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高校生も東海村の魅力をキリトル ~動画で発信「妄想デート」編~

みなさん、”いばたん”って聞いたことありますか?
”いばたん”は、「茨城の魅力を探究し発信する高校生コンテスト」の略称で、茨城大学人文社会科学部が主催する、高校生と大学生が主役となる地域貢献・まちづくりプロジェクトです。県内の高校生が地域に飛び出し、地域の魅力を発見・深堀り・発信する取組みで、その成果を動画などの作品にまとめ、発表するというもので、2019年からはじまったコンテストです。

2022年度は、過 去 最 多 と な る 1517 人 の 高 校 生 か ら 455 作 品 が エ ン ト リ ー さ れ 、東海村を取り上げた動画3作品(水城高等学校×1、東海高等学校×2)が二次審査に進出するとともに、3作品すべてが受賞するという素晴らしい成績を残しました。

そこで、私たち「東海村スマホクリエイターズLab.」が作品を作った生徒さんに突撃インタビュー。動画に込めた想いから撮影の裏話まで、動画にまつわるエピソードをたくさん聞いてきましたので、チーム別に3回に分けてお届けします。

3回目となる今回は、奨励賞受賞の「東海村妄想デート」を制作した、東海高等学校・チーム理想の彼女を求める者の代表、安達(あだち)さんにインタビューです!

作品紹介 「東海村妄想デート」
「東海村出身の高校生が仮に彼女ができたときに、どのように自慢の故郷を紹介するか」
大神宮や歴史と未来の交流館など話題の場所だけでなく、村内のお店や公園など東海村出身ならではのレアスポットも紹介し、初めて東海村を知る方も東海村に関わりがある方も楽しめる内容になっています。
彼女目線なカメラワークを楽しめば、いつしか主人公が頼もしく見えること間違いなし!?
さぁ、あなたも東海村妄想デートに出かけてみましょう!

▼動画作品はこちら



きっかけは先生のひと声。妄想デートが生まれるまで

「いばたん」本選出場作品の中でも、ひと際気になるタイトルの「東海村妄想デート」。
安達さんは「いばたん」に関する授業をきっかけに、初めて動画制作を行ったそうです。

「2年生の授業で『総合的な探究の時間』という科目があって。そこで『いばたん』に関すること――映像を作るにあたっての著作権や現地調査の方法、撮影の仕方を学び、最後に動画を撮ってみようということになりました」

最初にチームで作った作品は、東海村の自然を紹介するもの。動画内で波の音を効果的に使っていたことが評価され、「この作品をもっと発展させて『いばたん』本選を目指してみよう」と先生に声をかけられたのが、「東海村妄想デート」作成の発端になったようです。
ちなみに妄想デートというワードは担任の先生からもらったアドバイスのひとつ。小学生の頃からおもしろいことをするのが好きだった安達さんは、語感のインパクトに惹かれて「いいですね!」と即答。
しかしこの時の安達さんは、苦難の時が待ち構えているとは予想さえしなかったのでした。

共に「いばたん」本選出場を目指した、東海高等学校2年生の左:安達さんと右:千葉(ちば)さん(2023年3月取材時)。和気あいあいとしていて仲のよさが伝わってきました。

主演+編集+ナレーション。試練の冬がやってきた

妄想デートということで映像内に彼氏役が必要となりますが、チームメイトは出演に消極的。ここは声を上げた責任をとらねばと「僕がやります!」と安達さんが応えます。
動画で紹介するデートスポットは安達さん自身の思い出が深い村松海岸、東海駅の東海ステーションギャラリー、東海文化センター、歴史と未来の交流館、舟石川近隣公園、洋菓子店、大神宮の計7カ所。師走の慌ただしい中、仲間たちと脚本や動画の流れを作り上げました。

お正月の活気も残る2023年1月5日。残念ながらチームメイトの都合はつかず、同じく「いばたん」本選に臨む「東海モンキーベイビーズ」の千葉さんと「いばたん」担当の先生たちと一緒に撮影を決行します。

「1月5日から7日の計3日間で撮りました。実は村松海岸のシーンは一気に撮らず別日に撮影したんです。デートを終えて『君に伝えたいことがあるんだ!』って言っているシーンはすごく天気のいい撮影初日で、最後のプロポーズのシーンを撮った日は曇り空だったので、なるべく空を映さないようにして対応しました」

