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特別展古代メキシコ in 東京国立博物館

マヤ、アステカ、テオティワカン
祈り、畏れ、捧げた

こんにちは。

東京国立博物館で開催されている「特別展 古代メキシコ」に行ってきました。

メキシコの死生観やドクロを可愛らしくする文化(ディズニーのリメンバーミーの影響強し)、マヤの遺跡、ドラえもんの映画の「のび太と太陽王伝説」の影響をモロに受けた世代のため開催前からかなり楽しみにしていました。

え、上映2000年…?23年前??

朝9時30分オープンで、9時50分くらいに行ったのですが、入場に列ができていました!びっくりです。(帰り際には列は解消されていたので、むしろ朝一の方が混んでいるのかも?)
混雑のため、第二会場から見るように案内されました。

タペストリーかっこいい
国立博物館の特別展の入り口のドーンとした
看板がかっこよくてわくわくする

古代メキシコ文明の3つにフォーカス

メキシコの古代文明の中の「マヤ」「アステカ」「テオティワカン」にスポットを当てた展示で、古代メキシコの至宝が約140件集結しています。

古代メキシコ文明はB.C.15世紀〜A.C16世紀のスペイン侵攻まで約3000年ににわたって今のメキシコやグアテマラ、ユカタン半島のあたりで繁栄していた文明を指すそうです。(この範囲をメソアメリカと呼ぶようです)

太陽信仰、独特の死生観、神への畏れなど、日本とは異なる精神や八百万の神様にも通じるような多種多様な神様、文化的な違いや共通の精神を感じました。

また3000年前、2000年前、500年前、そのくらい昔の人が作った神々の姿に驚くことがいっぱいでした。特に翡翠の加工技術!
八百万に神々を見出して祈ったように、古代メキシコでもたくさんの神様が信仰されているのは面白いですね✨
同じ農耕民族だからでしょうか?

《支配者層の土偶》マヤ文明
太陽のような被り物も太陽信仰ならではなのかな。

日本の神様も天照大神がいらっしゃいますが、真っ赤というより少しオレンジみの赤のイメージがあります。
南米の太陽は情熱的な赤、強めの赤のイメージを持っています。なんでだろうな。
被り物が放射状になっているからギラギラ感を感じているのかな。

古代メキシコの文明の推移

メキシコ沿岸部で栄えたオルテカ文明
メキシコ中央高原で栄えたテオティワカン文明→トルテカ文明→アステカ文明(スペイン侵攻の1521年に滅亡)
マヤ地域(ユカタン半島)で栄えたマヤ文明(B.C.1200〜スペイン侵攻までの1697年)

と、異なる地域でそれぞれに発展をしていったようです。
メキシコ中央高原で栄えたアステカ文明は現在のメキシコシティがある場所です。

ぐるっと周ってみたい〜!

マヤ文明ら1697年のあと点々で繋がっているので現代まで続いているのかな。
(パンフレットより)

トウモロコシの神様

メキシコっぽい!と思ったのがトウモロコシの神様です。
トウモロコシはアメリカ大陸を代表する栽培植物の一つで、少年漫画のドクターストーンにも出てきました。

雨や豊穣の神として信仰されていたそうです。
日本人が稲作で栄えたように、古代メキシコではトウモロコシが都市文明の礎になったのですね。

マヤ神話では人間はトウモロコシから作られたという創生神話まであるとのことで、びっくりました。

《チコメコアトル神の火鉢》アステカ文明
トウモロコシ持ってる
私たちの知っているトウモロコシ
《首飾り》マヤ文明
翡翠かと思っていたら、貝と緑色岩でした
翡翠とウミギク貝を珍重したそうな。
真ん中がトウモロコシの神様です
《パカル王とみられる男性頭像》マヤ文明
王様とみられる人の冠の垂れてるところは
トウモロコシの神様を模しているだとか

