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おならが出てしまったら正直に言うように心がけています

筋肉が衰えているのか、気が緩んでいるせいなのか、無意識におならが出るようになった。

歩いているだけで出ていることがある。

そんな調子じゃ、大事な場面で大恥をかくことになりかねない。

過去の私のように。

特におならを出してはいけない場面で強く思う。

エスカレーターに乗っていて、後ろに人がいる時、
ドラムのレッスンを受けていて、先生と話す中で爆笑してしまった時、
ライブで会場が無音になった時など。

事件が起こったのは、中学の時のバスケの練習中だった。

私は2年生で、部員は20人ほどいた。
コーチは不在で、部員だけで外で練習。
校庭の端を部員固まって移動していた。

すると、同級生のえりちゃんが鉄棒に飛びつき、懸垂をやり始めた。

私も便乗して鉄棒にぶらさがったり、逆上がりをしてみる。

部員みんなもなんとなく足を止め、鉄棒をやっている私たちに視線を向けていた。

私は意気揚々と鉄棒の前回りをやって見せる。

ぐるぐると前回りをしている私に注目しているに違いなかった。

『松本先輩すごい!』

みんなそう思っているだろう。

これみよがしに勢いよく、ぐるぐると回り続けている。

まさか大恥をかくとも知らず。

鉄棒で腸が圧迫されたのだろう。

威勢よく、おならが出てしまった。

ぐるぐると回る意識のなか、絶望を感じていた。

みんな注目しているのに、どのタイミングで止めるべきか・・・

どんなつらして鉄棒から降りればいいんだ・・・

ぐるぐる回った勢いで、宇宙の果てに飛んで行きたかった。

ずっと回り続ける体力もなく、私は鉄棒を降りる。

確実に私のおならに、みんな気づいているはずだった。

しかし、誰も何も言わなかった。

『言わない方がいいよね』という空気だった。

私は無理やり清々しい表情を作って、

『どうだった、私の前回りは?』

という態度でふるまっていた。

素直におならが出たと言えなかった。

「今日さ、松本先輩、屁こいてたよね」

「屁こき虫松本じゃん」

陰で言われているに違いない。

そう思うと鉄棒なんかしなければよかったと後悔の気持ちでいっぱいになっていた。


この経験を生かし、無意識におならが出てしまったら、正直に伝えようと心がけている。

『あれ、今、屁こきましたよね?』

という空気になるのは、もうごめんだ。
耐えられない。

実際に、仕事場でおならが出てしまった時に正直に言ったことがある。

「ごめんなさい、おなら出ちゃいました」

そう伝えると、

「言わなきゃ、気づかなかったのに」

と、言われた。

結果はどうあれ、正直に伝える努力を怠ってはならないと心に刻んでいる。

プライベートで、男性の前で派手におならが出た時があった。
その時も正直に言った。

「ごめん、屁出た・・・」

そう伝えると、

「床が擦れた音でしょ?」

と、逆に気を遣わせてしまったこともある。
私に恥をかかせまいと、その人なりの思いやりある対応だった。


もちろん、ケースバイケースだが、

「ごめんなさい、おなら出ました」

とこれからも正直に伝えていきたい。


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