なぜ同じ日に撮らなかったのかたずねると、安達さんは苦い表情でこう答えました。

「天気のいい日は海岸で釣りをする方がたくさんいらっしゃって。僕が『完璧だー!』と大声を出すシーンがあって、人がいないタイミングで撮りたかったんですが、その日は結局中止しちゃいました。曇りの日も何人か釣り人がいらしたので、叫んだ後に何事かと振り返られて恥ずかしかったです。全体を通して恥ずかしさとの戦いでした(笑)」

妄想デートなので相手役はおらず、スマートフォンのカメラに向かってひとり語る時間が延々と続きます。演技経験のない安達さんは周囲の視線に耐えつつ、先生に励ましてもらいながら気持ちを奮い立たせ、なんとか撮り終えることができました。
校内の動画提出締切は1月12日。主演だけでなくナレーションも編集も担当した安達さんの冬休みは「いばたん」に捧げることになりました。初めての動画編集アプリに苦労しましたが、編集経験のある千葉さんに相談しながら進行。冬休み明けも夜遅くまで作業を続け、1週間足らずの編集期間でしたが動画は完成し、無事「いばたん」にエントリーされたのでした。

映像で意味深にかけられたサングラスは「格好つけ」の象徴なのだそう。 デートやプロポーズでは外し、ナチュラルさやまじめな姿を表したかったと裏話を教えてくれました。

まさかの本選出場。動画制作を通して感じた変化

その通知が届いたのは、寒さが厳しくなってきた1月下旬のこと。

「一次審査通過の知らせが届いた時は戸惑いました。本選に出られる『やった!』という気持ちが2~3割、『あの映像が映画館の大画面で流れるんだ』という恥ずかしさが7~8割ぐらいでした」

と、少々複雑な心境だったようです。

2月19日。全応募455作品中一次審査を通過した21作品が上映される「いばたん映画祭2022」が水戸内原の映画館で開催。本選は力作ぞろいで圧倒されたと安達さんは言います。

「僕はコメディ色を強くして東海村の紹介はさわり程度にとどめていたんです。他のチームはしっかりと地域を紹介しつつ内容もレベルが高くて。特に水城高校は力が入っていました。『これはもうテレビ番組!?』と感じるぐらいすごかったです」

さらに反省点もあったようで

「舟石川近隣公園の撮影を行った日は風が強くてノイズが入ってしまって。別の撮影日も確保できず、スマートフォンのアプリでは風の音が消せなかったので、やむを得ず使うことになってしまったんです。他の作品と比べると編集が甘かったと痛感しました。それ以外にも技術的な部分であったり、発想や着眼点であったり、自分には敵わないなって」

と、くやしい想いもしたそうです。

上位9作品の入賞は逃してしまいましたが、奨励賞を受賞。私たちの心にも大きな衝撃を与えてくれました。

最後に今回の体験を通して学んだことは?と聞いてみるとこんな答えが返ってきました。

「撮影中はもじもじしてしまうこともあったけど、勢いが大事ということを学びました。これから社会に出て多くの人と出会う中で、恥ずかしがって相手に迷惑をかけちゃうこともあるかもしれない。そんな時のためにも自分をしっかりアピールできるように、コミュニケーション能力を磨いていきたいです」

インタビュー中は冗談も交えながら、和やかに答えてくれた安達さん。
妄想デートを繰り広げていた少年は、動画制作の経験を経てしっかりと社会人への階段を上っている、と感じずにはいられませんでした。

将来は生物関係の仕事に就きたいと話す安達さん。
動画中のセリフ「がんばれ少年!」と応援したくなりました。

▼取材・執筆担当者

花島 絵美/インタビュー・執筆
生まれも育ちも愛媛県。就職を機に上京し、「推しごと」に関わるお仕事に従事する。いろいろあって東海村に引っ越しし、茨城県の食と景色と主婦暮らしを満喫中。古墳もあれば世界最先端科学施設もある東海村の魅力にはまり「T-project/東海村スマホクリエイターズLab.」に参加。「最推し」である東海村をたくさんの人に知ってもらうため活動しています。


塩田ひとみ/写真
茨城県東海村出身、在住。
2022年夏に社会人生活のほぼすべてを過ごしていた東京から東海村にUターン。
昔から変わらない東海村の奥深い魅力を再発見しつつ、今の東海村の魅力や関わっている人のパワーを感じたい、という思いで「T-project/スマホクリエイターズLab.」に参加。
東海村といえば「原子力」、だけではなく農業はもちろんのこと、移住や観光などにも可能性があるのでは、と日々妄想中。

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