私たちも知っているトルティーヤも、この時代からあったようでトルティーヤ用の道具もありました。トウモロコシバンザイ

メキシコには、日本のお米のようにたくさんのトウモロコシの種類があるのでしょうか?私は夏の青森で食べた獄きみがとても好きでした。

テオティワカン文明

B.C.100からA.C.550年まで栄えたのがテオティアワカン文明。
テオティワカンといえば、ピラミッドが有名です。
太陽のピラミッドを中心とした巨大空間に儀礼の場や官僚施設、居住スペースが整然と建ち並んでいたそうです。太陽のピラミッド・月のピラミッドが象徴的ですが、ちょっと異質な羽毛の蛇ピラミッドも面白い造形をしていました。
とにかく大きなピラミッドと大きな骸骨の《死のディスク》が印象的でした。

太陽のピラミッドは日没の方向を向いて建てれられており、64mの高さです。
王墓があり、幼児の生贄など複数の生贄儀礼に関わる遺物が出土しているとのことで、
テオティワカンの人々にとって重要な場所だったのでしょう。

メキシコ先住民の世界観では太陽は沈んだ(死んだ)のち、夜明けと ともに東から再生する

特別展 古代メキシコ プレスリリース
《死のディスク石彫》テオティワカン文明

パンフレットにも載っている印象的な《死のディスク石彫》はこのピラミッドの近くの広場で見つかったそうです。想像より大きくて鈍い赤色と半分欠けた不完全さが少し怖かったです。

ちょっとゾッとしてしまう存在でした。

《火の老神石彫》テオティワカン文明


ピラミッドの頂上に鎮座していたのがこちら。
ここで火を焚いてお祈りをしていたそうです。太陽信仰だとピラミッドに行き着くのかな?
知らないはずのエジプトのピラミッドと似たような形状のものを信仰の末に作っていたってとても面白いですね。そういう風に人間のDNAに組み込まれているのかしら。この形に行き着くまでの過程をワイプで見ていたいです。

あぐらは高貴な人のポーズだそうです

メキシコの青空に突き刺さるような大きな神殿、頂点で火を焚いている様は圧巻だったと思います。太陽を崇めて、日の入りで太陽は死んで、毎朝東から再生することを信じて、生贄を捧げていた。壮大な死生観です。
火山活動や地震、干ばつ、厳しい圧倒的な自然環境を生きる上で見出した神様を信仰して祈り、畏れ、捧げていたんですね。

毎朝、新しい太陽に「おはよう」で日が沈むときに「さようなら」なんですね。

羽の生えた蛇の神様

名前からちょっと独特な羽毛の蛇神のピラミッド
これは「金星」を象徴しているそうです。(天体繋がりがちゃんとあった!)
突然出てきた羽毛の生えた蛇神は農耕の神だそうです。
のちに人類に文化を授けた神様として文化神にもなり、人類に火をもたらした神様でもあるそうです。ものすごい神様です。

名前から感じる姿としてはファイナルファンタジーで出てくるケツァルコアトルだなと思っていたら、ケツァルコアトルはアステカ文明の羽毛の蛇神様だそうです。古代メキシコにルーツを持つ神様でしたか。
アステカ文明では人類の創世神話にも登場する創世神にもなっているので、メソアメリカの人々にとって、太陽や月に並ぶ重要な神様なんですね。

そんな重要な神様なので、王権の象徴として全体に飾られたピラミッドは、メソアメリカの中で権威の象徴として建てられた最初の大きなモニュメントだそうです。

《羽毛の蛇神石彫》テオティワカン文明
本当にこの一つがめちゃくちゃ大きい。
《蛇形エキセントリック》テオティワカン文明
《ナイフ形エキセントリック》
黒曜石

鬼滅の蛇柱じゃん、と思いましたがこちらも羽毛の生えた蛇神を示すものだそうです。下のナイフは嵐の神が持っている稲妻を表しているようです。

稲妻って蛇のようだし、空から突然降ってきて火がついて、人類が火を手に入れたのだとしたら、まさに火を与えた神様は蛇なんですかね。
昔やってた佐藤健のiPhoneのCMでそういう描写があった様な気がします。

羽毛の生えた蛇神様についてはもう少し本とか読んでみたいと思います!

