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「ホットワインも凍る年越し」2023年12月31日の日記

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・今日はドイツから帰った後、1週間ほどの間に起きた、特筆すべき出来事について話す。

・まず、市のプログラムをきっかけに交流が続いていた隣の大学の学生の家に招いてもらい、ジンジャーブレッドに絵を描いた。

・トゥルクが主催している「Friendship Program」は、家族から友人グループ、お年寄りから学生までまさにトゥルクで暮らす老若男女の希望者と留学生を結びつける制度だ。

・わたしが知り合ったのは偶然にも系列の大学のビジネスを選考する女学生。
この学科には下の階に住むめいちゃん(仮名)も所属しており、グループワーク系の課題が多いらしい。
彼女の課題の都合で、Friendship Programの全体イベントには実は参加したことがないのだが、その埋め合わせをするかのように週に一度は必ず声をかけてくれる、ありがたい人だ。

・留学期間中、誰かの家を訪問するのは2回目。しかし、前回は日本語サークルの集まりで半社会人の部長の家にお邪魔させてもらったので、リアルな学生の家は初めてだ。

学生の家のクリスマスツリー

・写真から分かる通り、眺めは最高、部屋もびっくりするほど広かった。いや、広さで言うとTwitterでよく流れてくるおしゃれな部屋とそう変わらないが、デコレーションに充分なお金がかけられている。
電子レンジとオーブン、しっかりとした大きさのクリスマスツリーに2人は寝転べそうなベッド、枕元ではミニチュアの汽車がクリスマスを彩るように雪の中を走っている。

・おまけにクリスマスプレゼントも貰った。
わたしがフィンランド語のコースを受講しており、毎回その話をしていたからか、ムーミンの可愛らしい絵付きでフィンランド語の単語を学べる素敵な、素敵すぎる本だ。
本×フィンランド語と、好き×好きのプレゼントで彼女の暖かさに思わず涙が出た。

・クッキーのデコレーションも、図画工作が小学生の頃から苦手だったわたしにしてはよく出来た。元々作ることは嫌いではない…手先が思うように動かないだけで。

・彼女は今年に入ってから既にこのデコレーション遊びを4回ほど経験しているらしく、爪楊枝のような小道具も駆使し綺麗な作品を作っていた。
いざやってみるとついつい集中してしまい、雑談する余裕もないほど「創作」に没頭してしまった。楽しかったので帰国してからもやりたいな。ユーロのやり取りに慣れてしまうと日本円なんて安くて仕方ないから、調味料だって化粧品だって、何だって買ってしまう気がする。

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・またある日は、カフェでケーキを食べながらムーミンの本を読んだ。

・目で見て楽しむだけでなく、英語の勉強、そしてフィンランドの勉強にもなるムーミン。

・たとえば上の写真のムーミンママは、ムーミンの話を聞きながら編み物をしている(と思っていたけれど、よく見るとただバッグを持っているだけかも。都合がいいので編み物をしていると思って下さい)。
これはフィンランドにありがちな内職で、大学の授業でも学生が講義を聞きながら編み物をしている姿をたまに目にする(英語で質問する傍ら猛スピードで編み物をしているクラスメイトには、頭も編み力も勝てないなと思う)。

・下の写真はこの絵本のクライマックスで、登場人物がオーロラの下でムーミン谷の冬を楽しんでいる。
絵本だからこそフィンランドらしさが率直に表れている気がして、この時間はとても有意義だった。

・「zigzagging=ジグザグする」という動詞があることも知った。
考えてみればジグザグって外来語っぽい響きだけど、海外の人にジグザグが通じるって、不思議な気持ちだ。トラウマ、タバコ、インテリもその仲間らしい(インテリは通じないと思うけど)。

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・2023年は日本とフィンランドの2回、年越しをお祝いした。
約7時間ほどの時差があるかつどちらの年越しの瞬間にも実感が湧きづらく、何なら今も年を越した実感がないのだが、こちらでは午後6時過ぎから市民が自主的に花火を打ち上げ始め、クリスマスから一気に新年ムードだった。

・トゥルクでは夏の終わりにあるTurkuDayとこの日に花火が打ちあがる。
まさかフィンランドで花火を2回も見ることができるとは予想していなかったので、かなり嬉しい。

・年越しの瞬間は町にかかったアウラ川沿いの土手からチューターと、先述したフレンドシッププログラムで知り合った学生とわたしの3人で花火を見た。

・チューターがGlogi(グロッギ)というヨーロッパでは冬に好んで嗜まれるホットワインを持ってきてくれたのだが、-13℃の中約30分川のそばにいるということは思ったよりも負担が大きく、凍傷になりかけながら帰宅した。

・寮までのバスにやっとこさ乗車した際に気づいたのだが、ホットワインを溢してしまっていたようで、その雫がコートの上で凍っていた。
以前大学の教授と会話をしていた時に「まつ毛も凍るような雪を体験してみたい」という発言があり、まさかとは思ったものの、ホットワインも凍る冬を体験してしまった。

・実はその後、寝る間もなく高校の友人と北欧旅行に行くのだが、それは次の機会に。

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