してきました
今回取り上げた事例はあくまで一例にすぎませんし、別の視点から分析をかけることもできるはずです
次は今回取り上げた事例を別の種類のコミュニティの視点からみてみたいですね
時間があればですけど

参考

大学の授業

https://lab.ae.keio.ac.jp/~hsuzuki/soccer/pdf2012/10file.pdf

https://jefunited.co.jp/special/30th/pdf/JUA_210806.pdf


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