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絵心の箱庭

友人が油絵で個展を出すらしい。
場所は原宿。
期間は1週間ほどなのだとか。

私はこの話を3年前から聞いていた。
これからやってみたい夢の一つに、「個展を開く」ということを私に教えてくれた。
それと同時に今開けない理由も教えてくれた。

「納得いく作品が描けない」
彼女はそう口にしていた。

「納得」というのは定義が難しい。
自分の作品のダメな部分は、創作者であれば必ず目についてしまうものだ。
完璧を追い求めるほどに、「納得」というのは遠ざかっていく。
結局のところ、「納得」というものに解はないのだ。

彼女の中の「納得」とは何だったのだろうか。
それが作品の質を指しているのか、自己の技術やメンタルの未熟さを指しているのかは分からない。
けれども、今の姿を見ていると、見えない軸がスッと背中の後ろには通っていて、凛とした佇まいとなっている。

どこか自信なさげだった姿からの成長を見ていると、一皮剥けて階段を一段上ったのだなと感じた。

彼女は自分に才能はないと口にしていた。
だが果たしてそれは本当だろうか。
小さな頃から絵が好きで、油絵を始めてたのは高校からだという。
純粋に彼女はずっと絵を好きでい続けているのだ。

それは誰もができることではない。
好きでいても、途中で目移りしたり、忙しくなったりと手を離してしまうのが大半だ。
「好き」でい続けることを、「才能」と呼ばずして何と呼ぶのか。

誰もが趣味を好きで居続けることは難しい。
ましてや、それを形にすることはさらに難しいことだ。
自分の叶えたい夢を自力で叶える姿に、かっこよさを感じている。

彼女の個展には足を運ぶつもりだ。
「納得」の答えを見に行こうと思う。
絵心の箱庭には、何が飾られるのかが今から楽しみである。

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