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ラーメン二郎全店舗を制覇した男が独断と偏見で個人的ベスト店を挙げてみる。

男はロマンを追い求める生き物だ。

と、いろんなものから学んだ。特に漫画から。主に男塾とか刃牙シリーズがほとんどだ。

そんな私は先日、ラーメン二郎仙台店の敷居をまたぐことにより、
ラーメン二郎全店舗制覇を達成した。

全店舗制覇なんかどうでもいい…自分の好きな店を楽しめればいいと思っていた私だったが、いざ成し遂げてみると大威震八連制覇(だいいしんぱーれんせいは)の勝利並の達成感を得ることが出来たのである。

漫画やサブカルチャーに育てられた男が、ラーメン二郎全店舗制覇に至るまでに記録してきた媒体は2つある。


Instagramのフォロワーは1.1万人を超え、毎投稿1,000以上のいいねがつくようになった。

ブログに関しては2015年から現在までおよそ330万PV。
いずれもご愛読、大変感謝申し上げます。


ぶっちゃけてしまうと、ラーメン二郎以外のラーメンもかなり食べている。そりゃあもう、今となってはラーメン二郎のほうが少なくなったくらいだ。

だが…本当に美味しいものをたくさん食べて見聞を広めておけば、よりラーメン二郎のありがたみを感じられるのではないだろうか。
 

単に、より強い男に出会いたいのである。

強い男に憧れるのは当然のことだ。身近なものだと父の存在であったりするわけだが、それが史上最強の生物と恐れられる存在であるなら、なおさらそれを超えたいと思うのは当たり前だと言える。

これは、ラーメン二郎の実態とその歴史に関しても当てはまることだ。

都内を中心に現在40店舗を数える支店は、我々二郎好きあえてジロリアンとは名乗らない)の腹と欲を満たしてくれる存在である。

各店舗も、各々が信じるラーメン二郎の理想を求めて日々鍛錬し、研究を重ねて現在の味を作り出してきた。

三田の親父さんの発明品を食べ、作り方の指導を受け、模倣し、己の一杯を作り上げてきたそれは、間違いなくラーメン二郎の中で生まれた新たなる個性と言えるだろう。


三田から始まったこの血統…これこそがラーメン二郎の姿なのである。


というわけで、全店舗制覇記念として個人的に好きなお店のベストを挙げてみようと思った。

のだが。

ぶっちゃけ自分の中で2位以下〜5位までは、そこまで大きな差はない。
10位以下になるともはや1回しか行っていない店も多い。都内住みのため、地方の店舗はなかなかハードルが高いわけだ。

三田と目黒挙げねーのかよ!などという意見や、野猿・関内こそ最強いやいや松戸だろ!?といった声も聞こえてきそうではある。
二郎好きの人数だけ好みがある。そう思っていただいて間違いない。

そういう理由もあり、深く言及するのはあくまで個人的主観による上位5店舗にとどめておく。
逆に言うと「個人的にこの5店舗だけはめちゃくちゃ語っておきたい」ということだ。ご了承いただきたい。


10年前からラーメン二郎に憧れ、この6年間でおよそ300杯以上(これぞ本当の意味での"どんぶり"勘定)を食べた男の恋路である。


第5位 ラーメン二郎越谷店

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2019年3月、現在は埼玉県内3店舗を誇るラーメン二郎勢力において2番手にオープンしたこの店舗の特徴は、非乳化・ヴォリューム・そして大判の豚が楽しめる教科書どおりのラーメン二郎だ。

もともと藤沢店にて修行し、三田本店を経てオープンに至ったが、オープンまでの間、一度閉店した新小金井街道店にて半年間の臨時オープン・臨時店主を務めたという異例の経歴を持つ店主による経営である。


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2018年6月に唐突に始まった新小金井街道店での臨時営業は、旧体制とは若干違う、現在の越谷と同カラーのスープ・麺で一世を風靡した。
私は開店直後から3日連続で食いに行ってしまったほど、このブツに惚れていた。

