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高校生も東海村の魅力をキリトル ~動画で発信「サツマイモ」編~

みなさん、”いばたん”って聞いたことありますか?
”いばたん”は、「茨城の魅力を探究し発信する高校生コンテスト」の略称で、茨城大学人文社会科学部が主催する、高校生と大学生が主役となる地域貢献・まちづくりプロジェクトです。県内の高校生が地域に飛び出し、地域の魅力を発見・深堀り・発信する取組みで、その成果を動画などの作品にまとめ、発表するというもので、2019年からはじまったコンテストです。

2022年度は、過去最多となる1,377人の高校生から417作品がエントリーされ、東海村を取り上げた動画3作品(水城高等学校×1、東海高等学校×2)が二次審査に進出するとともに、3作品すべてが受賞するという素晴らしい成績を残しました。
 
そこで、私たち「東海村スマホクリエイターズLab.」が作品を作った生徒さんに突撃インタビュー。動画に込めた想いから撮影の裏話まで、動画にまつわるエピソードをたくさん聞いてきましたので、チーム別に3回に分けてお届けします。

初回は、みごと特別賞を受賞した「東海村とサツマイモ」について、作品を制作した水城高等学校・チーム大都会東海のみなさんへのインタビューです!

作品紹介 「東海村とサツマイモ」
サツマイモの生産が盛んな東海村に焦点を当て、サツマイモのお菓子作りと東海村文化財保護審議会の萩谷信輝(はぎや・のぶてる)会長へのインタビューで構成された動画作品です。
サツマイモはいつから東海村に根付いたのか――?
萩谷会長へのインタビューを通して東海村とサツマイモの歴史を紐解いていきます。小さいころから身近にあったサツマイモを通して、先人たちの工夫や努力に触れる機会となった今回の動画制作。改めて地元の魅力について考えるきっかけになったそうです。 

▼動画作品はこちら


左から髙嶺惺(たかみね・さとる)さん、田口湧太(たぐち・ゆうた)さん、笹沼耶雲(ささぬま・やくも)さん。3人とも水城高等学校SZコースの2年生(2023年3月取材時)。

テーマは「サツマイモ」に決めた!直接聞いた言葉には重みアリ!

最初に「いばたん」に参加することになったきっかけと東海村、サツマイモを選んだ理由について聞きました。

「動画制作は授業の一環で、10月中旬に茨城大学の学生さんから「いばたん」の説明を受けたのがスタートです。チームについては、先生がランダムに編成しました」
東海村を選んだ理由は、笹沼さんと髙嶺さんが東海村に住んでおり、一番身近な地元にスポットを当てたいと思ったからだそうです。

東海村といえば「干しいも」が有名ですが、なぜ今回はサツマイモに注目したのでしょうか?
「最初は由緒ある村松虚空蔵尊の歴史を調べようと思い、東海村の「歴史と未来の交流館」(生涯学習課)を訪ねました。そこで、インターネットでは知ることができないような、サツマイモの歴史に関する詳しいパンフレットを見て、コレだ!と思い、サツマイモに決めました」
もちろん「干しいも」も候補に挙がったそうですが、両方取り上げると動画の内容がまとまらないと考え、あえてサツマイモに絞ったとのこと。

とはいえ、サツマイモの歴史について資料以上のことが知りたくなり、交流館の職員さんに相談したところ、村の文化財保護審議会の会長である萩谷信輝(はぎや・のぶてる)さんを紹介してくれたそう。
「職員さんが取材にも同行してくれたおかげで、貴重な話を聞くことができました」

インタビューを通して、東海村でサツマイモが栽培されるようになったきっかけなどの歴史、先人が工夫したポイント(▽早く植えること、▽松葉を使った温度管理、▽サツマイモを少しでも大きく・おいしくする)についてお話を伺っています。
なんと40分にもわたってサツマイモについて語ってくれ、言葉の端々に先人たちの努力への敬意と感謝がつまっていたそうです。

