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強気には倍返しせり雲丹の棘

今日の絵は雲丹です。雲丹を晩春の季語で見つけたので描いて見ました。シドニー湾で雲丹を採っていたのは間違いなく夏でした。でも寒いと海から出た後、体が冷えるので勝手に夏に行っただけですね。

というわけで調べて見ると、雲丹は種類や場所によって採れる時期が違うようです。バフンウニが1月から4月、ムラサキウニが5月から8月、エゾバフンウニは6月から11月、アカウニが10月から11月とバラバラです。でも一番ポピュラーなムラサキウニが旬を迎えるのは5月です。それで晩春の季語になったのかも知れません。歳時記に季語として採用されたのも明治になってからのようです。江戸時代の寿司では雲丹は食べていなかったのかも知れませんね。

私は寿司屋に行ったら大抵雲丹といくらを頼みます。だいぶ前のことですが、神田の小さな料理屋で木箱に入った雲丹を贅沢に掬って食べたことがあります。なんとも言えないくらい美味しかったことが今でも忘れられません。木箱ごと出してくれたのでこれが最上の雲丹の運搬方法なのかと思いましたが、実は本当に高級な雲丹は海水入りのままパックして産地から送られるそうです。確かに乾燥した木箱よりそのままの雲丹の方が美味しいでしょうね。

ところが海外に目を向けると雲丹のステータスは全然違いますね。今では寿司ブームもあってフランスやチリなど各国で食べられているようですが、元々はイタリアの一部くらいでしか食べられていませんでした。それが海外の寿司ブームでだんだん食べる人が増えては来ました。でも寿司ネタとしては外人の「嫌いな寿司ネタ」ランキングでイクラと共に常にトップ3に入っているほど人気がないんですね。そう言えば豪州でも私のいた80年代当時、雲丹は誰も採らないので海にはいくらでもあって大きい雲丹が取り放題でした。もっとも今では豪州はチリ、ロシアについで3番目の雲丹漁獲国になっているので、だいぶこの辺の事情は変わっているのでしょうね。何しろ日本の雲丹の9割は輸入品なのですからね。(世界の雲丹の8割を日本人が食べているとも言われます。)

強気には倍返しせり雲丹の棘

雲丹を掴むと棘が痛いので軍手などを使いますが、そんなものでは到底相手になりません。強く掴むと棘が反撃してくるので海の中で浮かしたまま網の袋に入れて回収していました。両手に厚手のゴム手袋をはめてそっと包むように持ったり、大きめの棘を素手でつまむようにして持ったりした記憶もあります。

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