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女オタクと男オタクの夢創作についての談話

これは、私と私の弟が夢創作について話したことの記録である。私は女オタクの代表ではないし、弟は男オタクの代表ではない。そのことを念頭に置いて読んでほしい。私がどういう夢者なのかは、こちらを読めば分かる。

そもそも、オタクを男女で分ける意味なんてないのではないかと思うので、タイトルは便宜上の表現である。それに、私は肉体は女だが、性自認は女である時もあり、男である時もあるXジェンダー(不定性)だ。家族の誰にも言っていないが。

私の弟の簡単な紹介をしておく。私と同じで、キャラメイクゲームを愛している。シスヘテロ男性だが、自分×二次元の男キャラ妄想も稀にするらしい。

本題に入ろう。

何年も前(ふたりとも成人済み)に、私が弟に「夢小説って知ってる?」と訊いたのが始まりだった。弟の答えは「知らない。何それ?」である。

やっぱり! と思った。いわゆる男性向けの二次創作物には、幅広いモブ創作が溢れており、私は常々それを夢的だな、と思っていたのだが、やはりそれらが夢創作に近いものだという意識はないのだと。

私は必死に、夢創作がどういうものなのか説明した。その内容は長いので割愛するが。夢創作についてよく知らない方は、2020年現在夢ジャンルの定義やらを考える、という良記事があるので読んでほしい。

説明を聞いた後の弟の台詞は、今でも忘れられない。

「男は自分×キャラなんて、意識もせず当たり前のようにしてるのに女は大変だね」

いや、本当にな! どうしてこうなった!

女の性欲の透明化や抑圧などが絡むのだとは思うが、それについては、ここでは論じるつもりはない。

弟曰く、「夢創作」ってかそれ、単なる「二次創作」じゃん。

そうだね! 男性向けだとモブ(俺)×キャラがスタンダードだもんね!

モブレだったり、イチャラブ系モブだったり、創作提督だったり、自分自身だったりがキャラと絡む。それらは全て、弟にとっては「二次創作」なのだ。

百合創作に比べて、いわゆる俺嫁の方が断然多いという体感があると弟は言った。私もそのように思う。

う、羨ましい~! 夢なんて幼稚だとか、いずれ卒業するものだとか、黒歴史(笑)だとか言われなくて済むんだ~!

私は弟に質問をした。

「キャラに接する妄想をする時、弟はそのままの自分自身とキャラとで妄想するの?」

「うん。そういう時もある」

自己投影夢だー! 当たり前のように自分×キャラだー! 私は、はしゃいだ。当時の私は自己投影夢をやっていなかったが、他人の自己投影夢創作を楽しそうだな~と憧れのまなざしで見つめていたのである。

余談だが、現在(2020年9月から)は私も自己投影夢をやっている。どうも、キャラくんとは真剣にお付き合いさせていただいております。

さて、ここからは会話文で進める。内容は、2020年10月にした会話を文字起こししたものである。

「いちご100%を読む時とかさ、普通に真中(主人公)に感情移入して、東城がいいかな? 西野がいいかな? とかやるでしょ?」

「私はしてないなぁ。誰とくっ付くんだろう? って、恋愛漫画として見てた。あと、外村兄に萌えてた」

「姉は女だからだよ」

「おい」

「姉はさ、少女漫画の主人公の普通の女の子に感情移入したりしなかったの?」

「うーん、あんまり…………弟みたいに真中の中に入るみたいな読み方はしたことないかも……?」

「いや、違う違う! 真中のポジションに自分をポンッと入れるんだよ。真中の中に憑依するみたいに入るんじゃなくて、真中は弾くの」

「マジか。目から鱗だわ。あと、それは私の定義では自己投影だわ」

「それは知らん」

「自己投影は感情移入の強化版みたいなイメージなんだけど」

「それについて深く考えたことはないなぁ」

「そうか。じゃあ、例えばゲームはどんな感じでプレイしてる?」

「俺はさ、そもそもゲームの人なワケ。二大好きなゲームはポケモンとTESよ? あんなの夢ゲーじゃん」

「確かに。主人公の名前変更出来るやつと、主人公のキャラメイク出来るやつ。私も大好き」

「(自主規制)とかダメだったわ。主人公のやることにイチイチ、は? ってなって、主人公の位置に自分をスコーンと入れられなかった」

「なるほどね。ねえ、ちょっと感情移入と自己投影の違いについて考えてみてくださいよ~」

「言葉博士に訊け」

「それじゃあ、最初に夢感情を抱いた時のこと覚えてる?」

「夢感情ってなんだよ!?」

(キャラに何かしたい、されたいという感情のことだと定義付けて説明)

「それ万人が持ってるやつだろ!」

「そう思うよね…………」

「違うの!?」

「ないと言う人もいます」

「(自主規制)してみ? あるって言うから」

「おい」

「創作物に感情移入出来ないからノンフィクションしか読みません、とかなら一貫してるなと思うけど」

「あー。ドキュメンタリーしか見ない人いたなぁ」

「で、夢感情を初めて抱いた時の話のことだけど。記憶が曖昧だけど、小学生の頃にポケモンピカチュウ版のゲーム主人公を自分だと思ってポケモンと戯れたいと考えてたはず。ポケモンやってる百億人がそう思ってるでしょ」

