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公立高校へ進学を希望する障害者とその保護者にまつわる「定員内不合格」問題

 高校はそもそも義務教育ではなく、しかし所得制限なく私学でも高校無償化が政策の目玉となってきている中で、課題として出るようになったのは公立高校への進学を希望する障害者やその保護者、親族と、そのような教育の仕組みを持っていない公立高校との制度的課題の部分であります。

 NHKでも報道されましたが、重い障害を持ちながらも子どもが学びたいという場合は特に、憲法第26条で認められている子どもの学習権の亢進に見合うのかどうかという結構な論点があります。ここでは特に、公教育制度においては義務教育までが政府に対する保障であって、それよりも上の高等教育においては施設側の裁量だろうとは整理されてきました。

 その点では、障害者親族の「障害のあるなしにかかわらず地域で一緒に学べるような環境が実現するように訴え」るのは高校側が総合的に判断して高校での通学や修学が無理と見られる場合は特に、定員が割れていても入学を認めないという大前提となっております。

 ここにはその重度かどうかを別として、一般的な高校教育を受けられるに足る学力を備えているか、介助があっても授業を受けられる状況かどうか、そして何より本人が学級での学びに参画する意欲がきちんと示せるのかand学んだ結果をアウトプットできるのかがハードルになってきます。総合的判断とはおそらくこの辺のことを言うのでしょう。

その上で、高校の場合は義務教育ではないので年齢主義が適用されず、成績不良ならば留年もします。また、定員割れしている公立高校において、一定の教育水準を維持するために定型発達&健常者でも不合格を公平に出しているケースもあるように聞きます。

したがって、文部科学省としては都道府県教育委員会と協議の上でなお「各高校の現場裁量に任せる」以上のことは言えず、高校は上記のように総合的に判断した結果、学力と自力通学の可否あたりを前提に定員割れでも不合格を出す方針になるのだろうと思います。

 ここで問題となるのは難病や交通事故など何らかの不幸な事件事故を経て通学中の高校生が障害者となってしまったが、本人ないし保護者の意志などをもっぱらの理由として通学の継続を希望した場合です。

 すでに入学して成績を出し通学もできていた子を、能力の喪失と共に出席待ちからの出席日数不足での自主退学となるケースは少なくなく、私立でも高校、大学や大学院などでは激しく揉めるケースのある事案です。

 また、特別支援学校高等部のような施設でも、いわゆる境界知能問題も含めて個別事例ごとの現場裁量での運営で乗り切るにはしんどい事例が急増しているため、これをどこまでが学習権の範疇として政府が担保するべき教育とするべきかは非常に判断が分かれるところではないかと思います。

 個人的には障害者本人や保護者のご意向も踏まえるものの、普通の定型発達の子どもたちと地域で学べるようにしろというのは無理筋で、とりわけ重度障害者を初等中等教育ならともかく普通の公立高校に押し込むことにどれだけの社会的意義があるのかよく分からないので反対です。

 これはもう司法の判断を求めるために裁判をやり、最高裁判所が何をいうかを見てから判断で、それまでは現場裁量で定員割れでも不合格を出さざるを得ないってのが一般的な運用なのかなと思います。

 かたや、山口県や沖縄県では公教育における教師不足で教育委員会独自の少人数教育が破綻しているぐらい、教師の成り手不足が深刻なところ、ここに普通公立高校でも障害者対応せよとファシリティやハード面だけでなく介護も含めた負担を学校の現場に出すのは無理筋のように思いますが、どうなるんでしょうね。

神から「お前もそろそろnoteぐらい駄文練習用に使え使え使え使え使え」と言われた気がしたので、のろのろと再始動する感じのアカウント