マヤ文明

一番耳馴染みがある文明です。
今のメキシコのユカタン半島あたりで発展しました。
マヤの暦、文字などの高度な知識を有する王様や貴族が中心となって交易と戦争を繰り広げた文明だそうです。
なんと最も長くて、B.C.1200年〜A.C.1697年まで続く長寿文明です。

同じ世代の方なら記憶にあるのではないでしょうか。
マヤの暦が2012年12月までしかないため、その時に世界が「滅亡」するのではないか?ということで映画にもなっていました。(2009年公開の「2012」)

高い雪山の上で鐘を鳴らして死を迎える僧侶の映像がとても衝撃的でした。
なんとかそこで世界は滅亡せずに現在に至っているわけですが、そんなこともあってマヤという言葉はとても印象に残っています。

《チャクモール像》マヤ文明
神様に捧げる供物の台で、ピラミッドの上にあったようです。

供物というのは、つまり、心臓とか。

ククルカンのピラミッド
これは!映画で出てきた!!

ククルカンは羽毛の生えた蛇神(ケツァルコアトル)と同一とのことで、
テオティワカン文明・アステカ文明と共通の重要な神様のようです。マヤ文明はユカタン半島あたりなので土地が違っても文化的な繋がりが見えて面白いですね。

《トニナ石彫171》

ゴムボールを蹴る球技がまで出てきて、「そ、それってドラえもんの映画で出てきたやつ!?」ととても嬉しかったです。(女装のび太が大活躍でしたな)
宗教儀礼や外交使節のお出迎え、賭けの対象として球技が盛んだったみたいです。ドラえもんの中でも球技は結構重たいものとして扱われていた気がします。

《クモザルの容器》
いたずらっ子としてマヤの神話に登場するそうです。
目は黒曜石、半透明の体はアラバスター

今回覚えた素材、アラバスター
半透明で地層のように層になっていてとても不思議な素材でした。
トラバーチンとも呼ばれている素材です。
和名は雪花石膏だそうです。綺麗な名前〜。

その特徴的な美しい白さゆえに、アラバスターは白いものの形容として、例えば英語では"alabaster skin"(白く滑らかな肌)といった表現で詩や歌などで使われている。

Wikipedia

白雪姫の原文とかに載ってそう。

《貴人の土偶》マヤ文明
マヤブルーと呼ばれている綺麗な青
1000年経っても空みたいな色だった

マヤの暦

映画「2012」に象徴されるように、2009年あたりに大きく話題になった、マヤの暦。
かなり正確で、現在の私たちが基づいている365日の太陽暦も生み出しています。

農耕民族の彼等にとって、雨季・乾季を予測するために天体観測を熱心に行なっていたようです。そのため、太陽や月、金星、日食や月食を正確に把握していて、現在の私たちも使っている太陽暦の365日、人間の妊娠期間に基づく260日の宗教暦などなどたくさん彼等の文化に必要な暦が生み出されたそうです。

マヤの文字

文字!!

インカ文明は文字がなかったと思うのですが、マヤ文明には象形文字のような絵文字が存在していたようです。てっきりあのあたり一帯は文字がなかったと思っていました。丸っこくて可愛らしい。現在700文字程度の文字と数万通りの多様な組み合わせが解明されつつあるようです。すごいなあ。

