海外の記憶 アフリカ ケニア 3
テントでの宿泊は不安な一夜でもありました。本当に猛獣が襲ってくることはないのだろうか。確かにテント自体はしっかりしたものです。テントはとても大きくてベッドもあるし、ソファーもあります。そしてトイレまで付いているのです。入り口には大きなジッパーが付いていてしっかり閉めることが出来ます。きっと象にでもアタックされない限り大丈夫なのだと思います。でも動物の唸り声が聞こえたりするとやはり、なんとなく不安になります。
翌朝は早く起きて熱気球に乗って空から動物を眺めるというスケジュールです。車に乗ってしばらくすると大きな気球が見えて来ました。
すでに飛ぶための準備が始まっていて気球のバーナーがガンガン燃えています。基本的に熱気球はバーナーを強く焚くことで上がり、弱くすることで下がりますが、横に移動する手段はないのです。
日が昇り、辺りが見えるようになったら出発です。つないであった綱を外し、重しの砂袋を落とすと徐々に上がり始めます。横移動は風頼りなので、その地域の特有の風の流れを知り、その時々の風を読んで上下しながら大体の方向に進みます。
見えている気球はもちろん自分たちの気球ではなく、ほぼ同時に出発した他の人たちの気球です。
飛行機やヘリコプターとは全く違う初めての感覚です。気球の動きはゆっくりですが、それでもあっという間に高くなって行きます。すぐ近くのバーナーが凄い音を立てているので大声をあげないと話も出来ません。
風に乗って動物たちが待っている場所へと少しずつ流れて行きます。
上下の移動は意外と簡単なようで、操縦士がひもを引っ張るとバーナーが音を上げ炎が気球を突き上げます。すぐ横にはお隣さんの大きな気球が浮かんでいます。気球を見下ろすなんて、そんな景色は見たことがありません。
空は徐々に明るくなって行きます。そして下の様子もだんだんと見えて来ます。
アンテロープの群れやキリンの群れも見え始めます。動物たちは何が来たのかとやや落ち着きません。
ウォーターバックがこちらを見上げています。
目的地に到着するとお隣さんの気球はそろりと離れて行き来ます。
そして我々の気球はバーナーを落としてゆっくり降下して行きます。
象の群れがどんどん近づいて来ます。気球はこんなに下がっていいのかなと思うくらい下がっていきます。
ほとんど目の前に象がいます。感覚としては高度10メートルでしょうか。
動物の姿はすぐそばにいるようで、はっきりと見ることが出来ます。よく見るとハイエナには首輪がついています。ここでは動物も個別管理しているのでしょうか。
でもダチョウやアンテロープにはGPSは付いていないようです。
シマウマもきれいな縞が見えますが、白地に黒なのか黒地に白なのか、微妙ですね。
シマウマはラブラブで、もはや気球の存在は無視されているようです。
インパラは臆病だと見えてどんどん気球から逃げて行きます。
インパラはオスだけに立派な竪琴のような角があります。そして多くのメスを引き連れて暮らしています。
こちらはチーターです。こんなに近くで見られるなんて奇跡的です。
遠くを見つめる姿はかっこいいです。
何か見つけたのでしょうか、ゆっくりと歩き始めました。本当に芸術的と言ってもいいくらい美しい姿です。
いろんな動物を見ているうちに着陸点に近づいて来たようです。
気球は動物がいなそうな場所にゆっくりと着陸します。気球の風船自体は我々が下りるとゆっくり空気が抜けて大地に横たわっていきます。既に操縦士は仲間と連絡をとっていて、しばらくするとトラックがやって来ました。気球を畳んでトラックに乗せ、もといた場所まで送ってくれました。
少し休むと、ここから有名なマサイ族の村に向かいます。
途中で木の上に止まっている鳥が絵になっていたので思わずパチリ。この木は多分キリンが大好きなサバンナ・アカシアです。
イボイノシシの親子も見つけました。そしてキリンもいましたが、人馴れしているのでしょうか。あまり逃げようとしません。
マサイ族の村に到着するとマサイ族の人がわっと集まって来たのでこちらの方が少しビビってしまいました。
マサイ族の主食は牛乳と牛の血だそうです。肉や野菜は余り食べないのです。
マサイ族の人は高く跳ぶことが偉い人の証のようで、一番高く飛んだ人は好きな女性と結婚出来るそうです。それから牛が財産でお金のかわりにも使われるそうです。
マサイ族の村はブッシュで囲まれ丸い形に作られています。夜には猛獣から身を守る為に見張りがいて、猛獣を殺すことで一人前になれるのだそうです。
囲いの中には家畜や家があります。家の中にも入れてもらえますが、何もなかったです。
これは蛇のように見えますが、アンテロープの角なのです。いわゆる角笛です。
実はこの村は観光客に見せる為の村で、火を起こすところから昔ながらの方法を見せてくれます。
煙が出たら乾いた草に点火させます。
男たちはなかなかイケメンで愛想もいいのです。土産物を持って来ては1ドル、5ドルと熱心に売り込みをしていました。
そして見学を終えると女性たちが見送ってくれました。
さていよいよケニアの旅も終わりに近づいて来ました。帰り道ではこんな風景にも出会いました。
牛さんはなかなか動いてくれません。
そろそろ街が近づいているのがわかります。
飛行場に行く前にジラフセンターというところで最後の観光です。そこには古い館がありイギリス統治の名残のように見えます。
入り口の先にある粗末な建物の木の階段を登ると長い廊下があり、廊下に沿って庭が広がっています。そこがキリンの住処です。廊下の高さがキリンの頭と同じくらいの高さで、ちょうど餌をあげることが出来るようになっています。
キリンは臆病でおとなしいと思いきや、グイグイ迫って来ます。
舌が灰色で大きくてつい手を引いてしまいました。
そしてここにはアフリカ土産を買う最後の場所があり、これで本当にツアーの終わりになります。
お土産といえば旅の途中で買ったアフリカ打楽器が空港の売店でだいぶ安く売られていたのがショックでした。私の経験では空港の売店は高いというイメージですが、そんなことはなかったのです。いやいやそうではないです。現地の人から買う時に値切らなかったのがいけなかったのです。バンコックに生活していた私としてはまったく不覚でした。
でもそんなことはどうでもいい話で、思い出をたくさん心に詰め込んで帰ったことを今回の投稿で改めて思い出しました。アメリカに連れて行ってくれと何度も言ってたガイドさんはあの後どうなったのかな?
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