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怒るより諭せと知った青き春

少し前ならこのオジさんは誰、どこのサラリーマンと言われていたかも知れません。でも今ならきっと栗山監督だと思ってくれる人も多いことでしょう。細い垂れ目が特徴ですね。でも若い頃の写真を見たらめちゃくちゃイケメンでした。

WBCが終わっても栗山監督や白井コーチなど選手以外の方が引っ張り凧です。あれ!「引っ張り蛸」だったかな?手や足を皆で引っ張るからきっとこちらが正解ですね。選手はWBCが終わればすぐにシーズン本番なのでテレビに出ている暇なんてありません。そんな訳でバライティー報道番組はWBCの余韻を楽しむ為に選手以外の人の裏話で番組を繋いでいますね。それにしても栗山監督への称賛は日本中至るところに溢れています。あの体育会系の長嶋一茂氏でさえ、今後は監督が上から目線で命令するのではなく、対等の目線で選手を支えて行くことが監督の役割なんだと変わるきっかけになればいいですねと言っていました。う〜〜ん、今更か〜とも思いますが、まあ彼までそう思うようになったのはとても意義のあることだと思います。

でも栗山監督のような監督は今までも既に結果を出しているのです。サッカー日本代表の森保監督が正にそうですし、プロ野球だって日本一になったオリックス中嶋監督もセ・リーグ優勝のヤクルト高津監督も監督としては目立たず、選手を信頼して彼らに任せるスタイルです。日本代表の白井コーチが日本ハムを引退した後、ヤンキースにコーチ留学に行ったそうです。そこで監督やコーチのあり方の違いに気がついたと言っていました。それ以来、白井さんはコーチの役割として選手をリスペクトし、何かを押し付けるのではなく、聞かれたら話すことに徹しているそうです。

でもこのことは野球のコーチだけの問題ではありませんね。私が暮らしていた豪州では12才までは子供を置いて外出する時はベビーシッターをつけることが法律で義務付けられていました。でも13才になるとなんと逆にベビーシッターのアルバイトをすることが出来るのです。私にとって始めは新鮮な驚きでしたが、その後、12才までは親が保護者としてしっかり監督するけど、それ以降はベビーシッターだけでなくいろんな場面で大人扱いしている姿を何度も見かけました。意見は意見としてしっかり聞くし、逆に出来るだけ意見を言わせていました。人を人として扱うことこそ人権の基本中の基本ですね。監督・コーチだけでなく会社の上司、国会議員や市会議員だって選手や部下、スタッフたちと人としては対等の関係でした。勿論、年齢なんて関係ありません。役割は役割としてわきまえながら、会話をする時はお互いをリスペクトしていました。

これこそ縦社会、上下関係しか経験していない日本人にとって頭の中で分かってはいても、なかなか感情として理解出来ないところだと思います。栗山監督の人柄と言う個人的な話でなく、これを機会に立場が違っても人を人として対等に見る、扱う、信じることが大切なことだと思ってもらえるといいですね。そう云う意味では今回、ダルビッシュや大谷選手のように海外の空気を吸った名選手が日本の体育会系の世界に新しい風を吹き込んでくれたことは、とてもいいことだったと思います。フランクな人間関係、人を信じる気持ち、大げさに言えば人権意識の原点こそ12才を過ぎたら大人扱いする豪州のベビーシッター制度なのかなと、遠い昔の出来ごとを思い出してしまいました。

怒るより諭せと知った青き春

海外生活の投稿でも書きましたが、初めて管理職になった時に部下の失態を他の人の目の前で大声で叱ってしまい、そのことを後でベテランの豪州人社員に注意されたことがありました。マネージャーが自分をコントロール出来ず興奮して怒ったら駄目です。もし注意したいことがあったら人前ではなく個室に呼んで冷静に問題点を指摘すべきですと。人前で恥をかかせることも、ただ怒鳴りつけることも人権を無視していたんですね。それ以来、私は人前で叱ることも大声を出すこともしないことを心がけて会社生活を終えたつもりです。(もっとも今やっていたらパワハラですね。)


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