アトピー持ち女子として生きる
アレルギーのほぼない両親の間にわたしは生まれた。
動物と少しの食べ物に対しての食物アレルギーをもつ兄を含め、一家の中でアトピー持ちは私だけである。
生まれたときからアトピー持ちで、約20年アレルギーと二人三脚で歩いてきた。赤子の時は関節(首、肘、膝、赤子特有のしわの部分)にアトピーが出ていて、顔は肌荒れしていたらしい。
(親は赤ちゃんのもちもちお肌を堪能出来なかったのかと思うと少し可哀想に思う。)
幸いなことに父親が医者であったため、適切な治療を受けて来ることができた。
今は肘と膝の裏、鎖骨のみにしか出ていない。(冬になると乾燥のせいで手の甲と手首に現れるが)
これもまた幸運なことにいじめも受けなかった。肘や首を掻きこわして制服の白いブラウスに血をつけたりしていたのに、きちんと友達として接してくれる友人がいた事を考えると、私は恵まれていたな、と改めて思う。
しかし、一度だけ、こう言われた事がある。
「それ、うつらないの?」
一瞬固まったのち、うつらないよ、と答えた私に、その子はふうんとだけ返して遊びに行った。
その時は小学生であったからその子に知識がないのも仕方がない。それは当時の私も分かっていた。しかしその一言で、虐められるかもと一瞬怯えてしまったのも確かだ。
そうして、服の袖を血で汚したり、寝て起きたら足を掻きこわして爪の間に血がこびりついてたり、風呂に入って滲みる痛みに飛び上がったりもしながらここまで育ってきた。
アトピーは死ぬ病気ではない。がしかし日常的に悩まされる病気だ。
ぶっちゃけ見た目も悪い。患部はしわが酷く、傷跡も多く残る。掻くと皮膚も良く落ちてしまう。
血がつくから白い服もなかなか着れない。
私は毎日薬を塗ったり飲んだりするのも苦手だ。しかも薬で治りかけると、その過程が痒くてまた掻きこわしてしまう事もある。
乾燥やストレスにも弱い。またアレルギーを持っているので迂闊に化粧品を使うと蕁麻疹が出る。皮膚が弱いので化粧もあまり出来ないだろう。
女性は化粧をするのが普通という謎な社会には喧嘩を売りたい。
私のアトピーはまだ軽い方だ。重症な人は全身、それこそ頭皮から足まで出ているのだ。
けれど、それでも普通の人のきれいな肌と私の赤く分厚い肌を見比べて羨ましくなる事もある。
子供の無邪気な目で、これどうしたのー?と聞かれて少し心にさざ波が立つこともある。
なんで家族で私だけアトピーなのか、と世界を少し恨んだ事もある。
最近、アトピーを治療できる注射が出来たと聞いた。がしかし、医者である親が私に受けろと言わないのだから、何かしらまだ改善点があるのだろう。
良く話題になる乳酸菌のなんちゃらだって薬になってないのだから根治はできないのだろう。
医師向け雑誌のアトピー特集にも、「まだ不明な点が多く見られる」という言葉が散見される。アトピーが根治されるような治療法の確立はまだ遠いと思われる。
アトピーは一朝一夕では改善しない。
毎日きちんとケアをしないとすぐぶり返す。
本当にめんどくさい人生のパートナーを背負ったものだと我ながら思うが、折り合いをつけてやってくしかない。
世間に一人でもアトピーを少しでも理解してくれる人が増えればな、と、荒れた首筋を掻きながら思うのだった。
サポート頂けたら参考書とか買う…かも。よければお願いします。