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【2023年大学入試数学】共通テスト数学ⅠAを解いてみた

受験に向けての勉強お疲れ様です。大学入試数学を個人的に研究しているきりんです。今回は2023年共通テスト数学ⅠAを解いてみたので、感想をまとめたいと思います(解説等はしていません)。なお、問題ごとに自分の感じた難易度を付けています。まだこの問題を解いてないという人は過去問としての価値が下がってしまうので、見ないようにしましょう。

【難易度】
(簡単) A ⬅️ ➡️ E (難しい)
で表していきます。目安としては
Aレベル:正答率80~100%
Bレベル:正答率60~100%
Cレベル:正答率40~60%
Dレベル:正答率10~40%
Eレベル:正答率0~10%(捨て問)
なお、難易度はその試験における難易度を表していて、他の大学の2次試験の問題等と比べることはできません。

1. 全体概観


今年の共通テスト数学ⅠAは去年と比べて易化したと思います。というのも去年(2022年)が難しすぎたので仕方ないですね。全体的に問題数が減り、問題設定も去年と比べて単純になったと思います。共通テストの特徴として、
①日常生活で見かける何かをテーマとしたやや設定が複雑な問題
②一度誘導として解いた問題の考え方を用いて別の問題を解くという問題
が挙げられます。このような問題は去年に引き続き今年も出題されました(①は第2問〔2〕、②は第1問〔2〕・第3問・第5問)。共通テストの特徴を失わずに、問題の難易度は適切にしたという感じの試験だったと思います。

2. 第1問


第1問は2部構成になっていて、〔1〕は数と式、〔2〕は図形と計量からの出題でした。難易度としては、〔1〕はA、〔2〕はCといった感じです。

〔1〕(数と式、A)

第1問〔1〕 1/2
第1問〔1〕 2/2

〔1〕はこの試験では最も簡単な問題と言って良いでしょう。ア~クは難易度Aです。ただ最後のケ、コで少し技巧的な計算が求められます。結局①から②を引けば終わるのですが。

〔2〕(図形と計量、C)

第1問〔2〕 1/2
第1問〔2〕 2/2

〔2〕は前問の〔1〕とは対照的に思考力が問われる難しい問題でした。とはいえ典型的なよくある問題なので、難関大志望の方は解けてほしい問題。
(1)の(ii)で面積が最大となるのは高さが最大となるときと考えて、図を少し描いてあげればすぐに求まります。線分CDが円の中心Oを通ります。
(2)は三角錐の体積が最大となるのはいつか?という問題ですが、底面積が一定なのでこれも(1)同様に高さが最大となるときを考えればいいですね。高さが最大となるとき線分THが球の中心を通ることが分かればあとは計算です。Hが三角形PQRの外心になることは重要事項です。とはいえ誘導がほぼ無いので正答率は低くなりそうです。

3. 第2問

第2問も2部構成になっていて、〔1〕がデータの分析、〔2〕が2次関数からの出題でした。難易度としては、〔1〕がB、〔2〕がCといった感じです。第2問の〔1〕にデータの分析がくるのは新鮮ですね。

〔1〕(データの分析、B)

第2問〔1〕 1/6
第2問〔1〕 2/6
第2問〔1〕 3/6
第2問〔1〕 4/6
第2問〔1〕 5/6
第2問〔1〕 6/6

〔1〕はデータの分析についての設問で、やはり問題文が長いですね。この分野は問題文が長くなるのは仕方がないことなので、自分が必要だと思ったところだけを読むのでいいと思います。
(1)は頻出の四分位範囲の問題です。箱ひげ図とともにほとんど毎年出題されるので、理解が足らない人は必ず確認しましょう。
(2)の(i)は箱ひげ図の問題で頻出です。(ii)は分散の定義を選ぶ問題でかなり斬新ですが、正解したいところ。
(3)は相関係数を求めるだけなので、問題文など読み飛ばしてさっさと片付けてしまいましょう。相関係数を求める問題はこれで2年連続の出題となりました。

〔2〕(2次関数、C)