「マスキッパと戯れたいよ~」

「ポケパルレやれ」

「実際に戯れたいよ~」

「VRなら出来るんじゃね?」

「VRは夢と相性良いよね」

「姉は、いいから神夢ゲー、ポケモンを布教しろよ。主人公の名前変えられるわ、ポケモンに名前付けられるわ。そのポケモンっていうのは別個体だから、自分だけの相棒ポケモンなんだよ! 夢夢夢じゃん!」

「タイムラインのみんなたち、ポケモン剣盾やってると思うよ」

「姉の隣にいるマスキッパと、俺のマスキッパは別個体なんだよ! 神ゲーか?!」

「神ゲーなのは分かってるよ。大丈夫」

「みんな、ポケモンやろう! 終わり。締め」

「勝手に終わらないで」

「エルダースクロールズシリーズ(TES)の宣伝もやるか?」

「TESの良いところはキャラメイクと冒険の自由度! チュートリアルが終わったら、ハイ! 自由! という神ゲーです。農業やるもよし、暗殺者やるもよし。最高」

「最高だな。世界観の作り込みが凄いからこそ、テキトーに歩く面白さがあるゲームだよね」

「はい。宣伝は終わり。オリジナルキャラ創作はしたことある?」

「一次創作なら、小学生の頃から山ほどしてるよ」

「うーん。なるほど。二次創作では?」

「ぼくのかんがえた最強のサーヴァントの妄想とかはしたことあるけど。俺のカストールの話聞く?」

「FGOに来ちゃったね」

「うん。被った~! って思った」

「二次創作を形にしたことはないんだよね?」

「一次創作で忙しいから」

「ちなみに私は、一次創作の息抜きに二次創作をやり、二次創作の息抜きに一次創作をやってるよ」

「そうなんだ」

「PCの二次創作サイト巡りしたことある?」

「イラストサイトくらいしか見てなかった」

「絵が◼️でリンクされてるやつね?」

「そうそう。それで、▲はR18絵です、とかね」

「テキストサイトは見てない?」

「掲示板のSSなら、ちょっとだけ読んでたけど」

「あーなるほど。私は実は、男性の書いた夢小説を読んだことがあるんだよ。魔法先生ネギま!の。だから、弟も夢小説を読んでたりしないかなって思ったんだよね」

「あーそういうこともあるんだ。でも、俺は読んだことないな」

「そういえば、さっきのポケモンの話で思い出したけど、刀剣乱舞も私の本丸、私の刀剣男士じゃん。審神者は透明だし。夢夢夢ゲー。弟、ちょっとだけ刀やってたよね?」

「ちょっとキャラを知ってるくらいだよ」

「確か、次郎太刀のこと美人じゃね? って言ってたよね」

「うん。っていうかみんな美人じゃね? みんな抱ける」

攻め男主夢者の私「そうね。自分が男審神者という体でプレイしてた?」

「うん」

「ふんふん。弟はキャラメイクゲーやる時は、女キャラでいつもプレイしてるけど、あれはどういうこと?」

「俺の作ったカワイ子ちゃん、ぐへへってこと。それで、女キャラを攻略したりもする」

「ふむ。FGOはぐだ子でやってるけど、女装男子のつもりでロールしてるんだよね、確か」

「うん。それは俺の中でも特殊なロールプレイだけどね」

「私が、男キャラでゲームをやっていることについてどう思う?」

「俺と同じような感じだと思ってる」

「まあ、そうね」

「俺が女キャラでプレイして、姉が男キャラでプレイするのがいつものことだったから、それが普通のことだと思ってたけど、どうやらそうでもないらしいと気付いた」

「どうして?」

「よく覚えてない。そんなイチイチちゃんと生きてるかよ」

「そーすか」

「女キャラを選ぶ一番の理由はアレよ? 衣装よ。男の着せ替えとか楽しくない。そんなの毎日自分でやってるし」

「ほうほう。話題変わるけど、動物や無機物や人外に自己投影出来る?」

「万物に自己投影出来るわ! っていうか自己投影とか深いこと考えたことないわ。人間がウンコ美味しい~って言ってたら共感出来ないけど、人外がパフェ美味しい~って言ってたら共感出来るでしょ? つか、女オタクがよく言ってる壁になりた~いってやつも夢だよね?

それな! 私は推しと付き合いたいんじゃなくて、推しカプの家の壁になりたいんです。自己投影してる夢なんかと一緒にしないで! みたいなこと言う人いるけど、それってカプ観測夢じゃねーか! って私は思ってるんだわ。壁夢主だわ」

(壁になりたいと主張をする者には舞城王太郎の「淵の王」をぜひ読んでみてほしい。良質な夢概念が詰まっているので)

「壁という自分がいるから、夢だよなー」

「じゃあ結構話したし、そろそろ終わろうか。最後に、私の近況の話をするね」

「急に」

「私、最近自己投影夢やり始めたんだよね。キャラと私が付き合ってる」

「俺の嫁じゃん」

「まあそんな感じ。私を理想の外見にして、キャラと付き合ってる夢創作をしてる」

「それ今までと何が違うの?」

「私の考える理想の外見のアバターを作って、完全に私のする言動をさせて、私自身がキャラと付き合っている体の夢創作をしてるんだよ。実際のプロフィールとちょっと違うところもあるけどね。学歴とか職業とか」

「つまり、姉成分が強い夢創作ってことね。楽しい?」

めっちゃ楽しい!

「良かったじゃん」

めでたしめでたし


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