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鐘の音人それぞれの晦日蕎麦

除夜の鐘は108の煩悩を払う為と言われていますが、煩悩って本当に108もあるのでしょうかね。面白いのは4x9で36、8x9で72,それを足して108、つまり49と89で四苦八苦だって。まさか鎌倉時代に九九算はなかったでしょうと思って念の為に調べたら、なんと奈良平城京の木簡に九九算が書いてあったそうです。

除夜と言ってももちろん「夜を除く」わけではないですね。大晦日のことを昔から除日と言うのでその日の夜は除夜なんですね。「除」と言う言葉は「古いものを捨てて新しいものに移る」と言う意味なので大晦日には全てを捨てる・忘れる、つまり年忘れってことですね。そんな訳で除夜の鐘も寺によっては鐘を打つ回数も108とは限らず、打つ時期も一般的には年を跨いで打つ寺が多いようですが、大晦日までに打ち終わる寺もあれば、新年から打ち始める寺もあるそうで割とアバウトなんですね。とにかく今年のことは忘れましょうですね。

では今日の一句です。季語では年跨ぎしても、新年ではなく飽くまで「暮」になります。

古希過ぎて撞いたことなし除夜の鐘

夜中は寒いし、若い時から除夜の鐘を撞きにお寺に行ったことはありません。もちろん平日にお寺の鐘を撞いたことはありますが、年越のカウントダウンは殆ど家の中ですね。ただシドニーにいた時だけは友人の家でシドニー湾のカウントダウン花火を見せてもらいました。しかしこの句では情緒も何もないですね。除夜の鐘なら行く年を惜しむ感じですかね。

鐘響く人それぞれの大晦日

人によって今年の懐いは違うので「人それぞれ」にしましたが、どうも焦点が定まらずぼんやりして絵になりません。ここは何か具体的な景色が欲しいところです。

鐘の音人それぞれの晦日蕎麦みそかそば

同じ「人それぞれ」ですが蕎麦を入れると少し現実的な景色になりますかね。できれば蕎麦の音も合わせて想像してください。

令和4年8月の5句

サイレンの幾度と響く長夜かな
朝市や土の残りし秋大根
不機嫌な日の鈴虫のやかましさ
何気ないドラマに涙老いの秋
はねものが時に背伸ばす萩の花
あかとんぼ横断歩道をすういすい

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