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偽悪的な信用

 僕は偽悪的に振る舞う人をどこかで信用しているところがある。

 柔和な表情を浮かべて、優しい言葉遣いで接した方が受けがいいし、信頼は得やすい。それは自分自身が、仏頂面と笑顔を並べてみた時にどちらと接したいかを比べれば、なんとなくわかるだろう。

 それにもかかわらず、偽悪的に振る舞う人がいる。

 僕の尊敬するある人もそうで、嫌われることを恐れず、人の痛いところをついていく。そして、「口が悪いんで、すいません」と言うのだ。

 あえて突き放すようなことを当たり前に言う。

 漠然と年齢を重ねていくと、波風立たないように生きるようになっていく。だから、臭いものには蓋をして、愛想笑いで誤魔化す。

 でも、それじゃあ本当に内側から腐ってしまう。自分の病巣を取り除きたいと思ったら、やっぱり蓋をとって、腐った部分を取り除く必要が出てくる。

 臭い匂いに不愉快になるけれど、それを乗り越えた先に、本当のスッキリがあると思うのだ。

 偽悪的に振る舞う人は、無理やり蓋をとる役割をしてくれている。そんな損な役回りをしてくれる人のことを僕は信用しているのだ。

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