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海外生活の記憶 バンコック90’s 7 洪水

バンコックは熱帯地域らしく雨季には激しいスコールがあります。雨が降り出したら傘などほとんど役には立ちません。もともとメコンデルタの湿地帯に出来た街なので雨が降り出すとすぐに洪水になります。当時は多分排水設備も整っていなかったのでしょう。タイヤの半分くらいの高さまでの洪水なら問題なく車で出勤します。バンコックは平地で山がないので普通は雨が止めば、それ以上に増水することはありません。ただ、外出の途中で雨が降り出すと大変なことになることがあります。どんどん増水して車の中まで水が入って来たこともありました。これ以上降ったら車が浮いてしまうのではないかと言うところで助かったこともありました。勿論そんな時は車は修理工場行きになります。また大した洪水でなくても渋滞は加速します。アポの時間に遅れたことは何度もあり、お互い様という感じで相手も許してくれるそんな感じでした。食事会で結局、相手側は間に合わず我々だけで食べたなんてこともよくありました。

雨の時は基本的にゴルフは中止ですが、やはり途中で降り出す時がやっかいです。勿論降り出したらすぐに木の下や小屋に避難しますが、雨が止んでプレイを再開してもグリーン上では思い切りパターを叩いてもボールは水を切りながらすぐに止まってしまいます。それでもあきらめない人はグリーンを省略してティーショットだけと頑張りますが、ボールは着地したとたんにドバっと埋まります。フェアウェイでロストボールということもありました。バンコックでは雨が降ったらゴルフは止めましょう。

スコールがあっても、一つだけいいことがあります。雨が上がったあと緑がとてもきれいなのです。バンコックは当時工場排気や車の排ガスなどで大気汚染がひどく、公害問題も深刻化していました。道のほこりだけでなく、街中がなんとなく煤けた感じなのです。それがこの時だけは白壁に赤い花が映えてとてもきれいに見えました。

当時、郊外の工場を訪問することはとても多かったのですが、新しい工業団地にある建物でも数年間で地盤沈下により50センチくらいは地面が沈んでいる場面をよく見かけました。何故それがわかるかと言うと建物だけはかなり深くまで杭を打っているので沈まないのに、それ以外の地面が沈んで建物に入る階段の下に空洞が出来ていたり、場合によっては建物全体が浮いたように見えたりします。この杭打ちというのも地下の岩盤に打ち込むのではなく、砂地に深く差し込んでいるという感じなのです。ですから本当は建物も沈んでいるのに全体が沈んでいてわからないのかも知れないのです。私には洪水が更にそれを加速しているように見えて仕方ありませんでした。

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