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#15 「道」とつくもの

流血の果てに

日曜日、娘の剣道の試合があった。

団体戦の大将として、彼女は勇敢に、立派に戦った。
4つあるリーグ戦を、全勝して1位通過(!)。この時点でベスト8だ。

ベスト4を懸けた試合。
開始からしばらくして、娘の様子がおかしくなった。主審に何か言っている。

「血、でた。」とこちらへ向かってくる右足は真っ赤で、足の裏の水ぶくれかマメかが潰れたそうだ。
歩いてきた床には血の付いた足跡が残っていた。

母「痛い?」
娘「そりゃ痛いっしょ」

急いで監督の先生が応急処置をすると面の中で息を切らしていた娘は先生にお礼を言って、コートに戻って行った。
主審と相手に頭を下げ試合を再開した娘の姿に、産院で初めて母子同室で過ごした夜のことを思い出した。

第一子だったから「ほーう、赤ちゃんとはこういうものか」と興味津々の私をよそにスース―寝息を立てて爆睡の娘。

なんですかこの小さい生き物は

「息してるよな?」と何度も胸に手を置いたり、産着から出ている小さな小さな手や足を触った。
あの時の足が、12年後にこうして剣道の試合で流血しながらも戦う足になったとは。

やはり「らしさ」は大事

結局その試合には団体で勝てて、準決勝進出。

準決勝で敗退したのだが、ここに気づきがあった。
三人制の試合は勝ち数で勝敗を決める。

例①
1人目 勝ち
2人目 引き分け
3人目 引き分け
→これは勝ち

例②
1人目 勝ち
2人目 引き分け
3人目 負け
→これは本数での勝負になり、本数も同じならば代表戦となる。

今回は、
1人目 引き分け
2人目 引き分け
3人目 1本負け←娘

この試合の娘は、見ているこちらにまで焦りが伝わってきた。特に1本取られたあとは。
「自分が負けたら終わる」と思っていたそうだ。

先生はしきりに「落ち着け!落ち着け!」「焦るな!」「自分の剣道はそうじゃないだろ?」と声をかけていた。
敗れた娘たちが団体礼などをしている間に「焦ってね、自分の剣道ができなくなるんですよ。よくあることだし気持ちはわかるよ。でもそれに勝たなきゃいけないね。」と先生は自分に言い聞かせるように私に言った。

「らしさ」とは

娘が剣道を始めたのは4年生のはじまり。
「息子の根性叩き直しプロジェクト」の一環だった。

ちょっとクールで大人びた娘は剣道について「美容と健康のために嗜んでます」とよく言う。笑
最初の1年こそ「基本組」で防具も付けず、根気良く竹刀を振り続けていただけだが6年生ともなるとあちこち試合に出られるまでに成長した。
最近はとても「嗜む」のレベルではない活動量だ。

娘らしさ?と試合の動画を見たらその差は歴然としていた。
決して「うわぁ!あの子強い!」というタイプではないが1つ1つ考えて打ち込むスタイルが娘の良いところだと思う。
しかし焦ってしまった最後の試合では、勢いだけで相手に向かって行って、何の技にも1本にもならない乱れ打ちのような試合をしていた。

何事もそうなのだ。
その人らしさを最大限に発揮した時こそ、本来の力(それ以上?)が出てくる。
ありのままでいることの重要性、ありのままでいることの難しさを娘の剣道から学んだのだった。

母は一番の応援者たれ

…とまぁ、試合が終われば言いたいこともたくさんある。
実際うるさく口出ししたこともある。

練習のたびにあれこれ言って、帰りの車の中の険悪な空気に自分でうんざりした日から私は剣道のことをとやかく言うのを辞めた

私は剣道経験もないし、指導は先生方にお任せしよう。
母は応援に徹しようと決めた。

少年剣道の世界

世の中にはいろんな道場があるようだ。
大会で聞こえてくる怒鳴り声や過激な指導に「うわぁ」と思うのは、我が家が恵まれた環境で剣道ができているからだろう。

先生は勝ち負けよりも剣道を通した人間形成が大事と言うし、礼儀作法・他者を思いやったり応援する気持ちなど人としての在り方を教えてくれるとても良い先生だ。「こうして剣道ができるのもお父さんお母さんのおかげ。当たり前じゃないよ?感謝しよう。」と今日のお稽古でも言っていた。

「嗜んでます」だった娘が、来年は友達と離れても剣道の強い中学へ越境入学したいと言うのだから、打ち込めるものがあって良かったと心から思う。

道着と竹刀買って集合ね!

そんな道場で週4回のお稽古時間を共にする保護者たちも最高なのだ。
特に仲が良い3人のガールズたちとはたまにタイミングを合わせて飲みに行ったりもしている。

今度女子剣士だけの練習会があると聞きつけたガールズたちで、「うちらもやってみよう剣道!」という話になった。

え。肉離れしない?だいじょぶそ?笑

などと心配しながらも、「袴に刺繍入れるよな?名前にしよ♬」と楽しんでしまっている。

剣道は生涯スポーツだという。

私の運動神経はもう25年ぐらい休眠させているのだが、「楽しけりゃいいっしょ!」とノリのいいガールズたちと一緒に新たなことをしてみよう。

「ゆうこ」と刺繍を入れよう。

今日のユーコ

サンリオキャラクター大賞の結果がでました。
私の推しのけろっぴが、7位!!!
毎年中間の順位は良くても終わってみたら10位に入れず、ハライチのターンで散々「けろっぴのていたらく」と言われていたのに!笑
よかったねけろっぴ(*^_^*)

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