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短編小説集

99
私の書き下ろした短編をまとめたものになります。
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#ショートショート

SS note杯 『神様カフェ』

「あのカフェにね、神様がいるんだって」 春菜の戯言を信じるつもりはなかった。 けれども、…

27

今夜、雨鳴りにつき。

深夜2時30分。 私は雨の音で目が覚めた。 ベランダのコンクリート濡れ、ぽたんぽたんと手すり…

39

静 霧一 『耳なし霧一』

 耳がもげるほど痛い。  先日まで春の陽気だったというのに、今日になって、2月の冷たさが…

48

静 霧一 『感染性バレンタイン失恋症候群』

  「ねぇ、昨日彼氏と別れちゃった」  あっけらかんとした表情で咲はランチのサラダを頬張っ…

47

静 霧一 『青いベランダの食卓』

 淡く白い温かな光が、私の瞼の裏を照らす。  リビングの窓が少しばかり開いていて、そこか…

50

静 霧一 『棋譜の庭にて、修羅と花束』

  「今日も一局、お願いしますねアメリアさん」 「ええ、いいですともカーミラさん」  草木…

40

静 霧一 『私は不器用な青色と生きていく』

 私は横断歩道の前で突っ立っていた。  私の目の前を傘をさした大人たちが通り過ぎていくが、立ち止まっている私を見て、「なんだこいつ邪魔だな」と無言の口で罵声を浴びせ、舌打ちをしていく。  それもそのはず、歩行者信号は進めの青を表示しているからだ。 「進まなければならない」  そんな声が、信号機から聞こえた気がした。  その声に釣られ、迷うことなく足を踏み出すその仕草は、まるでマリオネットのようであった。  ◆  なぜ、進まなければならないのか。  僕はよく、そんな他愛

静 霧一『クリームみたいに愛が溶けていく』

 私はいつものようにベランダに出ると、青い柵にもたれながら煙草を咥えた。  すでに街は茜…

45

静 霧一 『優しい彗星』

 助手席で、君はすうすうと寝息を立てながら眠っている。  ときたま差し込む月光の光に、君…

41

静 霧一 『ねむるまち』

 乱れたシーツの上で、私は彼の残した煙草を咥え、彼からもらったライターで火を灯した。  …

33

静 霧一 『真っ白』

“大好きなあなたへ  夏の茹だるような暑さが恋しい季節となりました。  明日の天気予報は…

37

静 霧一 『ドライフラワー』

   私は花屋に立ち寄った。  そこに買いたい花があったとか、そういうわけではない。  ふ…

54

静 霧一 『きっと、今日も私は窓辺で愛する貴方を待っている』

  「私の人生、そう悪いものじゃなかったわね」  キーコキーコとロッキングチェアを揺らし…

48

静 霧一 『クリスマスソング』

 僕は子供のころ、クリスマスイブの日が一番好きだった。  香ばしい匂いのするチキンに、ケーキの上で踊る砂糖菓子。  家族みんなでへったくそなクリスマスソングを歌いながら、聖なる夜を祝福した。  僕はよくサンタさんさんが来るのを待ちわびて、無理して夜更かししていたことをふいに思い出した。  あれから何年経ったのだろうか。  僕は今、このクリスマスイブの日に独り、イルミネーションに飾られた街路樹に立っている。  どこもかしこもお祭り気分で、街路樹の通り沿いのお店はどこもかし