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日本語でも分かりやすい、ロシア発プロパガンダ分かるかなテスト

 「興味深いコンテンツがある(意味深」というメッセとともに送られてきたこのQuoraのテキスト。結論から言えば、執筆者はまともな人なのに、ロシア発のディスインフォメーションがヒットしてしまった典型的な事例と言えます。

 事実関係の概ねにおいて間違っていない(むしろちゃんと整理されている)のですが、ロシア側が言いたいことを概ね網羅していて、意図的に書いたのであれば見事なロシア派によるプロパガンダの内容になっています。

 まずは、一読されることをお薦めします。

 何か所か指摘されるべきところはありますが、いちばん目を引くのは「もしもロシアの首都モスクワの1,000kmのウクライナ領にミサイル基地を置かれたら」という、本件ウクライナ問題がキューバ危機の再来と危惧される系のストーリーを敷衍した内容です。

 なぜか知らないけど消されているJNN(TBS)単独インタビューのこちらの記事、掲載時期が過ぎたのか内容がまずいので消さざるを得なかったのかはわかりませんが、まさに駐日ロシア大使の言い分そのままにQuoraが記事にしてます。JNNの記事はテキストが転がっていたので全文引用しておきます。まあなんというか、そうですかという感じの記事です。

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 で、当然のようにツッコミが殺到するわけなのですが、一番まとまっているのは最近何かと物議を醸しているJSFさんのこの記事です。ご一読いただければわかるように、ロシアの安全保障上、ウクライナでのミサイル配備が問題だとするならば次の一文で反論はすべてつきます。

せっかくの中距離ミサイルなのですから、もしも配備する場合は前線から遠い味方の防備が厚い安全な場所に置きます。意味も無く危険な最前線に配備する必要がありません。

 もしもロシアが本当にこのキューバ危機まがいのミサイル安全保障の問題でウクライナに対するNATO東方拡大を容認しない立場でウクライナ侵攻を適切だと考えたのならば、東京から1,200㎞ほど先にある北朝鮮で核開発が行われ、ミサイル発射実験が行われている時点で日本は北朝鮮に宣戦布告してよいのかという話になります。

 また、民族間の問題でルーシ人をルーツにロシアとウクライナ、ベラルーシの関係を説明しているのはよいとしても、原則として陸続きの多民族国家はどこでも同じ問題を抱えており、だからこそ、白人系右翼がネオナチ化して民族主義的な活動を激化させるケースが欧州政治の病理となっているのはウクライナに限ったことではありません。もっと言えば、ロシアにルーツのあるロシア系ウクライナ人がいる、だからなんだ、という話です。

 なので、ここのところだけを切り取ってロシアの戦争の理由を記してウクライナ情勢を解説するのは単に「ロシアがなぜウクライナに攻め込んだのか」を代弁することのみが目的とされる恐れがあり、同様に、なぜ2014年にクリミア半島をロシアが併合したのかや、それ以外のロシアの紛争で言えばチェチェンやジョージア(グルジア)、シリア、あるいは治安介入したカザフスタンなどの各地域の紛争にも同じような安全保障上の問題があったのかという説明も付けられなければなりません。

 一連のQuoraでの議論は、歴史的バックグラウンドを説明しているまでであれば「そうですね」で済んだものが、安全保障の専門家でもいまだにプーチン大統領の本当のウクライナ侵攻の理由が分からない状態にもかかわらず記事では一方的にロシアの側の安全保障上の問題であると断じている点で、結果的に(執筆者の意図は別として)適切ではない解説となってしまっていると思われます。

 ただ、この回答者氏の個人の返答内容を連続で見ていきますと、明らかにおかしな言説を披露している風では全くなく、おそらく独学で時事問題や社会事象について勉強し、見解を固めて書いておられるようにも見受けられます。むしろ、まともな人、という印象です。ということは、それだけロシアが報道においてこの手の割としっかりした知識人をも誤認させるようなディスインフォメーションを流し、それに対して読んだ人が「なるほど」と思わせるほどのきちんとした説明の中にロシアに有利な意図を混ぜて「ロシア側にも安全保障上の理由があってウクライナに攻め込んだのだ」と思わせられるだけの何かがあった、ということなのでしょう。

