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Amenthes

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復讐は、世代を超える。連合軍に属した様々な主人公がテロ組織アメンテスと立ち向かい、そして―― なお話をつくれたらいいなって
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2018年10月の記事一覧

07

「時代が"それ"を望んでいるのだ」
 ヘルムートの去り際の台詞。自室に戻ったエルネストはぼんやりとしながら、右頬を撫でた。人を改造してまでも倒さなければいけないほど、相手は強い。それを自分の過去と照らし合わせ、納得するエルネスト。しかしラファエルは、最後まで反抗していた。作り話に乗りたくない、と言うように。まずエルネストは彼の出自を聞いて驚き、困惑しざるを得なかったのだ。この組織は謎が多すぎる。し

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08

 急いで隣の部屋のドアを開けようとするが、他人の部屋なのでロックがかかっていた。画面付きインターホンで相手を呼び出し、上官であると告げたエルネスト。やはり画面の向こうの男は、陰鬱そうな表情をしていた。
「初めまして、エルネスト・ロダンだ。君が胡大尉だね」
「はい……」
 扉を開けてもらい、挨拶をするエルネスト。相手の声は小さい。
「どうした、具合でも悪いのか?」
 憂いの表情ばかり気になっていたが

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09

 甲板の上に設置してあった無人機が一斉に動き出す。先制攻撃を仕掛けたのはエルネストらであった。無差別攻撃を避けるために、無人機にもAIは当然搭載されている。それは、武器を持っている兵士を狙って内蔵されたレーザー銃を撃つのだ。大体は従来のバッテリー式だが、一部は魔導鉱内蔵の機体もあった。連合軍は、列強の国々を守るために結成された組織。それ故に守るために作られた装置は最新鋭の装備になっている。そのため

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 ラファエル・アリギエーリ陸軍少佐は退屈だった。銀色の面白くもない壁と床、独房のように無機質なパイプベッドと机、椅子、それに洗面台。窓からの景色は組織の建物ばかり見え、情緒がない。こんな部屋にずっといたら気が狂いそうになる、いや、もうなっているかもしれない。彼はつまらない部屋を見渡した後、自動扉を解錠すると自室を後にした。
 所在地不明――一部によるとドイツ南部の山地に作られたとも噂される連合軍"

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 訓練の後から、エルネストは悩んでいた。紅月の弟がテロリストであることは事前に聞いていた。しかしこのような形で遭遇するとは思っていなかったのだ。否、"したくなかった"のかもしれない。最悪の事態を避けたかったのだ。セカンドの成功作という運の良さに甘えて楽観的になっていたことを反省した彼は、紅月の部屋に訪れた。せめてショックを受けていた彼の慰めにならないかと模索していたのだ。
「胡大尉……いや、紅月。

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「大型無人機が暴走している!」
 野外に出る2人。そこにいたのは夜空の下で、轟音とともに暴れまわる二足歩行のロボットだった。連合軍の所有物である。その高さは10メートルほどあり、腕はないが肩の部分には機関銃や対戦車砲を携えていた。逃げ惑う関係者たち。内蔵された銃による連射で、怪我をする人間も出始めていた。
「ついさっきまで、なんでもなかったのに!」
「緊急停止コマンドも弾き返す!何故だ!」
 メン

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