第2問〔2〕 1/5
第2問〔2〕 2/5
第2問〔2〕 3/5
第2問〔2〕 4/5
第2問〔2〕 5/5

〔2〕はバスケットボールという身近なテーマを数学的に捉えて考えるという共通テストらしい問題です。こういう問題は問題設定をしっかりとしないと曖昧な問題になってしまうので、問題文が長くなるのは仕方のないことです。ただこの問題自体は「身近なものを数学が使えるようにモデル化して解く」という、大学においても非常に重要な能力を問う問題でその意味では良問だと思います(ただもっと問うべきところがあったのではないかとも思いますが)。問題設定が複雑であることや、身近なものをモデル化して解くということの経験がない人には少し難しい問題になっていると思いますが、よく問題文を読んで冷静に対処すれば何ということもない問題です。
(1)はまず放物線の方程式を求めるという問題で、数値代入でも解けますが、一旦y軸方向に-3だけ平行移動して方程式を求めてからy軸方向に3だけ平行移動して戻してあげるといった方法が効率的でしょう。また、シュートの高さや最高点のx座標は頂点の座標を考えればいいですね。サはpが負であることに注意。
(2)はボールがリングに当たらない条件をどのように考えればよいか議論する問題です。今回の場合はリングを中心とする円の接線と放物線の上に凸であるという性質を用いて解決しています。なかなか良い考えです。ただシ~ソは数値代入すれば終わりで、タやチも座標の大小を評価すれば終わりです。もっと2次関数絡みの問題を出してほしかったところです。

4. 第3問

第3問は場合の数からの出題です。難易度はBで、今回の共通テストで個人的に一番好きな問題です。共通テスト側がある考え方を提示して、それにしたがって解くというこれまた共通テストらしい問題です。

第3問 1/4
第3問 2/4
第3問 3/4
第3問 4/4

(1)は上の文章を読めば、すぐに解き方がわかるでしょう。
(2)も(1)と同じ要領で計算してあげましょう。
(3)では赤が2つあるという条件から、①1と3が赤、②2と4が赤の2つの場合があります。それぞれ計算して足し合わせるだけです。
(4)は1が何色か考えると見えてくるかもしれません。少し難しくなりました。
(5)でやっと共通テストっぽくなりました。コの意味がわかればあとは簡単です。少し理解するのに時間を要するかもしれません。
(6)は(5)の考え方を理解していれば楽勝です。この考えを使えば正n角形になったとしても求めることができますね。

5. 第4問

第4問は整数からの出題でした。難易度はDで、この共通テストで最も難しい問題でしょう。問題文に数式が一切なく、自分で式を立てて計算しなくてはならないので、整数の扱いに慣れていない人にとっては難しいでしょう。

第4問 1/4
第4問 2/4
第4問 3/4
第4問 4/4

長方形を並べて正方形をつくるという問題は、中学入試においても非常によく問われる有名問題で、最小公倍数や最大公約数が絡んできます。そのため、出てくる整数(462や110など)は事前に素因数分解してしまいましょう。
(1)のア~カは462と110の最大公約数と最小公倍数を求めるだけなので簡単です。キ~シで難易度が一気に上がりますが、縦にm枚、横にn枚などとおいて計算してみましょう。
(2)はまた別の長方形を隣に並べるという厄介な問題設定ですが、やるべきことは(1)と同様に横の枚数や縦の枚数を文字でおいて不定方程式を解くということです。とはいえ、かなり難しい問題で、難関大志望者でもそう簡単に完答はできないでしょう。

6. 第5問

第5問は図形の性質からの出題でした。難易度はCです。似ていないようで似ている2つの作図の手順において、共通点を見つけて、(1)での解き方を(2)でも適用できるかが最大の鍵でした。

第5問 1/3
第5問 2/3
第5問 3/3

(1)は誘導に乗って答えていくだけで、ア~エまではなんとか正解したいが、オが難しいのでここで行き詰まってしまった人も少なくないでしょう。円周角は中心角の2分の1であることがポイントです。
(2)は(1)とは違う作図をしていますが、違うのは直線lが円と交点をもつかもたないかの違いだけです。(1)と全く同じ方法である5つの点が同一円周上にあることが言えます。(1)の考えをどれだけ理解できたかが問われています。

7. 最後に


みなさんはどれくらい正解できたでしょうか。今回の共通テストの難易度が今後の共通テストの基準になると思います。今年も良問揃いなので間違ったところはきちんと復習しましょう。解答は以下のサイトで見ることができます。ここまで読んでくださりありがとうございます。


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