ほぐし豚という飛び道具を武器に、通うたびに増えていく麺量。
夏場のつけ麺の際には馬鹿みたいな量の麺を盛ってくるなど、確実に嫌な予感が的中した。自分の中でどんどんエポックメイキングな存在となっていったのだ。

越谷オープン後にも毎度毎度のハラスメントレベルのボリューム(それでも店の規定量)を突きつけながらも、その味わいは極めてオーソドックスなラーメン二郎、かつ藤沢での修行の色を濃く出した非乳化スープを楽しませてくれる。


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現在は汁なしラーメンの提供もあり、さらにその楽しみの幅は広がっているようだ。これはちゃんと著者が食べたブツの写真である。

土地柄もあってなかなか電車では、なんて思ってしまいがちだが、駅からも近く、いつも行列が絶えない姿を見るとやはり、あの小金井の頃の味わいに惚れ込んでいたのは間違いではなかったなと思う。




第4位 ラーメン二郎荻窪店

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2016年1月、旧ラーメン二郎荻窪店の閉店を経て桜台駅前店→三田本店で修行した現在の店主による経営となっている荻窪店。

荻窪駅南口から阿佐ヶ谷方面に歩いて10分。天沼陸橋の麓に位置するこの店舗は、当初から恐ろしいほどの凶暴性をもったド乳化スープ・最重量級のボリューム・豚もデカすぎといった極めて近代的な二郎であった。

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中央線沿線に住む私はリニューアルオープン当日から通っており、そのアホみたいな攻撃力、日に日に進化していくスープを楽しんでいた。

心無いインターネットの住民たちは様々なネガキャンを行っていた時期もあったが、現在は麺量もわりと少なめで安定。スープもより洗練され、一口飲めばこれは荻窪の味、といったバイブスを一瞬で感じさせてくれるブツへとじんわり変貌していった。


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昨年は「お食事は15分程度でお願いいたします」という張り紙も貼られたこともあった。
立地的に初心者も足を運びやすい店舗ではあるものの、一定の緊張感を味わせてくれることは否めない。
しかしながら、細かい麺量の指定…麺半分や少なめ、言えばおそらく麺4分の1といったものにも対応していただけるだろう。
麺量の確認、もしくは食券提出時にそれをしっかりとお伝えすることをおすすめする。
コロナ禍にある現在は、より回転速度を早めるためか
「大ラーメンの廃止」の通知もトピックとなった。


また、この店の大きな特徴は「給水器横に複数の調味料が置かれている」ことだ。

現在、定番化したのは「ポン酢」「ラー油」で、一時期は「ネギ油」といったものまで置いてあった。

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ちなみに私は最近設置されている「ごまだれ」にラー油を垂らし、これでヤサイとアブラを堪能してから麺を食べるという手法を楽しんでいる。

小皿は有料の生玉子をオーダーしないともらえないので、そこんとこご留意いただきたい。

最近はメンマや味玉などの有料トッピングなども登場したので、ぜひ併せてご堪能いただければと思う。
ただし、15分で食べることは念頭に置いておこう。



第3位 ラーメン二郎仙川店

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第三位は1990年代からの老舗。2000年中頃の店主交代なども在りつつ、現在まで非常にクラシックな味わいのラーメン二郎を堪能できる仙川店である。

コロナ禍を迎えた現在では持ち帰りラーメンの販売も行っているものの、それ以前は
「ラーメン以外のメニューは一切なし」
「太古には豚トリプルも存在した」
「生麺が1玉100円(400グラム)で買える」
「鍋二郎も可能」 
という貴重な店だった。

その味わいは極めてクラシックであり、非乳化・十分すぎるボリューム・隕石のような巨大豚という私が大好きな要素が備わっている。

店内は暗く、FMラジオ(局はNACK5)が流れているのみ、スタッフ同士の会話もなしという、以前はなかなかハードルの高い雰囲気を醸していた。
現在は多少ではあるが、助手と店主の会話もBGMとして楽しむことができる非常に良い雰囲気である。相変わらず暗いが。
(コロナ禍だから無駄なおしゃべりをするな、というあまりにも洒落の通じない指摘は不要である。)


