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助けになるために必要なこと

 小川 修繕するものとされるものの力関係に差があるといけないとおっしゃっているんです。
河合 そうです。それは非常に大事なことで、だいたい人を助けに行く人はね、強い人が多いんです。
小川 使命感に燃えてね。
河合 そうするとね、助けられる方はたまったもんじゃないんです。そういう時にスッと相手と同じ力になるというのはやっぱり専門的に訓練されないと無理ですね。 
(『生きるとは、自分の物語をつくること』河合隼雄、小川洋子)

 だれかの力になりたい。そう口にする人はたくさんいて、しかしその多くは実現しなかったり、やっても長続きしなかったりする。

 それは、単なる能力の問題だけではない。自分だけで完結しないにも関わらず、相手の求めていることや意志を無視して突っ走ってしまうからだ。
「この人にはきっと、今こういうものが必要だ」と思い込み押しつける。結果、突っぱねられてしまい、それに気を悪くしてやる気を失う。完全なる独り相撲だ。そこには施しをする側の傲慢さがあるのだ。

 完璧な対等は、誰に対してもありえない。その上で、可能な限り対等であり続けることは非常に難しい。力を持たない者は、どうあっても最大値に限界がある以上、力を持っている側が主に調節をする必要がある。
 しかし、全力は簡単でも、その場その瞬間の「ちょうどいい」を微妙に調節し続けるのは本当に神経を使うし、技術が求められる。だから、だれかの力になるためには、実は自分を律することがもっとも大事になってくるのかもしれない。

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