左から右に読むそうです。
表語文字+音節文字で構成されております。丸々していて本当に可愛い。

《96文字の石板》マヤ文明
消しゴムはんこにしたい
《96文字の石板》マヤ文明
石灰岩でできているので、削りやすかったのかな。

マヤの聖なる木、セイバの木

《セイバの土器》マヤ文明
地下と地上、天上の世界をつなぐ神聖な木


世界三大花木の一つだそうです。(鳳凰木、火焔木、セイバの木)
そんなジャンルがあることも知らなかったです。
現在はグアテマラの国木です。

マヤの人たちにとって神聖なものだったセイバの木。度々描かれていました。
なんと50メートルくらい成長するようです。若い頃はトゲトゲしていて、大きくなるとトゲが枝になって両手を広げたように四方に大きくなるそうです。
マヤの人たちにとっては聖なる木なので、結婚式や大切な決め事をセイバのきの下で執り行っていたとのこと。農作業の合間に木陰から見上げて「天界に続いている」と想像したのでしょうか。

是非とも一度お目にかかりたい!
天界に続いているな、これは。と当時の人の気持ちになって体感したいです。

マヤ文明にとって地下世界(シバルバー)と天上をつなぐ世界軸を象徴し、しばしば世界樹がセイバとして描かれる。現代のマヤ人も木を伐採するときに、しばしばセイバは神聖な木として切らずに残す。

Wikipedia セイバ属

なんとなく、日本の道祖神や小さな祠やイチョウの木のような感じでしょうか。
成長を見守ってくれる大切な存在だったのでしょうね。今でも大切な木とのことで、マヤの人々の文化がきちんと現代でも残っているのがとても嬉しいです。

天地の世界観も大好き

大きな香炉台

マヤの展示品の中で大きな香炉台
持ち上げるのも難しそうな大きさです。
とにかく大きくて、細かい装飾(神様や神話)が施されたものが複数ありました。
こんな大きな香炉台でどんな香りを楽しんでいたんでしょう。と思っていたら、お家用ではなく、儀礼用。儀式の際には匂いも重要だったようです。

《香炉台》
大きいし、頭に乗っているのは鳩では??
彩るマヤブルー

コパールの樹脂から作る香が好まれたようです。
コパールってという樹木だと思ったら、琥珀に似た石がたくさん出てきました。


コパールとは樹脂の化石になる手前のことだそうです。
今でもパワーストーンとして流通しているようで、手に入れたら古代メキシコの儀礼の匂いを体験できるってことですね。石に匂いがあるのもなんか不思議!コパールが完全に化石となるとアンバー(琥珀)になるそうです。
石を燃やしていたんですかね??

現在でもメキシコの死者の日に使われている香りだそうです!

《香炉台》
本当に大きいの。
マヤブルーが残っている

きっとマヤの人はコパールの匂いを嗅ぐと儀礼の思い出が蘇ったりしていたんでしょうな。お線香の香りや花火大会の後みたいに。今のメキシコの人はコパールの香りで死者の日を思うのでしょうか。
メキシコに行くことになったらぜひお供にしたい香りです。

アステカ文明

アステカ文明はテオティワカン文明の後、トルテカ文明の後にできました。
首都テノチティトランを中心に、メキシコ沿岸部にまで勢力を伸ばして軍事力と貢納制で強国となったそうです。

びっくりだったのが、テスココ湖の浮洲に首都テノチティトランがあったということです。メソアメリカ最大の都市が水の上にあったことにびっくりしました。
沼地を開拓して、たくさんの水路や橋がある素敵な街並みを築いたアステカ人恐るべし。う、浮洲??とびっくりして思わず調べてしまいました。

テスココ湖にあるテノチティトラン俯瞰図
Wikipediaより

アステカ人はウィツィロポチトリの神託に従ってテノチティトランに移住した。この伝説は、アステカ人が新しい都を築くべき地は、蛇を咥えた鷲がサボテンにとまっている地であるという神官の予言であった。ちなみにこの伝説ないし部族の予言は、今日のメキシコの国旗の中央にも描かれている国章のデザインにもなっている。