ラーメン二郎に慣れ親しんだ者は、「行きつけの店のブレを楽しむ」という境地に達することが出来る。

工場で作られたスープや麺と違い、すべてが手作りでしつらえられた本炊きスープと自家製麺ゆえ、ブレが存在してしまうことは否めないのだ。
当然ながら、どの店においても。

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そんな中でこの仙川店は…こんなことを言ってしまうのはアレなのだが、

「ラーメン二郎屈指のブレ率」を誇る。

これは量の問題ではなく、多くはスープの塩分量と推測される。
インターネット上では「お湯割りスープ引き当てたwww」などとふざけている輩もいるが、私の所感ではスープそのものの濃度が薄かったという記憶はほぼ、ない。

しょっぱいか、しょっぱくないか。それがかなりのブレを感じさせるのである。

そしてそれに対応する形で「豚がしょっぱい」「豚が硬い」というような現象も起こるから面白い。

私のように中央線沿線からバスまたは自転車で通うことができる人間であれば、このブレについても楽しむことができる。

今日は薄かった…今日は濃くて最高だった…
今日は…あんまりアブラが浮いてなかった…今日アブラ浮きまくりでそれのせいで塩分も感じなかった…

といった具合でいちいち自分の中でのギャンブル魂を燃やすことができるのだ。友人からいちいちLINEで感想がくる二郎ナンバーワンかもしれない。

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塩分の濃さを感じるときのそのスープは「仙川ブラック」と称されるほどの漆黒スープであり、どうも薄いな…と感じてしまうときは大体、この色がわりと薄めなのだ。
※食後の画像などお見せしてしまって申し訳ない。

完璧なバランスを引き当てたときのこの感動は、どこの店でも味わうことが出来ないかもしれない。

私はその喜びを…この店で学んでしまったのである。


鍋二郎のレポもあります。



第2位 ラーメン二郎ひばりヶ丘駅前店

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もはやラーメン二郎における一つの顔。2000年代中盤に開店し、西武線沿線の大学生を始めとした多くの二郎好きの心を鷲掴みにしたこの店。

ヒバリーヒルズと称され愛されるこの聖地化した駅前。バスのターミナルとして拓かれた南口からパルコの横を通過し、たどり着いた先にある大行列をアナタは見たことがあるだろうか。
運良く空いている日に当たれば、行列の少なさに(心の中で)ガッツポーズをキメる学生が最も多い店だと思われる。
そして荒天の日に限って行列が多い、なんてこともしばしばあるから恐ろしい。

ド乳化中のド乳化スープは醤油がガッツリと主張し、甘みも格別に感じられるスープ。おまけに豚は犬の甘噛程度でもとろけてしまうほどの豚バラ肉ときた。これらと、二郎標準で言えば細めの麺とくんずほぐれつの絡みを見せ、我々にエクスタシーを味わせてくれる一杯となるのである。

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ここの特徴としては、まず見た目で圧倒されるこのヤサイ。
実はそこまで馬鹿みたいな量ではなく、店主吉田氏のアーティスティックかつ職人的な技術によって形成されたタワーなのだ。
「マシマシはやってないんだー、ごめんねー!」なんてあんな爽やかな笑顔と声で言われたときには、ラーメン二郎を知り始めた学生たちも
「ハッ、ハイィィィィ…」と黙らざるを得ない。

そのビジュアルにつき「クタの斜塔」などと呼ばれ、
「ヒバリーヒルズにクタの斜塔在り」と語られていることはあまりにも有名。(民明書房大全『ラーメン二郎とエヴァンゲリオン…山田拓実の使徒たち』より)

何度も申し上げた通り、客の大半は大学生。しかも店主に顔を覚えられ、いちいち話題を掘り返されたりしては談笑している学生が多い。それだけ店主の人望もあり、人柄もよい。
集中しているときの顔つきと手さばきは二郎随一のスピードを誇っているのは間違いない。

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アナタはこれまでに何度、東京で雪が降る空を見たことがあるだろうか。

私はひばりヶ丘にて何度も、化学調味料の雪が舞うところを見たことがあるのです。


第1位 ラーメン二郎神田神保町店

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マイベスト・オブラーメン二郎にしてワンオブ・ザ・マイベスト・ラーメンのひとつ。神田神保町店。

