見出し画像

スーパー歌舞伎Ⅱ「ワンピース」

幼い頃から親しんでいたワンピースが歌舞伎に!
しかも大好きな猿之助さん!これは観るしかない…!
ということで、猿之助さんディープファンの祖母に頼み込み、前方かつ花道の真横という良席を確保してもらい、なんとか鑑賞できました。

ワンピースのワの字も知らないような歌舞伎ファンのマダム達も置いてきぼりにしない分かり易いストーリー。
ワンピースファンの自分も大満足できる演出。
ワクワクが止まらない最高に幸せなひと時を過ごすことができました。

しかも、エピソードは頂上決戦編。
極悪の海賊が収容される監獄インペルダウンから、海軍総本部のマリンフォードへ、兄であるエースを救出するため、ルフィが仲間たちと共に駆けつける、涙なしには見られないあそこです。

まあ、わたしは初っ端のあらすじ演出の時点で泣いてしまったのですが(感動で)。だってシャンクス出てくるんですもの。
ちなみに、あらすじ動画のナレーションは6代目中村勘九郎さんでした。

まあとにかくスーパー歌舞伎なもんで、なんでもあり。
ぬいぐるみチョッパーも激かわだけど、市川右近ちゃんが演じるチョッパーも最高に可愛かったです。周りのマダムたちも「あらァ可愛らしい〜」って言ってたなあ。
ほかにも、サニー号に乗った(ガチで乗ってる。大道具すごい)麦わらの一味が出てくるシーンは本当にわくわくするし、会場を巻き込んでゆずのテーマソングを歌い踊るオカマたちも衝撃的でした。
ニューカマーランドのみなさん、女形のときの美しさをかなぐり捨てて、みんな化け物(褒め言葉)でほんとうに......。よかった。

事前に本水を使う立ち回りがあると聞いていましたが、あれ程とは。
滝の中をボンちゃんやイナズマ、サディちゃん、マゼランが暴れまわっていた......。
客席にかなりの水飛沫がとび、劇場が一体となった場面。びしょ濡れの己之助さんや隼人さんが見得を切る姿、抜群にかっこよかった〜。

宙乗りのシーンも幾つかあり、ルフィやマルコが飛び、アクロバティックなパフォーマンスをしていました。
そういえば、青キジがアイスエイジを繰り出す時の飛び方はなんていうんだろうか.......。
宙乗りじゃないんですよ、、舞台を中心として客席上に半円を描くように飛ぶんです.....。とにかく、客席にはみ出して飛んでくるクザン様がもうすごくて。紙吹雪もものっすごい散ってて、迫力満点でした。

ワンピースを歌舞伎で表現するだなんて、どうなるのだろうととても楽しみにしていたのですが、それを裏切らない猿之助さん。
白塗りでも髷でもちゃんとルフィでした。自由で元気で、仲間思い兄思いなルフィを猿之助さんが素敵に演じていました…。
歌舞伎独特の動きをするルフィも違和感がなく、立ち回りもパキッとしていて流石。
そしてルフィ最大の特徴である伸びる手足。
アンサンブルの方々とうまく表現していて感心。
なんでもやろうと思えば表現できるものだなあ。

そして!
大阪公演から出演の平岳大さん。
彼のエースはとにかくスタイルが良くて格好いい!イケメン!脚長い…!
火拳や陽炎の演出で朱色の旗を振って走り回っていたのですが、不慣れな感じがありつつも、とっっっっっても素敵でした。
花道での演技のシーンでは、わたしの真横に平さんがいらっしゃったのですが、間近で見ても素敵だった…。
見得を切る場面では、やはり歌舞伎役者の方との差を感じてしまいましたが、俳優さんならではのスマートな立ち回りは迫力がありました。

そして、わたしが一番素晴らしかったと感じたのが坂東己之助さん!
ゾロ、ボンクレー、スクアードの三役を演じていらしたのですが、どれも本物!
ワンピースの大ファンだという己之助さん、流石でした。
原作を研究しまくったんだろうなぁ。ボンちゃんなんて、本人が目の前にいるみたいでした。喋り方も動き方もボンちゃん。すごい。

他の出演者の方々も、ワンピースのキャラを生き生きと演じていらっしゃり、どれも本物でした。
ナミさん(春猿さん)やロビンちゃん(笑也さん)とっても綺麗だったな…。

会場が一体となって楽しめたワンピース歌舞伎。
観に行けてよかったと心から思います。

2016年3月4日 大阪松竹座にて(2020年加筆修正)