 なお、ウクライナの中世後半以降の歴史については、朝日新聞で東京大学の松里公孝先生が解説しておられますので、ちゃんとお金を払って読みましょう。

ウクライナへの軍事侵攻はありうるのか。JNNの単独インタビューに応じた駐日ロシア大使は「我々次第ならば戦争はない」と明言する一方、欧米への強い警戒感もにじませました。10日から始まっているロシアとベラルーシの大規模な合同軍事演習。ロシア極東から移送された地対空ミサイルS400や戦闘機など、最新の兵器がウクライナ国境周辺などに投入されています。

NATO ストルテンベルグ事務総長
「冷戦以降、最大規模だ」

NATO=北大西洋条約機構は、ベラルーシ国内に展開したロシア軍が3万人規模にのぼるとして危機感を強めていますが、それだけではありません。

こちらはウクライナ南部クリミア半島の軍港。2014年、ロシアに一方的に併合されましたがここにロシア艦船6隻が入り、近く演習が行われるとされています。ウクライナ東部付近のロシアの国境地帯などにもすでにロシア軍が配備されていることからウクライナは、ほぼ取り囲まれている形です。

こうした状況についてどう答えるのか。ガルージン駐日ロシア大使がJNNの単独インタビューに答えました。

記者
「圧力を受けていると感じても仕方ないと思うが、これについてどう説明を?」
ガルージン駐日ロシア大使
「私はそう思っていません。ロシアとベラルーシは連合国家であり、その連合国家の大きく大事な機能のひとつとしてお互いの防衛協力がある」

大使は、こう主張したうえでウクライナのNATO加盟への警戒感を強調しました。

ガルージン駐日ロシア大使
「もしウクライナがNATOの加盟国になるとすれば、例えばモスクワまでのミサイル到達時間が数分間まで短縮されてしまう。それは明らかに脅威ですよ」

またNATO側の判断については。

ガルージン駐日ロシア大使
「NATOの基本文書において、NATOが希望を出している国、手を挙げている国を必ず加盟させる義務があるというわけでもない」

駐日ウクライナ大使は会見でウクライナのNATO加盟は自分たちの安全保障のためだと強調しています。

ただフランスのマクロン大統領は”NATOとロシアが共存するための妥協案”として「ウクライナがNATOに加盟しないことだ」との考えを示したと、フランスメディアが伝えています。

こうした中、ウクライナは今回の合同演習に対抗する形で軍事演習を開始。アメリカから供与された対戦車ミサイルやトルコ製の軍事ドローンの投入などでけん制する構えですが、現地では複雑な感情も渦巻いています。

ウクライナ政府軍の元兵士 オクサナさん
「ごめんなさい・・・夫が亡くなったことを信じられませんでした」

ウクライナ政府軍の兵士だったオクサナさん。国内で親ロシア派との紛争が続き、夫は3年前に地雷を踏んで亡くなりました。娘は、夫の死の3か月後に生まれました。

ウクライナ政府軍の元兵士 オクサナさん
「ロシアは侵攻するかもしれません。望まれれば娘を預けてでも戦闘に参加します」

軍に戻ることも考えていると決意を示しますが。

ウクライナ政府軍の元兵士 オクサナさん
「軍人として侵攻に備えますが、母親としては平和を望んでいるんです」

こんな思いを抱かずに済む日は、いつ訪れるのでしょうか。

TBS NEWS 2月11日 16時30分
https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye6002452.html

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神から「お前もそろそろnoteぐらい駄文練習用に使え使え使え使え使え」と言われた気がしたので、のろのろと再始動する感じのアカウント