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2022年6月の思いつき

 今日、長男が5歳になった。私は30歳になり、若輩者ながら私も親としては5歳になったわけである。

 5年前の今日、義母がウン十年前に義弟を産んだのと同じ古びた産院で、何度思い返してもドラマチックな1日の最後に愛しい息子を初めてこの胸に抱いた。手も足も信じられないほど小さくて、ひよひよと頼りなく動いているのが不思議で、でも泣き声は人一倍(新生児の中では)大きかった。うん。本当に大きかった。今でも声がやたらと大きい長男は、体格も同じクラスの誰よりも大きくて、気付くと心も身体も逞しく、「男の子」へと着実な『進化』を遂げている。アグモンがウォーグレイモンへと進化するように。カブトムシでいうなら変態したと言ってもいい。私の片腕の半分にすっぽりと収まるサイズのくにゃくにゃだったあの生き物を思えば、今の息子の姿にこれを一言『成長』というのではなんだか足りない気がするのだ。たった5年で息子は大きくなった。子供らしく、それでいて優しく誠実な息子のことを、私は勝手ながら誇らしく感じている。

 息子が『進化』を遂げた5年間で、母である私はどうだったのか。25歳だった。それが30歳になった。容姿に大きな変化はないが、子供を2人産んだので体型は確かに崩れたし、顔には小ジワや痩けが出やすくなった。絵本を音読することや、毎日作る単調な家庭料理は少しくらい上手になったかもしれない。生きることに難しさを感じる場面は減ったけど、その分親としての悩みは増えた。引っ越しもした。「ママ友」という新しいコミュニティで友達もできた。車の車種や恐竜の種類、幕内力士の四股名を少し覚えた。至極当然子育てが中心となる生活の中で、ここ1〜2年は『母であること』と私自身の『自分らしさ』との両立がやっとほんの少しできるようになったという気がしている。
 私のこれは進化とは言えない。成長というのも釈然としない。ただ『適応』もしくは『順応』してきた。少し歳を取って積んだ経験値に基づいて、ただこの5年間を生きてきたのだ。そうして私は、ただ30歳になったのだ。

 去年の年末に30歳を迎えて以降、ここ数ヶ月の間で私の周りや社会で起こった様々な出来事、得た経験に寄せて個人的に考えてることがある。一つのことを考えているわけじゃなくて、なんだか色々なことを考えている。
 産休が明けてパートに復帰したこと。身内が体調を崩したことからメンタルヘルスの問題に向き合ったこと。さらけだすZINEピクニックに参加したこと。夫と海外移住について想像したこと。写真家の友人の作品に起きたある出来事、それによって彼女がした決断のこと。私が次男を産んだ2021年に、日本の国内出生率が過去最小を更新したこと。きっかけはその時々に、小さくも大きくもたくさんあった。
 何度も言うが私は30歳になった。能天気でいい加減で、人には優しいが無知で世間知らずなパート主婦で二児の母。それでいいと思ってきたし、それでいいと思っている。ならば、この焦燥感はどこからくるの?

 …考えている過程で思いついたことがいくつかあって、そのうちの一つがnoteを始めてみることだった。私はこれから先の10年を、これまでと変わらず生活の多くを子育てに専念するつもりでいる。パートをしながら息子達を育ててその進化を手伝い、夫と家庭を営んでいく、これまでを延長する10年間。
  それを決意して、そして思った。20代の頃よりもう少し広い視野で、多角的に、注意深く物事を見ていくことはできるかな。いま知らないことをもっと知りたい。わからないことを少し勉強したい。10年後、子育てを終えた私が何をしていて何を思うのか。40歳の私が15歳の長男に見せる姿はどんなものなのか。30代を子育てに費やす私と社会との関わりが、その時どこにあってそれをなんと呼ぶのか。
 子育ての片手間に、夕飯の献立を考えた後に、着たい服を着た時に。手の届く範囲のインプットと、些細なアウトプットならできるかもしれないと思ったから。

 いくつか思いついたうちのもう一つに「小銭貯金」がある。キリがいいと思ったので息子の5歳の誕生日である本日から、noteと同じく始めてみようと思う。私のことを知っている人なら周知だけれど三日坊主なので不安はないとも言えないが、とりあえず思いついたことはやってみようと決めたので、お土産お菓子が入っていたスヌーピーのカンカンにお財布に入っていた100円玉を入れた。1枚だと寂しく感じたのでなんとなく2枚入れることにしたが、ほんの200円ぽっちではまだ貯金箱とも呼べないな。やる気に満ちている今の私の幼稚な想像の中では、スヌーピーカンは小さすぎてすぐにいっぱいになってしまいそうな気がするけれど、あまりに浅略すぎるだろうか。
 40歳の私が10年貯めて山のようになった小銭を家族に偉そうに見せつけて、資産運用の楽しさや少額投資のメリットデメリットを語る日が来たとしたら面白いなと思う。

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