【年齢差7選】恋をキリトル140字の物語 19
◇1
私には出来すぎた妻なんですと
細められる優しい目。
「奥様ってラッキーですよね。ずるいですよ。主任みたいな人と巡り合えて」
ある日同期に耳打ちされた。
「主任の奥さん一昨年事故で亡くなってる。だからもう、そこ、つつくなよ」
知らなかった。ごめんなさい。
でもますます奥様が羨ましくなりました。
◇2
一回り以上年上の人を好きになった。
見た目も中身もオッサンだけど
ハマっちゃって抜けられない。
笑顔が可愛い。怒っても可愛い。
泣きそうな顔は死ぬほど可愛い。
そう。喜怒哀楽が漫画みたいに顔に出るの。
私よりよっぽど子供みたい。
この恋は成就しないってわかってるから
君の7面相にクスクスさせて。
◇3
「若い頃に出会ってたらあんた嫁さんにしとったわ」
さらりと落とされた時限爆弾。
翌日になって爆発した。
どうしてくれるのクソ親父。
4人の子持ちで奥さん超美人なんでしょ。
気を持たせること言わないでよ。
侮ってるでしょ私のこと。
こんな事でびくつかないって。
甘いよバカ。不毛な恋が今走り出す。
◇4
20も年下に想われて嬉しくないわけないけどさ、
終わりがあるとわかってるから
下手な夢を見なくてすむ。
オッサンの利点は
人生の答えを知ってるってことだ。
萎れてる花に言葉という水を与えて
生き返らせる事ができる。
眩しい君を眺めながら何度もこう言い聞かせる。
これでいい。俺は絶対に間違ってない。
◇5
「誰かのために心から喜べる人なんだよ。本気で」
「それが好きになった理由?理解不能なんだけど」
「誰かにいい事が起きたら二パーって笑うの。パフォーマンスじゃないの。そんな顔してるって本人は全然気づいてない…いい人なんだよ。とんでもなくいい人」
「でも親父じゃん!マジで意味わかんないよ」
◇6
「君とは付き合えません」
「20歳年上だから?そうなんですか?」
「僕はもうおじさんです」
「その理由はズルいですよ。だって希望持っちゃうじゃないですか。本当は私の事好きなのかもって」
「僕の心なんて関係ない。付き合わない。そう決めてるんです。友達になりましょう。僕達は人間同士なのだから」
◇7
英会話の個人レッスン。
先生の3歳になる息子さんが私に懐いて離れない。
「ねえ僕のお嫁さんになって」
写真のママにそっくりな、大きな目で見つめられ
お姉さんの胸はときめいちゃうよ。
ごめんね。私好きな人がいるの。
君のよ〜く知ってる人だよ。
いつか一緒に暮らせるといいね。
私の片思い応援してね。
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