デジタル社会においても、人との出会いやつながりが大切であり、直接聞くことができた言葉には、かけがえのない価値があることを今回の経験で実感したようでした。

貴重なお話しを伺うことができた東海村文化財保護審議会の萩谷信輝会長へのインタビュー。

初めてだけど妥協はしない

動画編集は田口さんが担当し、冬休み期間の取材や編集を経て、1月の1週目に仕上げました。
「萩谷さんへの取材は約40分でしたが、動画の構成上3分程度にまとめる必要があったため、大事なところを少しずつ繋いでいきました」「内容に深みを持たせるため、テレビ番組のように、メイン画面とは別に小さい画面でサツマイモのお菓子作りを流す案が出て、冬休み中にみんなでお菓子作りにも挑戦しました」

完成した動画は、編集期間が約2週間とは思えないほどハイレベル。編集されたインタビューの場面は、自然な内容で、要点がしっかりと伝わる構成となっています。驚いたのは、田口さんが動画編集の経験が全くなかったことです。

「編集は初めてで慣れないこともありましたが、妥協せず、思い残すことがないようにがんばりました。仕上がりには満足しています」「編集は機材など一切使わずスマートフォンのアプリで行いました。文字のフォントにもこだわっています」

取材と料理は全員で協力しましたが、動画の編集だけは田口さんが担当。笹沼さんと髙嶺さんは田口さんに絶対的な信頼を持っていたので、仕上がりに異論はなかったそうです。「いばたん」に応募するという目標に向かって3人で力を合わせ、その結果が特別賞受賞ということは、とてもうれしかったし、やりきってよかったな、との思いがこみ上げたそうです。

でも「同じクラスの友人が最優秀賞だったんです……。かっこいいなと思う半面、くやしいなという思いもありました」と振り返ってくれました。
最終選考に残ったのは21チーム。そのうち水城高校から13チームも選ばれていたことからも、いかに水城高校の作品レベルが高かったのかがわかりますねー。

取材の冒頭に、取材の趣旨やスマホクリエイターズLab.の活動もしっかりお伝えしました。

動画制作を通して生まれた想い

最後に、今回体験したことについての感想を聞きました。

「東海村には何もないという人がいますが、特産物のサツマイモひとつ取ってもそこには深い歴史があり、先人たちの取組みが現在につながっているということに興味がわきました」(笹沼さん)

「テーマにあがった村松虚空蔵尊やサツマイモ、干しいもを取り上げることができてよかったです。みんなで協力して村について深く知ることができました」(髙嶺さん)

「取材も編集もゼロからの取組みでしたが、結果的に特別賞を受賞できました。あきらめずにみんなで協力して、最後まで妥協しなくて良かったです。また機会があれば動画を作ってみたいです」(田口さん)

インタビューを終えてほっとした様子の3人と、指導教諭の鳴島崇(なるしま・たかし)先生

インタビューを終えて

最初は、自分たちの住んでいる地元だからという軽い気持ちで東海村に決めた3人ですが、取材やインタビュー、編集など動画制作を進めるうちに、もっと知りたい、もっと聞きたいという感情に変わっていったようです。身近にある何気ないものにも、自分たちが知らないだけで、そこには先人たちの工夫と苦労が隠されており、今回の活動を通して、これまで紡いできた歴史に触れられたことは、かけがえのない経験になったものと思います。
「いばたん」を通した地域の魅力探究・発信活動は、高校生が地域と関わるきっかけづくりとなっており、大変すばらしいプロジェクトです。今回の記事を通してより多くの方々に動画作品を見てもらうとともに、高校生がそこに込めた想いに触れてほしいと感じました。


▼取材・執筆担当者

塩田ひとみ/インタビュー・執筆・写真
茨城県東海村出身、在住。
2022年夏に社会人生活のほぼすべてを過ごしていた東京から東海村にUターン。
昔から変わらない東海村の奥深い魅力を再発見しつつ、今の東海村の魅力や関わっている人のパワーを感じたい、という思いで「T-project/スマホクリエイターズLab.」に参加。東海村といえば「原子力」、だけではなく農業はもちろんのこと、移住や観光などにも可能性があるのでは、と日々妄想中。

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