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「じゃあ、おねえちゃんのこと送って帰るね」 梓はそう言って笑うと玄関の鍵を閉めた。 …
午後の授業の終わりをまだかまだかと願ったことは、今日が初めてではない。 初めてではな…
「なぁ、恵」 「なに?」 「北条ってなんであんなに俺に突っかかってくるんだ?」 悟は恵に…
こんなにも貧乏ゆすりが激しいのはいつぶりだろうか。 午前中の授業などすべて放棄してや…
悟は1限目の授業が始まる前、詩を心配して保健室へと行った。 担任には体調不良だと嘘をつ…
水曜日は、不幸にも嫌われている。 何もしていない、ただそこに"水曜日"という名前が付け…
週明けの月曜日はあいにくの雨であった。 梅雨の時期であるから当然の天気なのだが、いやに蒸し暑く、セットした髪の毛がうねるためか、悟にとっては1年の中で最も天敵ともいえる季節であった。 いつもの悟であれば、アラームで目が覚めてもごろごろと布団の中でスマホをいじっているせいで、結局時間がギリギリとなるところだが、遠野家には居候である梓のおかげで、悟は叩き起こされるようになっていた。 時刻は朝の7時30分である。朝のHRの時間は8時45分からとなるので、それを考えるとだ
「ねぇ、悟」 「なに?」 「ありがとうね。こんな私みたいなのに優しくしてくれて」 明かり…
「―――ということで、何日か居候することになった。よろしく!」 悟は突然の出来事に頭の…
「あら、おはよう悟。よく寝れた?」 「おはよう母さん。昨日は布団ありがとう。床に直寝は痛…
「ねぇ、ねぇってば」 悟はゆさゆさと眠っている体を揺らされる。 いつもなら耳障りなア…
「―――ということで母さん、今夜梓さんと泊めることになった」 玄関を開けるなり、開口一…
無法区は以前まで立ち入る人が少なかったが、SNSの発達により、地図でしかわからなかった内…
「というわけでだ。僕は有栖川さんの妹をまずは話し合いをすることになった」 「運がいいんだか、悪いんだか。本当、次は怪我してバイト行けませんは止めてよね。あ、お客さんお会計だからレジに行って」 「へーい」 悟はホールの後片付けを素早く済ませ、レジ台のほうへと向かった。 あの出来事から2週間がたち、悟の後頭部の打撲もすっかりと治り、痛みは完全になくなっていた。 だが、目に見える傷はなくなっても、目に見えない心の傷までもが消えたわけではない。 悟と詩は隣の席同士であり