Wikipedia テノチティトラン

ウィツィロポリトリは太陽神です。
太陽に導かれて、湖にたどり着いたんですね。

メキシコの国旗
Wikipediaより

巨大な軍事国家だったようですが、スペインの侵略によって滅亡しました。
街は完全に破壊され、都市を形作っていた石は切り出されてメキシコシティが築かれました。美しい水の都市がなくなってしまったことはとても残念です。
この辺りの年代で、文明にスペインの侵略が絡むあたりの歴史を読むのは大変辛いです。もっと穏やかにできなかったのかしら。小学生の時の児童書の描写ですら大変辛いものがありました。
(小学館の世界の歴史シリーズだったかな…)
世界史の教科書に載っているイメージの挿絵も武装したスペイン人と裸のような格好で戦う古代メキシコの人で「これだけ文明に差があって負けて同然」みたいな感じで先生が説明していてとてもモヤモヤした思い出…。なんか文明の差とかじゃなくない??っていう。

テンプロ・マヨール

近年、発掘調査が進んでいるテンプロ・マヨールで発見された出土品が展示されていました。メキシコシティでの発掘なので観光に行けば発掘現場を見れたりするのかな?

テンプロ・マヨールは、テノチティトランの中央に建てられた大神殿です。
太陽神ウィツィロポリトリを祀る神殿、雨と豊穣の神トラロックを祀る神殿が2つ並んでいました。
そこの北側のわしの家で見つかったのが鷲の戦士像です。
写真だとツルッとしてインパクトが薄いのですが、こちらかなり大きいです。

《鷲の戦士像》アステカ文明

兵馬俑を思い出すようなサイズ感(170センチ)
戦士たちが鷲に扮して祭事の際に踊ったりしていたのかな?
浅草寺で行われる『白鷺の舞』ようなものを想像しました。このような姿で筋骨隆々の戦士たちが神々に向けて捧げる踊りをしていたら圧巻だったでしょうね。

照明効果もあってかなりかっこいい

メソアメリカの多様な神様たち

周辺のいろんな文明の流れを汲んでいるアステカ文明にもたくさんの神様がいます。
展示されているいろんな神様を見ると、人々が崇拝していたもの、大切にしていたものが伝わって楽しかったです。
神話がわかるともっと楽しいんだろうな。羽毛の生えた蛇神様みたいに、いろんな文明に引き継がれて行く神様も流れがわかるととても楽しそう。
ギリシャ神話然り、古代メキシコの神話も本を読んでみようと思いました。

《トラロク神の壺》アステカ文明
雨と豊穣の神様
《エエカトル神像》アステカ文明
生と豊穣を司る神様
風を意味しているらしい。
《プルケ神パテカトル像》アステカ文明
プルケはメキシコでは有名な発酵酒だそうです。
お酒の神様
 《ウェウェテオトル神の甲羅型土器》アステカ文明
火の神様
柄が可愛い
ニスを塗ったみたいにテカテカしていました。

お気に入り

展示品140点の中でその他印象的だった子たちをまとめました。

《トゥーラのアトランティス像》トルテカ文明
玉座の足だったとか。
可愛すぎない?色も優しい。
私たちは「ワー」の子、と呼んでいました。
結構大きい
(いつも一緒に行ってくれるバレリーナで大きさ比較)
《盾を持つ小像》テオティワカン文明
表情がいい。3点て自立しているのもいい。
《鳥形土器》テオティワカン文明
いきなりテイスト全然違うし、可愛い。とてもキュート
こんなテイストのものはこの子だけでした。
《トランペット》テオティワカン文明
法螺貝!!トランペット!
彫り物が細かくて素敵。これも神様かな?


あまりなかったオルメカ文明の出土品
メキシコ沿岸部最古の文明なので今後の発掘調査に期待です!

