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この一冊がなかったら全く違う人生だったろなという話「魔動王グランゾート」

私が道を踏み外したきっかけとなる作品「魔動王グランゾート」
最近グッドスマイルカンパニーさんから新たにプラモデルが発売されたりと嬉しい今日この頃なのだが、私的に結構「拗れた愛情を注いでいた作品」だったのだなと気づく。

その理由の一つとして今回は作品での最推しキャラ「ラビ」について振り返ってみる。

発端

小学校時代に「角川スニーカ文庫」のライトノベルがクラスで流行り始めた。
筆頭は教室に設けられた「クラス図書」なるものから。
教室の後ろにあるロッカーの上にブックエンドが設けられ、各々好きな本を置いてみんなに読んでもらうというものだ。

私が当時置いていたのは、機動戦士ガンダムシリーズの「ポケットの中の戦争」と「逆襲のシャア」。
今思うと小学生らしからぬラインナップをなぜにと思うのだが、当時丁度SDガンダムブームなのもあってか読むクラスメイトが多数おり、数ヶ月後にはそれぞれが気に入ったガンダムシリーズのノベライズを教室に持ち込む子が増えた。
中には宇宙世紀シリーズ全巻を巾着袋に詰め込んで登校する強者も現れた。
今思うと自分は「知らずのうちにクラス内のルールを逆手に取り、ガンダムシリーズを布教した」ヤツだったのだなと思う。

そんなことがあってか、当時は気になる作品があっても、アニメ本編を見るよりいわゆるノベライズを読むことのほうが多かった。
自分の住んでいた地域は田舎だったため、放送されるアニメはほんの数本。
レンタルビデオ店も昔は地域店ばかりでアニメ作品のラインナップは少なかった。
気になる作品の情報を仕入れるとしたらもっぱら本屋で、アニメ誌やムック本、原作漫画やノベライズしかなかったのだ。

気づいたらヲタ活

そんなこんなである日いつもの本屋でラノベを漁っていると、芦田豊雄氏の独特の表紙が目に飛び込んできた。

線が太くハイライトと影がくっきりしているものの、グラデーションが繊細で色解釈が新鮮。
目につかないはずがない。
元気そうな少年とケモ耳の幼女、そして慣れ親しんだ大河原邦夫氏デザインの安定感のあるロボ。
完全にツボをつかれた。

気づいた時にはもうページをめくっており、本屋には3回通って続きを立ち読みをし(本屋さんごめんなさい)その3回目には気づいたらレジに持って行っていた。
それからは夢中で読んだ。
広井王子氏の描写は会話や生活パートでもバトルシーンでも脳内に臨場鮮明にイメージをぶち込まれる物だったのだが、それでも私の想像力欠如のため脳内補完できないビジュアル面が多かった。

数枚の挿絵、表紙しかビジュアルの手がかりがなく「もっと情報が欲しい!」となり、気づくと数か月後には大量のムック本とカセットテープ、キャラクターグッズを所持していた。

しかし田舎なゆえ、本屋にすぐ新刊が並ぶとは限らず、アニメイトは近場になく、その頃は通販で、ハガキに希望商品を書いて送って、数ヶ月後に品物が届くシステム。
因みに売り切れ、抽選落ちは連絡されず、購入できるものだけある日突然送られてくるのだ。
だが今思うと、不便ながらも「入手困難ゲットの達成感」は多く、精神的にはとても充実した「ヲタライフ」だったと思う。

しかし、この頃の私は知り得た情報による違和感を感じていながらも気づいてはいなかった。

私の知らないラビ

そこからこれまでも、グランゾートのファンとSNSで交流することは多々あったのだが、たまに感想のズレを感じていた。

私のこの作品での最押しキャラ、「ラビ」の存在が今思うとカギだったのではと思う。

アニメでのラビは海賊に拾われた耳長族の孤児で、結構なやんちゃボーズ。おまけにマセガキで美少女を見るとすぐさまナンパするという、今いたらSNSで炎上系配信者でもしてそうな少年(失礼)。
だが、そこに母性本能をくすぐられたお姉様方、ちょっと悪そうだけど芯はちゃんとしてるのでカッコいいと惚れた女子は多かっただろう。
当時「月刊アニメージュ」の人気キャラ投票で数年ぶりにナウシカやラムちゃんなどの大人気女性キャラに食い込んで、数ヶ月トップ3をキープしていたのは偉業だと思っている。

一方、ノベライズの方だが、泉の護人で頑固で生真面目。でもちょっと臆病なところのあるキャラだった。
耳長族の孤児という点は変わらないのだが、性格がまるで違うのである。

そう、私がガチ恋していた推しは、大多数に知られる彼ではなく、別ルートの人物だったのだ。

やっと気づく

「そっか、私が恋していたのはノベライズの方で、アニメ本編の彼ではなかったのか…」そう腑に落ちたのは本当に最近のことである。
じわじわと疑問があったものの、20年以上気づかなかったのは我ながら流石に鈍感すぎである。

それまでの間にも違和感を感じていたのか、ファン企画を降りたり、交流があったグランゾートファンと距離を置いてしまってたのはこれだったんだなと今でははっきりわかる。

とはいえ、公式のラビの作画やイラスト等に関しては本当好みだったのか解釈違いがまるでない。
「上杉さん(ラビのキャラデザイン担当の方)ありがとう…」と今でも思っている。

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