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ジャニーズ関連、一問一答の記者会見がどうのこうのがどうでもいい件について

 なんでワイに取材が来るのかよく分かりませんが、とりあえず「どうでもいいんじゃないですか」という話はします。

 そもそも、99年文春が報じたジャニーズ告発記事で、最高裁が「ジャニー喜多川による性暴力の記述は真実」と認定した時点から四半世紀も、それもジャニー喜多川さんが亡くなられた後も何事もなかったかのようにジャニーズ事務所は運営されてきた経緯があります。

 それまでのあいだ、文春やBBC以外はこれらの性被害の問題について報じたメディアはほぼ絶無であって、いまさらジャニーズ事務所が釈明のための記者会見を開催しても独自ネタも特になく質問を一問二問するだけのことにどれだけの意味があると思ってるんでしょうか。

 また、更問による質疑が国民の知る権利に資し、理解を深めるという話が出ていましたが(江川紹子さんもTwitterXで書いてましたが)… そもそも被害者のいるジャニーズ事務所問題というコンプラ上問題のある私企業の話がチッソや国鉄清算事業団と同じく補償会社と事業会社に分かれて改名されますという程度の話で国民の知る権利が記者会見で満足させられると思っているとしたら相当におめでたいことだと思うんですよ。

 あれだけの媒体社が記者を送り込んでやっている記者会見で、ジャニーズ事務所側の仕切りで公平に運営しようと思ったら、自説開陳して長々喋るいかれた質問者を除いて一社一問にしますと言われたらそれは仕方のない話だし、それが嫌なら自力でリスク取って調査報道をしろという話です。

 ここから先の話は、どうひっくり返しても死んだ人の所業とその後の組織防衛で被害者が加害者になった話、さらに秘めたる情事が性暴力の拠点となり、日本の芸能ビジネスの中心にあったのを既存メディアが批判すらできていなかったという話と地続きです。じゃあそこに並んでいる媒体社として質問している人が、この問題について、どれだけのリスクを払って解明に貢献したんでしょう。

 東京新聞がしおらしく私たちはこの問題を取り上げられてきませんでしたという反省文を掲載していて、そりゃあもちろんそりゃそうですねということで、反省しないよりはした方がいいという意味において価値はあると思います。でも、それはその程度の話なのであって、じゃあこれからどうするのかという話ですよね。

 文春で記事を書いた際も、概ね書くべきことは書いたものの、やはり事情もあって書き切れないことはいくつかテーマとして残りました。実際、それはいきなりドーンと問題点を披露して即座の解決を促すというよりも、やはり読者、社会の咀嚼を通じて問題点を理解してもらい、認識してくださって、それに対して解決を求める人々の協力を得られるようにするというのがお作法なのだということは、今回の文春ジャニーズ報道で改めてよく理解ができました。

 他方、人権デューデリジェンスにおいては、アカン会社をアカンとしていきなり取引を切るのではなく、事業者の側もリスクを負って、これらの会社がきちんと補償し人権状況の改善を進められるか伴走する義務があるのだ、という話も出ていました。個人的には実情を知っている分あまり賛同できる方針ではありませんが、それもまた方策なのだと言われれば理解はします。

 そういう「世間が、この『ジャニーズ問題を分かりやすいサイズに咀嚼する』プロセス」のための記者会見であり、ある種の公開処刑を求めている面は、どこかにあるだろうと思います。権勢を誇りあれだけの絶大な人気を博したジャニーズ事務所の信頼が地に堕ちて、かつての大人気タレントが喪服のような黒スーツを着て、ささやき女将みたいな犯罪者の娘が相続税をうまく節税するために会社の存続にこだわりあの手この手でうまい具合の幕引きを図ろうとして右往左往している図式は、ジャニーズファンではない一般国民、特にジャニーズ系のような陽キャをうらやみながらもそのような煌びやかな世界とは生まれ落ちたその瞬間から無縁であったチー牛な俺たちからすれば「ざまあwww」と留飲を下げる以外にない事案であろうからです。

 しかしながら、この親としてジャニーズ問題を見ると、やはりそういう我が子を性被害の具になることをうすうす承知で「合宿所」に送り込む貧しい母親の気持ちにまで至ると、どうにもやりきれない思いはします。しかも、そういう若い男の子が性的消費の的になり、ジャニーズファンの女性たちが織り成す熱狂の中で物色され商品化されてきた経緯を想うと義憤すら感じます。駄目でしょう、そういうのは。

 さらには、LGBTQ+で包摂だと言っていたレインボー界隈や、抑圧された女性たちが性の商品化の対象になっていると騒いできた男女同権・フェミニスト界隈がすっかり大人しいのも問題です。お前らは犯罪は犯罪として批判しつつも同性愛や小児性愛は擁護しなければならないし、性の商品化そのものであったジャニーズ商法に対しては灰燼に帰すほど批判するべき存在だったんじゃなかったの。

 そういう問題について、目の前にいるいのっちや東山に対して一問か二問か記者会見で思いを訊いたところで解決するはずがないじゃないですか。リスク取って自分の媒体でちゃんと調べたことを整理して記事にするのがお前らの仕事です。記者会見で目立ってどうにかなる話じゃ本来は無いでしょう。

 なので、一社一問がどうだとか言っている奴はたいてい馬鹿であるか、媒体の仕事の有りようも倫理も社会的意義も理解してない部外者なんじゃないかと個人的には感じます。後から出てきて、一枚噛みたいだけなんじゃないですか。


神から「お前もそろそろnoteぐらい駄文練習用に使え使え使え使え使え」と言われた気がしたので、のろのろと再始動する感じのアカウント