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短編小説集

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私の書き下ろした短編をまとめたものになります。
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#スキしてみて

【短編小説】んもれ

ったく、なんで俺がこんな目に合わなきゃいかんのだ。 つくづく不幸なことばかりじゃねぇか。 …

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時織りの手紙(6)

令和3年9月1日 この日、暁人は珍しく朝7時に起床した。 夏休み中の大学生と言えば、お昼ごろ…

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【短編小説】無拍子な春

僕には、人の波が視える。 見えるのではなく、視える。 感じるといったほうが近いのかもしれな…

28

時織りの手紙(5)

※第一話はこちらから 大正12年8月20日――― 石森玲子は一人、自室で膝を落として、唖然と…

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まどろみ

夢を見ていた。 心地よい、なにかふんわりとした夢だった気がする。 私の顔を沈める枕からは…

71

時織りの手紙(4)

※第一話はこちらか 令和3年8月12日――― 朝目が覚めると、暁人はすぐさま手紙箱の蓋を開け…

14

時織りの手紙(3)

※第一話はこちらから すでに白く輝く太陽は、東京の真上を照らしている。 時刻は14時20分。 暁人はあれから二度寝をしてしまい、起きた頃にはすっかりとお昼を過ぎてしまっていた。 ショルダーバッグを肩にかけ、真夏の東京へと出かけた。 埼京線に乗り、池袋を経由して東京メトロへと乗り継ぐ。 到着したのは日本橋駅である。 暁人はレターセットなど持っておらず、それを買いに行くためにわざわざ日本橋高山屋へと向かった。 高山屋5階の文具売り場へ立ち寄り、500円ほどのレターセットを購入

時織りの手紙(2)

※第一話はこちらから 布団にごろりと転がると、疲れがどっと来たらしく、暁人はうーと唸りな…

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時織りの手紙(1)

祖父が亡くなった。 つい二週間前のことだ。 あまりの突然の訃報に暁人は驚き、納骨が終って…

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泥の雨に咲く、名もなき花の名は

時間なんて、無限にあるものだと思っていた。 未来なんて、永遠に続くものだと思っていた。 …

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静 霧一 『バレンタインなんて大嫌いだ、ばか』

『バレンタインなんて大嫌いだ、ばか』  もう私は何度、この言葉を口ずさんだろうか。  煌…

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