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人を知る時、そいつのコミュニティを知る。

「しゃべりたい人に話聞く」ってどんなやろ。

こんにちは、桐原です。
仕事で月に2回、一般人にインタビューしてます。
この一般人たちね、たいていが「話すことなどない(ドヤ)」って顔してるんですよ。そらそうや。拝みたおして出てもらってるんだから。
で、こちらよ。

去年くらいにnoteで見かけた「無名人インタビュー」さん。
いや、私がやってるのこれやん。
「しゃべらせてほしい!」ってくる人にインタビューするの、楽そうだな。
とか、思って6月18日(土)のお茶会にZOOM参加してきた。

わかんない同士で転がってく会話もある。

桐原は、なんとなく広報のポジションを与えられて、苦し紛れに出したインタビューをやっている感じの聞き手である。
だからね、ふつうのインタビュアーって「この人にこれを聞こう!」みたいな気概があるもんだと思っていた。聞き手だから、ある程度話し手の興味の範囲とか下調べしてんだろうな〜すごいな〜、って思っていた。

んで、面白かったのがこの記事の解説。

「なにがやりたいのかわかんない大学院生」×「なにやりたいのかわかんないインタビュアー」のインタビュー記事、だったそうな。

めっちゃ気になるんだけど、話し手の「やかんさん」。
YOUはどうして無名人インタビューに?
(これ聞きそびれたか、聞き逃したんですよね)
もう読んでるだけで、勝手に妄想ふくらんでいく〜!ごめんなさいね。
最初のうちは、やかんさんのバックボーンが見えないままに話が進んでいくんだけど、終盤の方に「小学生の時に母が亡くなった」という猛烈な環境の変化が出てくる。父が「家事をして」と託せる年齢だったとしても、「そんなんできなくてあたりまえやん!」って言いたいし、父側の子供ふたり抱えて仕事と家事っていう逼迫感もわかる。
メンタル逼迫してる者同士が、お互いを評価して持ち上げるのは無理。
親子は尚更よ!!小学生・中学生の同性の息子に!!
へこたれてる姿なんて親は見せらんねぇから、喧嘩になっちゃったんだろうなぁ……。やかんさんも「どこにも甘えられない」って割り切ってるから、全力出してへばったときに支えてくれる人がいない恐怖が漠然とあるのかなぁ……みたいなものを勝手に汲み取りました。

いや、理系で大学院いけるって相当頭いいやろ。
羨ましいわ!!
とか思いながら、主催さんの話を聞きながら、
「でも、なにもわからん。やりたいこともない。そんな人間同士でもこんなに話って転がって流していけるんだな」と思いました。
「話すことなどない」と開き直った人間との会話は、ほんと無言の瞬間が頻発する。ほんまに。
この記事、インタビュアーのがんばって探ってる感も楽しいですよ。

人を形成するコミュニティに注目する。

「俺にはなんのエピソードもないぜ」
これが桐原が相手にする話し手の基本スタンス。
なので聞くことは、決まり切っている。
順番もこの通りだ。
・フルネーム(漢字)
・出身地(なるべく細かく)
・家族構成(なんなら親戚まで掘り起こせ)
・学歴
・仕事もしくは学業の専門(なければ好きな科目!)

「なんやつまらん」「履歴書か」と思っただろう。
これが「無名の人間が持つ実績のほぼ全て」だ。
履歴書にケニア出身とか書いてあったら「Royco食べたことあるか?」って聞きます。なんなら売ってるところを教えてほしい。
(Roycoは呪術廻戦0に出てくる調味料だ)
芸能人だって、若手の頃に聞かれる基本はこういう項目でしょう。

そして、多くの人間はこの履歴書どおりのことでさえ、すこし深堀りされると何も答えられなくなる。これが面白いんだなぁ〜!
桐原も聞かれたら、「え、ちょっとまって?」ってなります。

・フルネーム(漢字)
 名前に込められた意味を推察して、本人に聞く。
 自分の抱いたイメージとのずれを訪ねる。

・出身地(なるべく細かく)
 転勤族ならまず間違いなくどこを転々としたか話が出る。海外転勤族だともう話題には事欠かない気がする。まだ友人以外に会ったことはない。

・家族構成(なんなら親戚まで掘り起こせ)
 その後に語られる話題は、ここと照らし合わせて聞く。
 ただ、親がめちゃくちゃ嫌いとか家族とむちゃくちゃ喧嘩してるときはNG
 田舎育ちのひとなら、親戚よりも近所の人の話題を聞くとその人のことがよくわかる瞬間もある。出身地の風土とかもわかる。

・学歴
 桐原がインタビューする層は大学出てない人も多い。ここもギャップを探す。筋が通りすぎている時は面白いものが埋まっている気がする。たまに不発弾埋まってるので注意。

・仕事もしくは学業の専門(なければ好きな科目!)
 これも桐原がインタビューする層は話題に事欠かない。
 たいてい出世物語か転職物語。この二つの物語をどんな視点で見て、どことつなぐのかでめちゃくちゃ満足度が変わる。
 記事の出来ではない。インタビューの満足度である。(半ば自己満)

これを聞いていくと「特定のコミュニティの中の自分」の話が見えてくる。
そのコミュニティの特徴とか雰囲気って、経験がないと想像するだけになってしまうんだけれど、想像しかできないときは「こういうイメージなんですけど〜!」って率直に伝えると。「そうだね!」とか「いや、実はそうでもないよ。あのね〜」って話がつながる。
もちろん知識があれば、より深くその人の背景が見えてくる。
話さなかったけど、言葉を濁したけれど、きっとそういうことがあった。
直感して、近い話題を出すと「実はな……」と乗っかってくれるときもある。

三十分で少なくても10000字くらいの撮れ高になるのよね。
これを600字にまとめています。
つらい。大半の話は削ることになる。

「話したい人」に話聞くのも楽じゃねぇ。

「話したい人」なんだから、勝手に喋ってくれるんでしょ?
楽じゃん?って思ってたけど、やはり、記事にするには大変らしい。

応募形式なのに、なかなかしゃべってくれない人もいるらしい。
おるんや、そんな人。
わかる。わかるぞ。しゃべりたい気がするのに、いざとなると質問されないと言葉にならないんだろう。わたしはそうだぜ。
たぶん、ディベートとか会議得意だけど、雑談苦手な感じだ。

無名人インタビューさん見てると、みんな抑圧されてるんだな〜と思う。
吐き出す場所が欲しくて、何かをやっている。
吐き出したくて、どうにかしたい。
今、これから、なんとかしたい。
その話に、聞き手は飲まれない力も必要なんだろう。
否定もしない、肯定もしないで、「もしも」と大前提をひっくり返す。
おお、「もしも」って面白いな〜!
そんな、土曜日のお茶会でした。

無名人インタビューさん、ありがとうございました。


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