バスでの出来事
荷物を抱えて、辛そうにバスに乗ってきたおばあちゃんがいて、座っていた人がすぐさま席を譲ろうとした。そうしたら「いい、いいのよ!」と言って、おばあちゃんは遠慮した。
行き場を失ったその人はまたその席に座ったのだけど、動き出したバスの中でおばあちゃんはどう考えても立っているのが辛そうにしている。
そうしたら別のおじさんが次の停留所で、「座って」と席を譲ろうとする。おばあちゃんは「いいですから」とまた遠慮する。
おじさんは「いいから、座りなさいよ」と言って、おばあちゃんを半ば強引に座らせた。するとおばあちゃんは「ありがとうねー」と言って感謝していた。
結局、おばあちゃんは座りたかったのだろう。
バスから降りる時も、しきりにおじさんに感謝していた。
自分も相手も思いやりを望んでいるのに、遠慮がそれを阻む瞬間がある。
お節介が一概にいいとは思わないけれど、お節介が遠慮を乗り越えさせてくれることがある。
たまにはお節介をやってみようと思うのだった。
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