そう、「レベルの高い合格点を超える二郎 オールウェイズ出してくれる」でおなじみのここである。

2000年代の中盤に旧店舗を神保町、九段下側にオープン。下手をすれば1区画分の距離の行列を形成し、靖国通りまで届いてしまうほどの名店であった。

現在は神田小川町側に移転し、神保町花月裏にこれまたひときわ長い行列を生み出すこの店の特徴は、「めちゃくちゃ美味しい」上に「やたらと麺の盛りがいい」に尽きる。

おとなしめの語り口で切り込んできたが、はっきり言って私の最も好みのラーメンであると主張しておかねば気がすまない。

まず並んでいる最中。旧店舗のダクトから吐き出される香りがもはやラーメン二郎標準のそれとは違い、生姜とその他香味野菜が効きまくった美味しいラーメンのそれだったのだ。
本格的に東京でラーメン二郎を食べ始めて1ヶ月。いろいろな店に行こうと決心したが、3週目くらいで心が折れてしまった。ここが美味すぎたから。

非常に複雑な香味野菜の香りと、厚すぎず薄すぎずのボディを感じさせる出汁ならびに液体成分のアブラ。醤油の味がぼやけないほどにしっかりとした油脂分を感じさせてくれる。
それを柔めの麺ががっしりと掴んで口まで上がってくるのだ。こんなに幸せなワンストロークが、これまでこの世界に存在しただろうか。

その上なによりも量。量。異常なまでの量。当然柔軟に麺少なめ・麺半分・麺四分の一など対応していただけるが、小の標準でもそれなりの麺量がある。

ただし、大ラーメンを頼んだりするようになり、顔を覚えられれば最後。

そうなってしまえばどうなるかと言うと、
まず「ヤサイの山かと思ったものは実は麺の山」現象が起きる。


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こ、これは!?!?!?

神保町には古くから「ヤサイは麺を隠すためのもの」ということわざがあることは、二郎好きの間でも有名。(民明書房刊『本の山、神保町』より)

ヤサイをある程度食べ、さあ麺を!と箸を麺の塊に差し込んでみても…動かないのだ。
動かざること山の如し。まず麺を引っ張り出すだけでもかなりの力が必要となる。

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苦労して掘り出した麺をズルっとやれば嗚呼…マジで最強のラーメンである。

たまに店主が「今日は控えめだ」と言ってくれることがある。
こちらとしては「どこが控えめなんじゃい!(涙)」と突っ込みたくなる山を目の前にしているわけだが…
箸を差し込んだ瞬間、その言葉に納得できる。箸で持ち上げたときの感覚は、日によってぜんぜん違うのだ。
悪夢を見るときは大抵、右手が腱鞘炎になるというおまけすらついてくる。
要はここの店主様、土台・基礎づくりに関しては魔術師のような技術を盛っているのだ。

私は店主のことを築城の天才・加藤清正の生まれ変わりと呼んでいる。

また、常連になればなるほど少なめコールや麺半分コールが目立つようになる。
ただし…それが店主の耳に入って理解されているかどうかはわからない。

なぜなら「店主が小と言えば小」だし。

店主はサディスティックに声をかけたいのだ。
我々もマゾヒスティックに聞きたいのだ。

「足りた?」と。



おわりに

やっぱり色々書いてみて「その店の特集だけ」をしたほうが良いなと思わされた。そして案の定、やたらと削った。それでもこんな6000字超えの投稿、誰が読むんだろうかと自問自答しながら書いていたわけだ。

現在の41店舗、それに加えて閉店した新小金井・新橋・蒲田を含めても、
私はやはりこの5店舗、それに加えて特筆したいと言えば目黒あたりか。

これからラーメンだけでなくもつ焼き、シーシャ、サッカーやプロレスなどにも言及していく所存の当アカウントですが、ラーメン二郎への愛も忘れずに投稿してまいります。

末永く応援の程、よろしくお願いいたします。


※次回、神保町店だけのスピンオフ投稿します。



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