《オルメカ様式の石偶》オルメカ文明
翡翠でできた半人半ジャガーの幼児像
すごく「オギャー」って聞こえてきそうな表情

古代メキシコの最古の文明オルメカ文明、表現の幅がえげつない…!もっと見てみたい。半人で半ジャガーで、さらに幼児。成長した姿も見てみたいな。発掘されていないのかな。

メソアメリカの多様な表現、遺跡、出土品、高い文明を堪能できる展示でした!

生贄信仰、人身供犠

生贄信仰、人身供犠、人身御供
今の日本に生きているとなかなかその気持ちは想像することができませんが、古代メキシコでは熱い信仰のもと、広く行われていたようです。

マヤの人々にとって、人生や社会の出来事は神々の行いや天体、山、洞窟などの自然界の事象と深く結びついていました。天体の動きを観察し、それに基づく精緻な暦を作り、年の広場や周辺に点在する聖なる場所で儀礼を行うことは、世の中に秩序を与えるために必要と考えられました。

特別展古代メキシコ

人間を生贄とする古代メキシコの慣習は、「万物は神々の犠牲により存続しており、自らも他者のために犠牲を払うべき」という倫理観に基づくものでした。

特別展古代メキシコ

それ故、 自然界の動植物そして人間も、世界の存続のため自ら身を捧げた。
太陽も月もとうもろこしも、人間も

黒曜石のナイフで心臓を取り出して神に捧げられていた。美しいセノーテの中に放り込まれた少女がいた。誇らしかったのか、誉だったのか。

子供、幼児、少年少女には当然親がいるわけで、戦いに勝った戦士にも愛し人がいたかもしれないわけで、それでも信仰のために生贄として差し出すのはどんな気持ちだったのか想像できません。大きなピラミッドを作れて、暦や文字などの知識もあって、太陽を崇めて、月や星々を描いて、あんなにも細かい技巧を持つ人たちが「生贄に根拠がない」「意味がない」と切り捨てなかったのには大きな理由や意志があるのではないかと思います。

兵馬俑や埴輪では人を模った別のものを捧げることで代替としていたのに、古代メキシコではそうならなかったのも不思議だなと思います。

怖くて写真を撮らなかったのですが、人間の頭蓋骨を加工した置物もありました。
頭蓋骨に穴を開けて糸を通したり、眼に貝と黒曜石をはめたり、死生観が違うように思います。球技に勝ったチームが生贄に選ばれることもあったようなので「生贄になる」ということや死がかなり身近な存在として隣で肩を組んで立っていたのでしょうか。

メキシコ先住民の世界観では太陽は沈んだ(死んだ)のち、夜明けと ともに東から再生する

古代メキシコプレスリリース

ならば、人は?
人の生はどのように捉えられていたんでしょうか。

蛇口をひねれば水が出る、天気は1週間先までわかる現代を生きている私の物差しでは測ることができない絶大なもの、大いなるものがそこにはあると思いました。

物販コーナー

物販コーナーは大盛況!
メキシコらしい死者の日にちなんだ装飾が可愛かったです。(死者の日にちなんだ展示はないです。)

一緒に行った友人は、チチカカとコラボのTシャツをゲットしていました。

可愛い
メキシコの切り紙文化
わーの人、と勝手に呼んでいたトルテか文明の
《トゥーラのアトランティス像》

気に入って買った刺繍チェーンは、ペルーで買った布で作ってもらったトートバッグと相性ばっちり。素敵すぎる。

古代メキシコへの興味が尽きないので、ちょっと本を読んで勉強したい思います。7月の始まりということで、夏の課題図書にします。

展示詳細

特別展「古代メキシコ」
東京国立博物館
2023/6/16-9/3

チケットは日時指定なしです。
当日券を買うのがめんどくさかったら事前にネットて買っておくことをお勧めします。
(買ったら、腰が重くても行くことになりますし)

メソアメリカの多様な表現、遺跡、出土品、高い文明を堪能できる展示でした!
メキシコ行きたい🇲🇽
メソアメリア周遊旅行とかしてみたーい!

精進します。
切り絵作家 ひら子

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