【現役編集者が語る】コピペ率を下げる修正は無意味?コピペチェックツールを本当に上手く使う方法
こんな記事修正依頼を受け、「コピペなんかしてないのに…」と思いながら渋々修正してきたという経験のあるライターは多いんじゃないだろうか。
コピペ率を下げるルールは本当に必要なのか?
はじめに明言しておくと、私はこのルールはあまり役に立ってないと思っている。
ただし、コピペチェックツールを使うことが無駄なのではなく
というフローが無駄だと主張しているので、その辺は誤解なきようお願いしたい。
なぜ、このルールが不要だと思っているのか。
その理由について、いくつかの根拠を書き出してみる。
①下げ方を知っていると簡単に下げられる
コピペチェックツールは、人間が目で確認しているのとは違う。機械がルールに従って、一定の計算方法で一致・類似率を出している。
機械は文の意味を理解してコピペかどうかを判断しているわけではない。
この数値は文節の順番を並び替えたり、一致判定と検出された単語を別の単語に置き換えたりするだけで、簡単に下げられることがある。
実際、発見できなかったことも
過去、悪質な盗作について紹介したことがあった。
こちらで紹介した記事はコピペチェックツールを使用していたが、くぐり抜けられてしまっていた。
さっき言ったように、単語を置き換えたり、文節の順番を並べ替えるという方法だった。
「どこまでが盗作か」というのは説明すると長くなるため割愛させていただくが、”文章の段組や構成が一致しているなら、それは盗作と判断される可能性が高い”とだけは述べておく。
該当の記事のコピペ率は、たしかに他の記事と比べて少し高かったが、基準値を下回っていたのは確かだった。
このことから「ライターが意図的に盗作し、その事実を隠そうとした場合にコピペチェックツールは検閲として機能しない可能性が高い」と私は思っている。
②下げない方がいいジャンルがある
一致率・類似率を下げるのが難しいジャンルがある。例えば、金融と法律関係のようなジャンルだ。
これらのジャンルは専門用語や法文が頻出するため、他の記事と比べてい一致率・類似率が高くなってしまう傾向がある。
これらのジャンルに関しては下げることで別の問題が発生する。
例えば、次のような例
これは、遺産を相続する際の優先順位について書かれた文章だ。一見同じに見えるが、2の内容は間違いと取られてしまうことがある。
実は子と孫の間にも優先順位がある。まずは子供、そして子供が亡くなっている場合にはその子供(つまり孫)が優先されるのが本来の意味だ。
2の文章では、子と孫の優先順位が同じと読み取れてしまう。
これはわかりやすい例だが、法律や金融の分野では、少し文章をいじっただけで内容の解釈が変わってしまうことがある。この場合は「文章を修正する」ではなく「引用する」に切り替えた方がいいだろう。
コピペチェックツールはどう使っていくべきか
コピペチェックツールは方法を知っていれば簡単に一致率・類似率を下げることができるものもある。
そのため、コピペチェックの判定にかからない=コピペではないという判断は早計だろう。
だからといって、コピペチェックツールの利用が無駄なわけではない。では、どのように活用していくのが良いのだろうか。その方法を紹介する。
①数値を下げることを目的にしない
色々なライターと話をしていると、クライアントが「一致率・類似率を〇%以下に下げる」ことをレギュレーションに組み込んでいるケースも少なくないようだ。
コピペツールを使う本来の目的は「盗用・類似記事を発見する」ことで、コピペ率を下げることが目的ではない。
下げることばかりに力を注いでいると、修正後の文章がちぐはぐだったり、言葉を置き換えただけで実際はコピペだとわかってしまう記事などはよくある。
本来の目的を見失わないレギュレーションを意識することが重要になる。
②コピペ部分をチェックするのに使う
前述したように重要なのは「本当にコピペしているのか」「コピペと判断された部分によって問題が生じる可能性があるのか」だ。
そのため、コピペツールで見るべきは数値ではなく――該当箇所を本当にコピペと判定していいのか――その箇所を知るためのツールとして使った方が良いだろう。
本当に記事の品質を良くしたいなら
本来の目的は「記事の品質をあげる」「盗用防止」であり、コピペチェックはその手段の一つに過ぎない。
本当に記事の品質を防ぎ、盗用を防止したいなら、次のことを行った方が効果がある。
①”引用”を活用する
”引用”とは、「他者の執筆した文章や事例を、自身の文章の中で紹介する」方法だ。
文章は引用元から一切改変しないこと、引用元を記載すること、その記事の本旨になっていないことなど色々な条件があるが、引用はコピペではないので、コピペ率が下がらないなら引用を検討すべきだろう。
②オリジナルの体験や知見を入れる
オリジナルの体験や知見を挟めば、コピーコンテンツになる余地はない。
例えば、働き方や投資などの話題であれば、自分の実体験を入れたり、商品であれば自分が使った感想や所感を明記することで、オリジナルのコンテンツになる。
さらに、Googleはオリジナルのコンテンツを高く評価するため、うまく書ければSEO的な効果も見込める。
ただし、自分の知見や体験ベースで偏った情報になってしまうと、今度は記事としての品質が下がってしまうので注意が必要。
ツールに頼りすぎないことが重要
ライターが書いた記事の全てをコピペかどうかチェックするのは、目検では不可能だ。コピペチェックツールを使うこと自体は効果的と言えるだろう。
しかし、現在は言葉や文章の類似・一致を判定できても、少し表現を変えるだけで簡単に一致率を下げられるツールがほとんどだ。
中には、「一致率を30%以内に下げる」というルールを作っているメディアもあると聞くが、あまり意味がないだろう。むしろ、文章に本来必要な用語や言い回しが回避されてしまい、記事として有効性を失ってしまうことすらある。
コピーコンテンツかどうかの判断は、ツールと目検をあわせて、多角的な確度で行っていくことが重要だと私は思う。
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